本誌・週刊ポストはこれまで測量学の世界的権威である村井俊治・東大名誉教授の「MEGA地震予測」を定期的に掲載してきた。

 今年3月の宮城県沖地震(M6.9)や和歌山県北部地震(同4.6)をはじめ2016年4月の熊本地震(同7.3)など数々の地震発生を予測し、的中させた実績を持つ。

 村井氏は1983年に東大生産技術研究所の教授に就任し、1992〜1996年まで国際写真測量・リモートセンシング学会の会長を務めた。そんな村井氏が地震予測を発信するきっかけになったのが、2011年3月の東日本大震災だった。

「震災1か月ほど前から東北地方の地表が異常な動きをしていることに気づき、地震の前兆と考えましたが、注意喚起ができず、甚大な被害を招いてしまった。この後悔から、予測を発信することを決意しました」

 MEGA地震予測は、国土地理院が全国約1300か所に設置した電子基準点のGPSデータを使って地表の動きを捉え、基準点の1週間ごとの上下動の「異常変動」、長期的な上下動の「隆起・沈降」、東西南北の「水平方向の動き」の3つの主な指標を総合的に分析する。昨年からはAIによる危険度判定を導入した。

 その結果、今回、村井氏は年末までに警戒すべきゾーンとして、別掲のMAPで示した5つのエリアをはじき出した。

東北警戒ゾーン
 3月と5月に宮城県沖地震が発生した東北で「異常変動」(上下動)が見られた。

「『水平方向の動き』では、この3か月間、毎週のように異なる方向の大きな動きが見られます。そうした東北全体の動きに対し、北は青森県、南は福島県で顕著に異なる動きが見られ、青森と岩手、宮城と福島の間に歪みが溜まっていると考えられる。AIによる危険度判定でも、東北はこの3か月、ほぼ毎週全国1位となっています」(村井氏)

首都圏警戒ゾーン
 東京都の伊豆諸島や静岡県の伊豆半島で「異常変動」が集中している。

「『水平方向の動き』でも、伊豆諸島で本州と異なる大きな動きが見られます。伊豆大島近海が震源だった2014年5月の地震では、大島が震度2でしたが、千代田区では震度5弱を記録した。伊豆諸島などで大地震が起これば、地盤の緩い都心で最も甚大な被害が出ることが予想されます」(同前)

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 ここでは、9月16日に最大震度5弱の石川県能登地方地震が発生した。

「長期的な『隆起・沈降』では、新潟県の電子基準点『高柳』が隆起する一方、同県の『新潟巻』は沈降し、その高低差は危険水域の6cmを超え、9月下旬には7.4cmにまで拡大している。まだエネルギーは放出され切っていないと考えられ、注意が必要です」(同前)

 そのほか警戒地域として【北海道・青森警戒ゾーン】と【九州南部警戒ゾーン】がはじき出された。

 村井氏は今もMEGA地震予測を進化させ続け、今年7月からは衛星画像を解析し、1か月以内に、どのエリアで、どのくらいの規模の地震が起きるかの「ピンポイント予測」を実用化した。

「東日本大震災のときと同じ過ちをしないよう、今後も精度を高めて取り組んでいきます」(同前)

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20211004_1696247.html

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