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当初、女性信者チームは複数の日本人信者を筆頭に8人態勢だったが、のちに20名(うち男性信者3名)に増員され、
約3年間に連邦議員5名とそのスタッフ5〜6名がスィートルームに招待された(342ページ)。...
しかも、「フレイザー委員会」の徹底した調査でも、教団と接点を持つ議員がわずか数人どまりだったアメリカに比べ、
日本は2年法定車検のような小手先の「点検」でさえ、数百人単位の政治家が旧統一教会と依存関係にあることがわかってしまった。その「汚染度」の差には呆然とするしかない。 ...


税逃れ、メディア戦略、ビジネス展開…旧統一教会がアメリカで行ってきた巧妙な政治工作
https://shueisha.online/culture/67232
タコ足のような触手を持つ宗教・金融的グローバル帝国
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ワシントン・ポスト紙が「無数のタコ足のような触手をもつ宗教的・金融的グローバル帝国」と表現したように、
旧統一教会は世界平和統一家庭連合、天宙平和連合といった関連団体、友好団体と称するダミー団体を無数に持っている。
この特性を包括的に把握するため、フレイザー委員会報告では、統一教会を含むすべての関連団体を包摂する概念として
文鮮明機関(Moon Organization)という言葉を使用している。 ...

「課税対象の文鮮明機関が、免税団体への資金移動により、免税特権を得ていると信じるに足る理由がある。
課税対象組織と免税組織を使い分けることで、文鮮明機関は連鎖反応的に財力を増やし、競合する組織に比べて大きな強みを持っている」(391ページ)
タコ足のように無数の関連団体(彼らの用語でいう「摂理機関」)を使い分け、資金、マンパワー、情報を自由に動かして
全体としてのMoon Organizationを維持・拡大させる。...

官庁横断的タスクフォースによる調査を進言
... そうした反省の上に立ち、報告書は今後の課題として証券取引委員会(SEC)や歳入庁(IRS)なども入れて、
官庁横断的タスクフォースを作ってさらに調査を行うべきことを進言したのだ。

旧統一教会の巻き返し
...
フレイザー委員会が警鐘を鳴らした「金の流れを追うべき」という“遺言”は、84年に文鮮明を脱税容疑で摘発し、
有罪・収監という成果を生むが、その後の旧統一教会関連団体の世論工作はむしろ一段とヒートアップし、巧妙さを増していった。
旧統一教会は福音派の有名テレビ伝道師やハーバード大の宗教学者、大物共和上院議員らなどを動員し、
文鮮明の大統領特別恩赦アピールを大々的に展開していったのである。...
これ以降、アメリカにおいては政治を動かす重要なファクターが世論であることを痛感した文鮮明機関は、
保守系新聞「ワシントン・タイムズ」創刊など、メディア戦略を一段と強化・巧妙化させた。
財務面でも日本人コネクションを利用して独自の漁業・卸流通網を開拓し、80年代の米国寿司ブームを支えるレストラン事業や不動産事業を展開し、
メディア業での赤字を埋め合わせることに成功した。

謎の放火事件と転落死

... また、78年の中間選挙時には信者らによるフレイザー議員の選挙活動の妨害工作もあった。
その影響もあってか、フレイザー議員は落選し、さらに自宅が犯人不明の謎の放火にあっている。
さらに84年には、委員会の主席調査スタッフだったR.ボッチャー氏(当時44歳)がニューヨークのアパート屋上から謎の転落死を遂げるということもあった。
... 報告書によれば、フレイザー委員会には複数の国会議員をはじめ、多くの日本人から「調査は日米関係も視野に入れて広範に調査すべき」との要望が寄せられていたという。 ...
しかし、この調査は実現しなかった。...

委員会に協力しなかった日本政府

もっとも可能性が高いのは1972年8月、朴正熙(パク・チョンヒ)の政敵で韓国民主化を訴えていた金大中(キム・デジュン)が
東京で拉致・誘拐され、5日後にソウルの自宅前で発見された事件との関連だ。
当時から、KCIAや在日系組織暴力団・右翼の大物などの関与が取り沙汰されてきたが、日本の保守政権が拉致を黙認していたのではないかという説も根強い。
... 日本政府当局がフレイザー委員会による事件の「掘り起こし」を牽制した可能性は充分考えられる。 ...

ひるがえって現在、岸田政権は「宗教法人取り消しに繋がる質問権行使」という初手の段階で右往左往している。
宗教法人以外の関連団体(フレイザー委員会の言うMoon Organization)総体の人・モノ・金の調査にはまだまだ及び腰だというのが実情だ。 ...
今、与党自民党内に「日本のフレイザー委員長」がいないことがこの国の悲劇なのだろう。