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 旧統一教会(世界平和統一家庭連合)に関する問題を契機に、新興宗教への高額な献金への注目が高まっている。なかでも注目されるのが「新興宗教と女性」の深い結びつきだ。旧統一教会の元信者で、脱会支援活動を続ける日本基督教団白河教会牧師の竹迫之さんは、女性こそが熱心な信者だと語る。

「いま、新興宗教を偽装したカルトへの高額献金で話題になっているのは、ほとんどが女性です。結婚や出産、育児などライフステージが大きく変わる女性は、人生設計の中で思い描いていた未来を中断されるケースが少なくない。また、社会構造や文化、慣習などさまざまな要因から、カルトが女性を“カモ”にする事例が目立ちます」

 女性がカモにされる背景には、日本社会の男女格差の大きさも影響しているという。充実した生活を送れない女性の弱みに付け込んでくるケースが多いというのだ。

 さらに、家庭でも女性が蔑ろにされる状況が生まれている。

「日本の男性は会社とのつながりが深く、妻とろくに会話をしない人が多い。当然、夫婦仲は冷え切り、孤独を深めた妻は信仰に癒しを求めます。誤解を恐れずたとえれば、夫は男尊女卑の日本企業という宗教団体に入っていて、そこで置いてきぼりを食らった妻が別のカルトに入信するようなものです」(竹迫さん)

 妻の孤立には別の社会的要因もある。『妊娠・出産をめぐるスピリチュアリティ』の著者で、社会学者の橋迫瑞穂さんが説明する。

「高度経済成長で地方から都会に出てきた人の多くは核家族の世帯を形成し、地方とは異なる新しいコミュニティー=つながりが必要になりました。新宗教(新興宗教)というファクターが登場すると居場所を求める女性がそこに集まり、婦人会などの活動をするようになった。そうした社会基盤の変化もあり、昔から新宗教の信者は女性が多かった」

 さらに女性にとって大きな転機となるのは出産や育児だ。女性の社会進出が進んで共働きが当たり前になっても、日本では「育児は女性」との意識が根強く、夫は頼りにならない。いくらイクメンがもてはやされても男性の育休取得は超レアケースで、ワンオペ育児で多大な自己犠牲を強いられる母親の心が休まるはずがない。

「日本は子育て環境の風通しが非常に悪く、多くの女性が妊娠や出産、育児や家庭に不安を抱えています。特に育児について本当にこれでいいのかと悩み、“子供のアトピーを治してあげたい”“虚弱体質を改善させたい”との願いから、代替医療や『自然な育児』、マクロビオティックなど宗教に近い世界観を持つ『スピリチュアリティー』にのめり込む女性がネットを中心に目立ちます」(橋迫さん)

 新宗教には、孤独で閉鎖的な日本の家庭の中で思い悩む女性たちに、「生きる意味」を与えるポジティブな面もあると橋迫さんが続ける。

「不安を抱えて家庭におけるアイデンティティーを失った女性に対し、新宗教は家庭の中で彼女がどういう存在であるべきなのかを示します。そもそも来世を大切にする伝統宗教と違い、新宗教は現世での幸せを獲得することを重視し、『貧・病・争』と戦うことが教義の基本。多くの女性にとって、それを実践する場はまさに家庭です。それゆえ、スピリチュアリティーや新宗教が必要とされてきました。現世の幸せが女性にとって、切実な問題であることを理解する必要があります」(橋迫さん)

 精神科医の片田珠美さんは、女性の一生の「報われなさ」を指摘する。

「男性は大学まで勉強したらあとは仕事の人生ですが、女性は仕事だけでなく恋愛や結婚、出産、育児、家族とのつきあいなど論理だけで解決できない多くの問題を抱えます。しかも自分が努力しても必ずしも報われず、生まれた子供に障害があるとか、義母がものすごく意地悪とかいうシビアな現実に直面すると、もう自分の努力ではどうにもならないとの気持ちになり、スピリチュアリティーや宗教にはまりやすい。根底には女性に多くの負担を強いる日本の社会風土があります」

続く

以下ソース
https://www.moneypost.jp/978531