駅の女子トイレで盗撮したとして逮捕された日本共産党千葉県委員会書記長の大西航(わたる)容疑者(42)が1月13日、除名処分とされた。同日午後6時に開催された党千葉県委員会の総会で決定されたもの。任命責任が曖昧、処分が早すぎるなど、様々な疑問が残る決着は党の粛清体質、トカゲのしっぽ切り体質を思わせるものとなった。処分に関する問題点を中心に同党千葉県委員会に聞いた。

 共産党千葉県委員会の大西航書記長は12日に建造物侵入と県迷惑防止条例違反(盗撮)容疑で逮捕された。逮捕容疑は「2022年10月23日、千葉市中央区のJR西千葉駅の女子トイレに侵入し、個室の上から10代の女子高校生をスマートフォンで盗撮したとしている。」(毎日新聞電子版・駅の女子トイレで盗撮容疑 日本共産党県役員を逮捕 千葉、2023年1月14日閲覧)というもので、大西書記長は容疑を認めていると各メディアで報じられている。

 逮捕のきっかけは、「昨年11月21日にJR千葉駅で女性の後ろ姿を盗撮したところを目撃者に110番通報された。」ことであるとされ、「そこでスマートフォンから今回の事件の動画が見つかり、被害者の特定などを経て逮捕に至ったという。」(産経新聞電子版・盗撮容疑で共産党千葉県委幹部を逮捕 過去に衆院選出馬、2023年1月14日閲覧)と報じられた。

 これを受け、逮捕翌日の13日に千葉県委員会は最も重い処分である除名としたことを発表した。当然の措置とはいえ、刑事事件は推定無罪の原則があることから、起訴前に有罪であることを前提の処分とするのは人権を軽視しているのではないかという疑問が残る。また、政権与党の不祥事には任命責任を叫ぶ同党が任命責任には一切触れていない点も、国民への説明はもちろん、被害者の心情を考えれば釈然としないと感じる人は少なくないはず。

 そうした点について処分者である千葉県委員会に直接、電話で取材した。

 千葉県委員会に電話をかけ、取材の趣旨を伝えると担当者が応答してくれた。

松田:大西航書記長について、逮捕翌日に除名処分といういことで、随分と処分が早いと感じましたが、その点について県委員会としてはどのようなお考えなのでしょうか

担当者:早いということは機敏に対応したということです。ことがことで、共産党が政策として打ち出しているものに、真っ向反対の事件を起こしている、と。痴漢撲滅とかジェンダー平等などを実現していくとか運動している経緯がある中、今回、幹部が盗撮するなどという、あってはならない事件が起きたということに鑑みて、(その上、)盗撮の内容が警察等の調べで証拠となるものが押さえられていて、本人も「事実である」、「やりました」と認めているわけです。本人は勾留中なのでそれ以上聞き取れていませんが、弁護士を通して接見し、その結果、本人が事実と認めています。ですからやったことは間違いないと判断できるので、直ちに処分する必要があるということです。

松田:抗議などは寄せられてますか

担当者:皆さんから、お叱りの電話をたくさんいただいています。そういう点からも今回の事態に対して、早急に対応しました。本人が事実を認めていない場合は簡単には処分はできないのですが、事実を認めた以上、党としてはこれは許せない行為、党だけでなく国民にとっても許されない行為ですから、それは党として早く対応をすることは必要だと思います。

松田:本人(大西容疑者)は除名されることは分かっているのでしょうか

担当者:(具体的な処分として)除名となることは分かっていないかもしれませんが「いかなる処分を受けることについても、了解せざるを得ないです」ということは言っています。

 ここで問題になるのは、本人を除名したのはいいが、任命責任について一切、明らかにされていない点である。岸田内閣で閣僚の不祥事が続いた時には、同党の志位委員長は任命権者としての首相の責任を強く求めていた。ところが、共産党では刑事事件の被疑者として逮捕されたにもかかわらず、誰も任命責任を全うしようとしていない。それは個人に責任を押し付け、蜥蜴のしっぽ切りで事態を乗り切ろうとしているように見える。

続く

以下ソース
https://reiwa-kawaraban.com/society/20230114/