0001逢いみての… ★
2023/03/03(金) 01:05:37.33ID:CAP_USER13世紀ノルウェーの古写本に登場し、大口を開けておびき寄せた魚の群れをいっぺんに丸呑みする恐ろしい怪物として記述されています。
しかし17世紀以降になると、ハーヴグーヴァは人魚やクラーケンと混同され始め、次第に「先人たちの作り話」として片付けられるようになりました。
そんな中、豪フリンダース大学(Flinders University)の最新研究により、ハーヴグーヴァは実在の生物でクジラの特殊な採餌行動を描いた姿である可能性が浮上したのです。
なぜそんなことが今の今まで見過ごされて来たのかと思う人もいるかもしれませんが、13世紀に描かれていた可能性のあるこのクジラの特殊な採餌行動というのが、科学の世界で正式に報告されたのは2011年だからなのです。
研究の詳細は、2023年2月28日付で科学雑誌『Marine Mammal Science』に掲載されています。
ハーヴグーヴァ(hafgufa)は、中世ノルウェー王・ホーコン4世(在位:1217?1263年)のために書かれた古ノルド語写本『王の鏡(原題:Konungs skuggsja)』に登場する巨大な海獣です。
(※ 古ノルド語は北欧諸語の祖先にあたる言語)
ハーヴグーヴァは日本語に訳すと”海の霧”という意味で、以下のような特徴が挙げられています。
・独特な香りを持つ吐瀉物を撒き餌にして、大量の魚をおびき寄せる
・大口を開けたまま静止し、魚の群れが誤って口の中に入り込むのを待つ
・十分な量の魚が口の中に収まると、一挙に口を閉じて丸呑みにする
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1658年頃に書かれたアイスランドの地図とそこに見られる「ハーヴグーヴァ」の絵
さらにこれまでの研究により、ハーヴグーヴァの記述に関する起源は、2世紀のアレクサンドリア(エジプト)で編纂された書物『フィシオロゴス』にまで遡ることが確認されています。
この文献には実在の生物のほかに架空の動物たちも多数記載されており、その中にハーヴグーヴァと酷似した海獣「アスピドケロン(aspidochelone)」が登場します。
アスピドケロンも同様に、独特の匂いを発して魚をおびき寄せ、大口を開けて獲物が口の中に入るのを待つと記されています。
見た目や行動の特徴がハーヴグーヴァと共通しており、古代人はおそらく同じ生物をヒントにこれらの海獣を書き残したと思われるのです。
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『フィシオロゴス』の写本に見られるアスピドケロンの採餌
そして研究主任のジョン・マッカーシー(John McCarthy)氏は、これらの記述を読んでいて、あることに思い至りました。
それは2011年頃に科学的に明らかになったクジラのとある採餌戦略です。
この採餌法は「トラップ・フィーディング(trap feeding)」と呼ばれ、ザトウクジラやニタリクジラが行います。
クジラは一般に、ニシンやオキアミの群れを見つけると、大口を開けた状態でそこに突っ込み獲物を捕食します。
しかしトラップ・フィーディングでは、クジラが水面で大口を開けたまま直立し、獲物が口に入ってくるのをジッと待つのです。
このとき、周囲のクジラの仲間たちが魚の群れを中心に追いやるそうですが、魚たちは動かないクジラの口を避難所と勘違いして次々に逃げ込むという。
クジラは頃合いを見計らってガバッと口を閉じ、一挙に大量捕食するのです。
実際に撮影されたトラップ・フィーディングがこちら。
https://scx2.b-cdn.net/gfx/video/2023/mysterious-new-behavio-1.mp4
2021年には上空からその様子を撮影することにも成功し、話題を呼びました。
https://www.youtube.com/watch?v=EE7LtPpqnxE
海洋生物学者であるマッカーシー氏は、中世文学を専門とする同僚たちと議論を交わし、古写本の記述と照らし合わせた結果、ハーヴグーヴァやアスピドケロンは、トラップ・フィーディングを行うクジラに着想を得たものという結論に達しました。
研究者らは、中世の北欧の船乗りたちは海に関する知識も豊富であり、クジラのトラップ・フィーディングについても十分に知っていた可能性が高いと考えています。
続く
以下ソース
https://nazology.net/archives/122689