2024年元旦に起きた「能登半島地震」は大津波警報を発令。地割れや家屋の倒壊が相次ぎ、現在も死者や安否不明者が増え続けている。だが、恐ろしいのはこの大地震が新たな地震を誘発する可能性が指摘され始めたこと。南海トラフ地震との関連性が取り沙汰されているのだ。

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「一年の計は元旦にあり」というが、そんな人々の厳かな思いを打ち砕く事態が勃発した。年が改まったばかりの能登半島をM(マグニチュード)7.6、最大震度7の直下型地震が襲ったからだ。

大地震が起きたのは、元日の午後4時10分。震源は石川県穴水町の北東42キロ、深さ16キロの地点とされるが、日本海側の広い範囲に津波警報が出され、能登半島には5メートルを超える津波の到達を予測する「大津波警報」が発令されたのだ。

能登半島の先端にある同県珠洲市の漁港では複数の船が転覆し、陸地では無数の家屋が倒壊。恐ろしい地震の痕跡を見せつけるかのごとく、一部の海底が海面に隆起したほどだった。

また、震度6強の揺れに見舞われた同県輪島市では7階建てのビルが横転。同日夕方には観光名所の「朝市通り」で火災が起きて約200軒が燃え、辺り一面焼け野原となった。

「さらに石川県だけでなく、新潟、福井、富山、長野、岐阜でも地割れや土砂崩れ、家屋が倒壊。国土地理院はこの地震により震源に近い地点で最大約3メートルの地殻変動があったと発表したが、被害は1月7日時点で死者126人、安否不明者222人と深刻で、今も増え続けているのです」(取材にあたった報道関係者)

気象庁によると、1日の大地震発生から6日午後までに同地方を震源とする地震は560回を超えたが、巨大地震発生の原因を解くカギは、群発地震にあるとみられている。

実は能登半島では2020年12月ごろから群発地震が起きていたが、昨年5月にM6.5、最大震度6強の地震が発生。これ以降、珠洲市を中心に起きていた地震が、能登半島の北の海域と陸地の両方で起きるようになっていたのだ。

科学ライターが言う。

「能登半島では約2年半の間に震度1以上の地震が400回以上も起きていたが、地下を走る10本弱の活断層が原因だといわれている。太平洋側から日本列島の下に沈み込んだ太平洋プレートから溢れ出た大量の水が、断層を滑りやすくさせ群発地震が発生。今回の地震も、この断層がズレて起きたとみられているのです」

地震学者によれば、今回の地震は「阪神淡路大震災(M7.3)の3?8倍ものエネルギーが放出された」というが、巨大地震が起きた原因は他にもあるという。

武蔵野学院大学特任教授の島村英紀氏が語る。

「私は地下にあるマグマが上昇したことで熱せられた岩盤が誇張し、それが巨大地震につながったとみている。活断層が動いたり地下水が岩盤を滑りやすくさせたなどの理由はあるにせよ、一番大きな原因はこのマグマだと考えているのです」

島村氏が言うマグマの上昇が地震を招いた例としては、長野県松代町(現長野市)で起きた松代群発地震が挙げられる。同地震は1965年から約5年続いた群発地震で、有感地震の数は震度5強を上限に6万2826回、震源の深さも常に7キロ未満と浅かった。加えて、地下にマグマだまりがあったともいわれ、今回の地震と似通っているのだ。

また、一方では今回の地震の原因にプレート論を持ち出す研究者もいるという。

ご存じの通り日本列島は太平洋、フィリピン海、北米、ユーラシアと名の付く4つのプレートにまたがるように位置しているが、今回の地震はユーラシアプレートと太平洋プレートの境界部で起きている。

そのため、近年活発化が著しい太平洋プレートが西日本沖合に沈み込むフィリピン海プレート、さらに東日本を頂く北米プレートを挟んでユーラシアプレートを刺激し、大地震を発生させた可能性も否めないのだ。

科学ライターが続ける。

「さらに、ユーラシアプレートのひずみがあちこちで限界を迎えているとの見方もある。同プレートが震源とみられる地震がここ数年来増えているからです。2022年9月17・18日に発生した台湾の台東地震(M6.5・M6.9)や翌年2月に起きたトルコ・シリア地震(M7.7)、同12月に発生したフィリピンミンダナオ島地震(M7.7)などがそれ。そのため、今回の能登半島地震もこのプレートのひずみが原因と考える研究者がいるほどなのです」

続く

以下ソース
https://weekly-jitsuwa.jp/archives/128415