定期嬢が自分の過去を語らないので、嬢には悪いが探偵事ム所で調べてもらった。 俺は天涯孤独なのだが、嬢の人生のほうが幾倍も波乱万丈で絶望的に孤独なのだと知った。
人の不幸を比べるもんじゃないとは思うが、俺より20も下でまだまだ若いのに、その小柄な体の心の奥底にいっぱい秘密や苦難を抱えて来たのかと思うと、やりきれないし哀しくなった。
俺も定期嬢も決して口には出さないが、たぶんふたりとも帰るべき故郷は、ない。
いつも明るく振る舞う定期嬢に、いつか春が来ればよいと思う。