…今年の夏は、ひまわり柄のワンピースを着た女を見ない。
男勝りだが、どこか怪獣ブースカみてえな滑稽さがある憎めない女。
いつも公衆電話BOXからバカデカイ阿呆な声が洩れていた。
お盆も正月も大雪の日も、その女はそこに独りぼっちで居た。
暗さを見せず、あっけらんかんとして居た。

いつしか、"うちゃりん"と呼ばれ、風景と化していた。

彼女が失踪してから街が寂しく見えてならない…。