俺は後続のタクシーを探して「前のクルマを追ってくれ!」と乗り込んだ。
運転手は一瞬怪訝な顔を見せたが、「どこまで行けるかは保証できませんが」とだけ呟くと車を発車させた。
さあ追っかけっこだ。椎名が椎名でなくなる場所まで。
堀之内のネオンの下を二台の車と女と男が走り去っていった。