遊女は、馴染みの客が本命であるということを証し立てるために起請文を書くわけですが、なにしろプロである遊女、金づると見た相手には馴染みとなってもらうために容赦なく起請文をばら撒きます。
起請文を書いたにもかかわらず他の男と寝れば、そのたびに鴉が三匹×起請文の数だけ死んでしまうのです(そこらへんの話を滑稽に描いたもので、落語の「三枚起請」があります)。


で、この二つを踏まえて「三千世界の鴉を殺し」「ぬしと朝寝がしてみたい」を考えてみると、

「今まで数限りない男と起請文を書いてきたあたし(遊女)が貴方(=ぬし)と寝ることで、世界中の鴉が死んでしまうことになってしまおうとも、それでも今だけは貴方と一緒に朝まで寝ていたい」

という解釈になるわけです。