伊那市や飯田市といった都市圏から離れた向上心がない村の中学で1番だった私は、当時完全に勘違いしていた。
「俺は天才だ」「俺の前世は聖徳太子だ」「こんな山の中でくすぶっている人間ではない」そんなことを口走っては親に怒られていた。あの頃の勘違いが、人格形成を拗らせたと思う。

天竜川沿いの秀才が集まる長野県立伊那北高校に入学して、その自信は見事に打ち砕かれて現実を見た。
伊那北高校では凡才だったが、どこかにまだ「俺は伊那北に入学出来た逸材だ」という意識があった。

みんなで信州大学へという伊那北高校を卒業後、河合塾に入塾して初めて全国が相手ということを意識した。自分は井の中の蛙、お山の大将であることを自覚して、完全に考え方が変わった。
信州大学こそ至高というぬるま湯固定観念から離れて、苦手科目を切り捨てて目標を早稲田大学合格に定めて、人生で初めて本気で勉強した。