数年前、オレが吉原で体験した事だ。
登楼して待合室に通されると、オバちゃんが数人の客と話をしていた。
スポーツ新聞を読みつつ聞き耳を立てていると、どうやらそのオバちゃんは『全盲の息子が筆下ろしをしたいと言うので付き添いで来た』らしい。
オバちゃん(以下母)は色々心配事を口にしていたが、話し相手になってた客の数人は「大丈夫」「心配しなくていいよ」となだめていた。