大学のとき同じ学部に可愛い子がいて、接点がなくてずっと眺めてるだけだった。卒業を間近にしてひょんなことから卒業式の組織委員になり偶然にもその子がいた。
就活の関係で押し付けられただけの委員だったが天啓とばかりにやる気がみなぎって、なんだかんだ委員長格になってしまった。
周りにはおれがその子に好意があるのはバレバレで、打ち合わせや飲み会があれば接触が多くなるように暗躍してくれた。みんな優しかった。
卒業式も無事終わってその後何度か後始末の集まりがあったけど、最後の時は迫っていた。告白するか、学生生活とともに思い出にしてしまうか。
きっかけは突然だった。彼女がおれの名前を呼んだ。下の名前を。初めてだった。思わず好きだと言ってしまった。
いきなりだったけど本心だったし、後から考えてもタイミングはそこしかなかった。彼女は驚きもせず、ニコニコしていた。結局そのときは返事を聞けず、ドカドカと入ってきた他の仲間の喧騒に巻き込まれてうやむやになった。