1980年よりテレビ番組『ムツゴロウとゆかいな仲間たち』で人気を博した畑正憲氏は、81歳となったいまなお動物に愛情を注ぎ続けている。
北海道標津郡中標津町のムツ牧場で暮らしているムツゴロウさんを、ノンフィクションライターの山川徹氏が訪ねた。(文中敬称略)

 * * *

畑は「あれを見てください」と書斎に飾られた一枚の写真を指さした。畑と大型のチンパンジーが草原で親しげに向かい合っている。
人間を半殺しの目に遭わせて、ザンビアの収容所に送られてきたチンパンジーだったらしい。

─人間に敵意を持っているわけですよね。怖くはなかったですか?
「こっちが怖がっていると相手にも伝わり警戒しますからね。しかもぼくは好きで行っているわけですよ。
いつ死んでもいいという覚悟で、正面から行く必要があるんです」

確かに畑は象に踏みつぶされそうになったり、熊に噛みつかれたり、ライオンに右手中指を食われたりと命を賭けて、動物と接してきた。
「中指がなくなってから字や絵をかくのが厳しくなりました」と畑は右手で鉛筆を握ってイラストを描いて見せたが、悲壮感はまったくない。

ザンビアのチンパンジー施設には、人間に飼育されていたが様々な問題を起こして飼いきれなくなったり、捨てられたりしたチンパンジーが送られてくる。
捨てチンパンジーを保護して、交配する相手をあてがって繁殖させるのが、施設の目的である。
しかし畑が出会ったオスは、発情したメスを前にしても何もできなかったらしい。

─何か問題があったんですか?
「飼育されている時期に必要なモノを与えられていなかったんです」

─食べ物の問題ですか。
「それもありますが、食べ物は2次的、3次的なものに過ぎません。心の問題です。頭を撫でてやるだけでまったく違うんですけどね……。
そういう体験をしていなかったので、彼はコミュニケーションが取れなかった。だから発情期のメスと交尾できなかったんです。
ほ乳動物にとって性行為はひとつの壁なんです。同じ場所にオスとメスを入れても交尾するとは限りませんから。最終的に彼はぼくに恋をしました」

─えっ、恋ですか? 畑さんもチンパンジーもオスですよね?
「ええ。ぼくは、メスのチンパンジーとして彼と接しましたから。
とても激しく交尾を迫ってきましたね。それはもうすごかったですよ」

畑のしゃがみ込む姿勢や手首の角度……。確かにチンパンジーっぽい仕草が伝わる写真だった。
1時間メスとしてチンパンジーに付き合った。人間と動物を区別しない畑の真骨頂である。

畑は、チンパンジーが手を取る仕草を再現した。

「こうして、そっとぼくの手を取って手の甲を優しく撫でるんですよ。
そしてぼくの手をペニスに持っていって『しごいてくれ』って」

─射精させたんですか?
「うん」と畑はさらりとうなずいた。
「彼はひとつの壁を乗り越えたんですね。テレビクルーも同行していましたが、放送できないからと撮りませんでした。
もし撮影していたら貴重なシーンだったと思いますよ」

帰国した畑に、チンパンジーがメスと無事交尾できたという手紙が届いた。
生命は単体では生きられず、繋がりが不可欠なのだとしたら、チンパンジーは文字通り畑の手を借りて、動物としての歩むべき一歩を踏み出したのである。

以下ソース
http://www.news-postseven.com/archives/20160906_445705.html

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