東京五輪に向けて各企業、自治体でも彼らに対する意識が変わってきた。
だが、まだまだ浸透はしていないようで……
’20年の東京オリンピックに向け、人権意識を高めようという動きが活発化している。
特に昨年はLGBT(性的少数者)への取り組みを強化する企業が相次いだ。
多く見られるのが、異性同士が結婚した場合に適用される社内制度を、同性カップルにも拡充しようという動きだ。
例えばNTTグループは結婚休暇などを同性パートナーがいる社員にも適用、ANAも配偶者が利用できる福利厚生制度を社員の同性パートナーへも拡充している。
また、昨年は企業のLGBTへの取り組み度合を測る「PRIDE指標」が策定されるなど、社会が企業をLGBT施策の面から評価する基準の整備も進んでいる。
この「PRIDE指標」で「シルバー」を受賞した、イオンで働く36歳の店舗担当主任の男性は語る。
「正規雇用、パートやバイトなどの非正規雇用を合わせるとものすごい数の人々が働いていますので、当然、LGBTの方々も一緒に働いているわけです。
社内研修でもLGBTについても学びますし、各店舗にはLGBTの方が気軽に利用できる多目的トイレも設置されています」
だが、このようにLGBTに対する理解を深める施策を講じる企業が増えている一方で、せっかくの施策が周知徹底されていないケースも多い。
「ウチの会社には同性パートナーへのファミリー割引適用や社内休暇制度がありますが、その事実を知ったのはつい先日ですね。
社内への積極的な啓発活動は特にありませんでした」
(43歳男性・大手通信)
「トランスジェンダーの方を招いた社内講演がありましたが、参加者はわずか8分の1ほどでした。
平日の昼開催で、社員が参加しにくい時間に講演を開く姿勢が『とりあえず対応しています』という意識の低さを証明している気がします」
(30代女性・大手通信)
社内でのLGBT施策もまだまだ発展途上といったところだが、5.9兆円とも言われる市場を狙った商品やサービスの開発にも企業は余念がない。
だが、実際のLGBTの当事者からするとそれらの評判はあまりよろしくないようで……。
「ある航空会社がマイルの家族会員認定を同性パートナーにも認めるようになったことを知り、問い合わせてみました。
ところがクレジットカード会社に『渋谷区のパートナー認定書がないと』と断られちゃったんです。
みんなが渋谷区に住んでいるわけじゃないのに!」
(40代・ゲイ)
せっかくサービスを始めても限られた人しか利用できないのでは効果は薄い。
また、そのサービスの存在自体が、提供側企業の社員に周知徹底されていないケースも目立つ。
「某保険会社の営業の方に、『同性でも生命保険の受取人になれますか?』と聞いたら、無理と断られました。
でも調べたら、’15年から同性間でのサービスを実施していたんです。
そこでもう一度問い合わせたら『対象者の方が少ないので、社内で情報共有ができていませんでした』と謝られました」
(32歳・ゲイ)
「例えば、アメリカではバーガーキングがLGBTのイベント向けに『プラウドワッパー』という商品を作りました。
これは既存製品をLGBTの象徴であるレインボーの包み紙で包み、その裏に“中身はみんな一緒だよ”と書かれているキャンペーンです。
一方日本では、マクドナルドが男性から男性へのキスを罰ゲームとして描くCMを発表しネットで炎上しました」
とはいえ、悪いことばかりではないとも榎本氏は指摘する。
「マクドナルドのCMが炎上し、動画を取り下げたということは、翻せば日本がLGBTへの意識が高まってきているという証拠でもある。
少しずつですが、進んではいるのではないでしょうか」
以下ソース
https://nikkan-spa.jp/1274151
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