「昨年から始まったマイナンバー制度の導入で、『昼の仕事にキャバクラの副業がバレてしまうのではないか』と、昼夜掛け持ちする副業キャバ嬢が一斉に辞めてしまいました。
彼女らのほとんどが20代半ば頃から後半、店の中堅層といわれる年齢のキャストたちでした。
結果、キャストの平均年齢が上がってしまったので、思い切って熟女キャバクラに変えることにしました」
(同)
客に続き、働き手側にも「若者のキャバクラ離れ」が始まった。
店は30代から40代のキャストをメインに集め、熟女キャバクラへと生まれ変わった。
しかし、ただ年齢層が高いだけのキャバクラではいずれ飽きられてしまう。そこで秘策を打ち出した。
「銀座や北新地のクラブのように、接待で使ってもらえる店を目指しました。
今まで企業の接待は、座って数万円する高級クラブが使われていましたが、1人のお客様に対して、ホステスが数人着くことがある。
キャバクラの特徴である1対1の接客を武器にして、接待で使っていただけたらと。
キャストの年齢自体は高級クラブのホステスと変わりません。教育を徹底的に行いました」
(同)
この店では料金は指名しても、1人1時間1万円。
ハウスボトルがあるので、クラブに比べると、かなり安い価格設定だ。
「料金もですが、クラブのような厳しさがないのも特長です。
店内カラオケ禁止とか、出勤の時は必ずドレスにハイヒールとか、そういう規則はうちにはありません」
(同)
働くキャストは、若いキャバ嬢やクラブホステスのような派手さはないが、背中のあいたロングドレスにショールといった落ち着いた衣装が主流だ。
「熟女キャバクラ嬢の魅力は、気を使わなくていいとこ。年齢が近いので話が合います。
若いコ相手だと話が合わないので疲れちゃうんですよね。高級クラブのように、同伴で高級店に連れていかなきゃ、というプレッシャーもないし。
あと、多少のオサワリを許してくれるのも良いですね(笑)」
(熟女キャバクラ常連客)
そんな熟女キャバクラだが、中には比較的若いキャストもいるようだ。
「もともと、キャバクラで働いていたのですが、若いお客さんや女のコのノリに付いていけなくて、こっち(熟女キャバクラ)に移ってきました。
お客様は年配の方が多いので働きやすいです。キャバ嬢のような派手な服装も苦手なので、熟女キャバクラの落ち着いた雰囲気は自分に合っていると思います」
(熟女キャバクラ嬢28歳)
いまや、熟女キャバクラは勢いを増している。
しかし一方で、減りつつある若手のキャバ嬢たちはどう思っているのだろうか。
閉店を間近に控えた「クラブL」のキャストに、先行きを聞いた。
「売り上げがあるキャストは、熟女キャバクラに残れる方針でいるそうです。
でも、全員を今まで通りの時給で、というわけにはいかないみたいです。
私はほかの店を探そうと思ったのですが、時期が時期なので、しばらく熟女キャバに残りながら、ほかの店を探すことにしました。
また、売り上げや出勤が少ないキャストは、遠まわしにクビを宣告されているそうです。
新しい店を探したり、キャバクラの派遣会社に登録するというコもいますが、皆、なかなか移動先が見つからないとぼやいています」
(「クラブL」古株キャスト・27歳)
水商売で2月は、暇な月といわれている。実績がないと、働き口はなかなか見つからないという。
「同じエリアなら、今まで来てくれてたお客さんも引っ張りやすいけれど、この辺りで『L』と同じ料金で飲める店はない。
新天地で一からお客さんをつかんでいくのも厳しいけど、時給が下がるのも困る」
(同)
相次いでオープンする熟女キャバクラの裏側で、多くの若手キャバ嬢たちが路頭に迷っているようだ。
「小悪魔ageha」全盛期の頃のように、彼女らがふたたび日の目を見ることはあるのだろうか。
終わり