昨年3月の人権団体の訴えから、今なお大きな関心を呼んでいる「AV出演強要問題」。
一般紙やテレビなどで広く報道され、被害を訴える女性も相次ぎ、その影響はAV業界にとどまらず、各方面に及んでいる。
今や、業界存続に「一枚岩」と見られた関係者にも亀裂を生み、それを利用しようとする者も現れ、相互不信を呼んでいるという。

今年1月11日、無修正動画配信サイト最大手「カリビアンコム」の名が、場違いにも昼のNHKニュースで淡々と読み上げられた。
すわ、ついに奥の院に司直の手が及んだかと誰もが身構えたが、ニュースの主役は、映像制作会社「ピエロ」の社長ら。
同社が撮影・編集した作品の出演女性が、「勝手に無修正で配信サイトにアップされた」と警視庁に相談したことが摘発のきっかけだという。

昨年6月以来、AV女優・香西咲、ほしのあすから、複数の「AV出演を強要された」と訴える声をもとに、警察はAV業界への捜査を進めてきた。
複数のAVプロダクション幹部が逮捕される一連の流れのなかで、ピエロも家宅捜索を受けており、年が明けて遅まきながらの御用となった格好だ。

「『意に沿わない撮影だった』と被害を訴えても、“強要”を直接的に処罰するのは難しい。だから当局は搦め手から攻めてくる。
ピエロは、わいせつ電磁的記録等送信頒布容疑だし、摘発されたプロダクションの容疑は、労働者派遣法違反ですからね。
強要がなくても、性行為ありの撮影現場に所属女優を派遣した時点で、『公衆道徳上有害な業務』にあたるという判断です」
(AVライター)

つまり、ひとたび女優の機嫌を損ねて警察に駆け込まれるだけで即アウト。
こんなご時世では、関係者同士がいがみ合う。あるAVプロダクション関係者は言う。

「香西咲さんの件では、元芸能人をウリにすることで人気のメーカー『MUTEKI』に20人規模の捜索が入ったそうです。
ほしのあすかさんをAVに紹介した芸能事務所の人間もそうですが、元芸能人をAVに連れてくるヤツは、芸能界のろくでなしばかりですよ」

AV業界において「悪いのはスカウト」という見方は根強い。
彼らが女性を連れてくる際に、騙しや強要の芽が生えているという。
だが、多くのAVプロダクションに女性を送り込んできた歴戦のスカウトマンによれば、そうしたビジネス手法はもう過去の話だ。

「最近はAVプロダクションの面接に連れていっても、20歳以上で『頑張ります』とハッキリ言うコじゃないと取り合ってくれない。
これでは仕事になりませんよ」

一方、スカウトマンの中には、AV業界のこのドサクサを利用する者が出現している。
この問題に詳しい法曹関係者も呆れ顔だ。

「AV出演を強要された女性たちの相談に乗りながら、水商売やセックスワークへ斡旋している人物がいます。彼は本当にひどい」

こうして従来のAV業界のビジネスモデルが崩壊しつつあるなか、かつて熟女AV女優として一世を風靡した川奈まり子氏は、出演者団体「AVAN」を設立、そこで女優の権利を保護するための統一契約書を提案し、これを採用するようAVプロダクションやAVメーカーに呼びかけているのだ。

続く

以下ソース
https://nikkan-spa.jp/1284705

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