伊藤憲二の『ガチンコ素人ハメ撮り地獄変』  元・エロ本編集者による制作備忘録

昨今、AVの出演強要が問題となっている。
エロ業界に身を置いていた十数年前にも同様の問題は掃いて捨てるほどあったが、業界関係者や法曹関係者の皆さんが気に留めたことはなかったと思う。
ロクでもないことが表沙汰になって問題解決に動くことは慶賀の至りだが、昨日今日の話でないものが突如クローズアップされる事態に違和感を禁じ得ない。

一応、当時もAVプロダクションの社長などが強要で逮捕されていたが、不思議なことに大半のプロダクションは比較的良心的で、闇金の片手間で返済不能になった女を所属させていたプロダクションに捜査当局の手が伸びることはなかった。
不思議な話である。

冒頭の問題が表面化したことから、どうも世間の認識は「AV出演の女性=悪辣な方法で騙された」という図式が出来上がりつつあるが、世の中にはいろいろな人間がいるもので、ハメ撮りの応募に「セクシー女優になりたい!」と熱い手紙をしたためてきた女がいた。
すでに引退したので名前を「くるみ」としておこう。

エロ本もAVもエロ業界には違いないが、業務は八百屋と魚屋ほど異なる。要するに別業界だ。
ゆえに手紙をもらった時「AVプロダクションの面接に行きなさいよ」と思ったけれど、くるみは

「エロ業界がどんなところか分からないので、まずはエロ本で雰囲気を感じたいんです」

とおっしゃる。
持参した履歴書を読むと(ハメ撮りの応募に履歴書を持ってくる人間はまずいない)、年齢は21歳でフリーター、スリーサイズはB81・W64・H89とあった。
風俗などでウエストが60センチを超えている場合は、大体トロールか豚の友達だけど、現実の女で64センチは珍しくない。
ルックスも平均的で、スタイル容姿ともに見るべきところがない。

「モデルのストックは十分にあるし、撮影する理由がないなぁ」と途方にくれていたが、その時、知人のスカウトマンから「どんな女でもいいので誰か紹介してください!」と懇願されていたことを思い出した。
どうせ撮影の謝礼は会社の金だし、撮影するだけして後からスカウトマンに紹介料をもらえばいいかと考え、応じることにした。

AV出演を志願しているだけあって、撮影は順調に進んだ。
ただ、素人モデルを撮影すると言っているのに、自前の大人のトイを挿入したり、性器を御開帳したりと、到底コンビニ向けエロ本には使えそうにないポージングをかましてくれたのには閉口したが。

おまけに、撮影に慣れてくると、素人ヌードとは遥か遠い要求を出してきた。
「もっと素人っぽい雰囲気を出して!」と指示しても、彼女のゴールはAVである。何度注意しても気付くとハードなポーズやプレイになってしまう。

「できれば大人数で乱交をしたいんですけど、友達を呼んでもいいですか?」
「ハプニングバーで撮影がしたいんです」

とか言われても、困るのである。

おかげで、撮影を終えてポジフィルムを見てみると、誌面に使えるのはごくわずか。
何とか切り貼りして穏健なページに仕立て上げたが、労多くて報われるところがほぼなかった。

原稿を入稿した後、約束通りスカウトマンに紹介したところ、「伊藤さん、確かに誰でもいいと言いましたけど、あれは酷いでしょう。売りになる部分が皆無じゃないですか」と文句を言われる始末。
まぁ、気持ちは分からなくもない。

ぐうの音も出ない正論なので、一瞬「すみません」と謝ろうと思ったが、メイクマネーのため強気の交渉をしなければならない。

「確かに、彼女に見るべきところはない。が、すげぇエロいんだよ。ウチだと使い物にならないけどAVなら武器になるんじゃないの」

と、さまざまな理屈をつけて何とか合意してもらった。

続く

以下ソース
http://www.menscyzo.com/2017/10/post_14922.html

★関連板★
■えっちな話題なら”ピンクニュース”
http://mercury.bbspink.com/hnews/
■新作AV情報なら”AV情報+”
http://mercury.bbspink.com/avplus/