伊藤憲二の『ガチンコ素人ハメ撮り地獄変』 元・エロ本編集者による制作備忘録

エロにまみれた日々を送っていると、ストレス発散はキャバクラなど女がいる飲み屋ではなくゲイバー辺りが落ち着くようになる。
就職前にどんなに女体が好きだとしても、365日24時間休むことなくエロについて考えていると、女=仕事という図式が刷り込まれ、どんな女を相手にしても落ち着かなくなるのだ。
意識せずに3サイズを予想したり、顔を見てどの部分に修正を入れたら見栄えが良くなるか考えたりしながら飲む酒は、結構不味い。
まぁ、野郎の嬌声を聞きながら飲む酒は旨いのかというと別問題なのだけれども。

いつものようにハメ撮りでごっそり削られた精神をどうにかごまかそうと酒を浴びていたところ、常連客の同業者から「下手な女よりも美形が揃っているニューハーフクラブがある」という情報を教えてもらった。
“女顔で女の恰好をしている店に行くなら、黙って女がいる店に行った方がいいのではないか”とまぜっかえしたら、「どこからどう見ても美女なのに実は男、というのが興奮するんじゃないか!」と熱弁を振るわれた。

熱意か狂気に押されて噂をしていたその店に河岸を変えると、確かにモデルやアイドル顔負けのルックス揃い。しかし、声がハスキー過ぎて、女ではなく男なのだと実感させる。なるほど奇妙な感覚に陥る。
「胸はシリコン入れているのか?」「女性ホルモンを打つと何が変わるのか?」など、飲み屋らしいくだらない話題を繰り広げていた。ここまではキャバクラであれゲイバーであれ、今まで通っていた飲み屋と変わらなかった。
しかし、「これだけのルックスやスタイルなのに、男なんだよなぁ」という違和感が興奮を高める。心底女好きなら、違和感が拒絶反応に変わる場合もあるだろう。
だが、こちとら女にウンザリした状態ゆえにこんな場所にいるのだ。店を出た頃には、ニューハーフAVをレンタルビデオ店で大量に抱えていた。

こうして、方々のニューハーフ系の店を開拓するようになり、そのうち連絡先を交換する相手も出てきた。
そのうちのひとりが、エロ本編集者でハメ撮りを生業としていることを話したら「出たい!」と強い関心を示した。
名前を仮に「カヨ」としておこう。年齢は24歳だった。

カヨは性同一性障害で性転換手術を済ませていた。どんなに女のような顔をしていても華奢な体つきであっても、どことなく男の面影が残っているものなのに、声を除けば男だった跡が見当たらなかった。
おそらくいろんな部分を手術したのだろう。

「自分の体は手術こそしているものの、その辺の女には負けないほど美しい。ずっと女として欲情されたいと思っていたので誌面に出させてほしい」

とカヨは訴えてきた。
女に生まれたかったという気持ちはよく分かったが、普通の女はハメ撮りでエロ本に載りたいとは思わないだろうと思ったが、当時はニューハーフに夢中だったので、役得とばかりに承諾した。
女でも全身サイボーグばりに整形手術をした連中を掲載したことがあるので、まぁ誤差の範囲だろう。

カヨの下着姿は、トップセクシー女優並みだった。こんな体で元は男だというのだからクラクラする。指名しまくった相手を会社の金で抱くのだから高揚感が尋常じゃない。
しかし、こちらの気分が前のめりであるのとは反対に、カヨは「あくまで多くの男に欲情されたい」という思いが主なので、別に筆者とのセックスには前向きでなかった。
フェラする場合は撮影用に軽く咥えたり舐めたりするだけ。生殺しである。

「やる気のないセックスは、写真であれ動画であれ必ずバレる。気持ちを込めないと、見る男は絶対に欲情しない!」

などと説得して奮起させた。まぁ、疑似だろうと何だろうと実際にはそうバレないのだが。

続く

以下ソース
http://www.menscyzo.com/2017/11/post_15242.html

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