全国津々浦々、夜の街に今夜もネオンをともすスナック。その数は10万軒以上ともいわれ、コンビニの約5万5000店を上回る。
だが、これだけの店舗数があり身近な存在なのに、その起源や歴史、営業の実態、さらには社会的影響力など、スナックをひとつの産業としてとらえ、研究・分析した本は少ない。
『日本の夜の公共圏 スナック研究序説』は、「スナックとは何か?」と疑問を抱いた気鋭の学者たちがそれぞれの専門領域から、大まじめにスナックを論じた唯一の学術研究書である。
そのページをめくれば、まさに目からウロコ。日本独自の飲食文化といえるスナックの奥深さと、その秘めたる無限の可能性に気づかされるはずだ。著者の谷口功一氏に聞いた。

* * *

―なぜ、スナック研究に没頭することになったんですか?

父が大分・別府の温泉街のど真ん中に歯科医院を開いていて、家の周りにはスナックがいくつもあった。町内の隣人にはスナックのママさんたちがいて、近所付き合いもありました。私にとって、スナックは幼い頃の原風景としてなじみの深い存在だったんです。
だから、大人になってもスナックはよく利用しているんですが、ある日ふと、「これだけ通っているのに、スナックのことをよく知らない。学術的にきちんと調べられないか」と思い立ったんです。

ところが、いざ調べ始めると、わからないことだらけでした。店舗数といった基本的なデータもなければ、スナックについて書かれた本もほとんどない。ひとりで調べるには限界があると感じて、さまざまな分野の学者に参加を呼びかけて「スナック研究会」を結成しました。
十数回にわたって大まじめな研究報告や議論をしていくなかで、やっと完成したのがこの本というわけです。ちなみに各章の執筆者はみんな第一線の研究者ばかり。スナックについて、本邦初の本格的な学術書に仕上がったと自負しています。

―タイトルにもある、スナックを「夜の公共圏」と位置づけているところが斬新でした。

スナックは東京オリンピックが開かれた1964年前後に生まれたのですが、その変遷をたどるうちに、単にお酒を飲む場所ではなく、地域の人々が夜な夜な集い触れ合うコミュニティ、つまり「夜の公民館」、あるいは「夜の公共圏」と呼べる存在になっているのではないかと考えたんです。
実際、地方に行ってその土地のことを知りたければ、スナックを訪ねればいい。地元の常連とグラス2、3杯を酌み交わすだけで、住民しか知りえないレアな情報を聞くことだってできるのです。それくらい、スナックには濃厚な地域コミュニティが形成されているんです。
しかもスナックにはレベリング(水平化)機能があって、店内では社会的地位のある人もそうでない人もみんな平等。初見の客でも快く迎え入れますし、誰でも自由闊達(かったつ)にコミュニケーションに参加できる。まさしく「夜の公共圏」です。

―スナックの地域分布を調査し、スナック軒数の多い地方では刑法犯認知件数が少ないというデータにも驚きました。

研究会のメンバーが、人工衛星が測定した日本列島の夜間平均光量と全国のスナック所在地、さらには刑法犯認知件数の相関性を分析したところ、人口1000人当たりのスナック軒数が多い地域は光量の暗い田舎が多く、そうしたエリアでは犯罪が少ないということがわかったんです。
誰とでも気軽に会話できるスナックでは悩みも打ち明けやすい。それで日頃のむしゃくしゃやストレスが解消され、犯罪が減るのかもしれませんね。その意味でスナックは「夜の公民館」であると同時に、「夜の教会」とでも呼ぶべきカウンセリング機能も有しているといえます。

続く

以下ソース
http://wpb.shueisha.co.jp/2017/12/20/96775/

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