その一番の被害者と言えるのが、ソープランドで働く泡姫（ソープ嬢）たちである。なかでも、大衆店、さらに格安店と言われる店に勤務する女の子たちの現状は限りなく厳しい。この大衆店云々というのはプレイにかかる総額料金を目安にしたもので、大衆店は２〜５万円未満、格安店は２万円未満の店を指す。ちなみに５万円以上の店を高級店と呼び、なかには１０万円前後の超高級店も存在する。この超高級店でプレイすることこそ、王道であり男の夢であると言い切るファンも少なくない。
さて、その格安店の女の子のなにが厳しいのかというと、ひと言でいってギャラの問題である。ソープランドというのは店舗型性風俗特殊営業という法律によって営業が許可されており、タテマエ上は本番行為をしないことになっている。あくまでも、男性の快適な入浴を女性がアシストする、という形だ。その証拠に厳密に言えばソープの部屋は個室ではない。鍵はつけられておらず、入り口には内部が覗ける窓もある。もっとも、窓は客の上着やバスタオルなどでふさがれ、ドアを開ける無粋な人間もいないが......。
とまれ、客は入場時に店で「入浴料」を支払い、入室したのちに女性に「サービス料」を支払う。基本的にこの「サービス料」から女性のギャラが充当されるが、通常は入浴料とサービス料の比率は１対２（いわゆるワンツー）とされ、総額３万円の店なら２万円がサービス料となる。
いままでは、このうちのすべて、あるいは７、８割が女性の手に入った。それが現在、総額の折半、ひどい場合は総額の６割を店側の取り分として要求されるというのだ。
特に格安店にこの傾向があり、筆者の知己のベテランソープ嬢は６割を要求されえらく憤慨していたものだ。彼女の場合、交渉により５割まで取り戻したが、他の女性は４割のギャラを泣く泣く飲んだという。
彼女が勤務した格安店は山手線内に存在し、ファンなら誰でも耳にしたことのある有名店だ。業界のなかでは良心的なグループとして知られており、けっして悪徳業者ではない。なぜこの良心店が女性のギャラの切り下げに走ったか？
これはひとえに、深刻なソープ離れがある。
その原因はいくつか考えられよう。よく言われるように、若者の性欲が希薄になったことも関係があるのかもしれない。しかし、なによりも大きいのが裏風俗の隆盛と世間の「目に見える風俗」への非難の声だ。
石原都政以降、歌舞伎町を中心とした都内繁華街の風俗店への刈り込みは徹底していて、特にイメクラや性感マッサージなど見なし営業と言われた届出店は厳密な法の施行で壊滅した。
その代わりに風俗業界の花形の座に躍り出たのが９８年の風営法大幅改正で届け出が許可されたデリバリーヘルスである。
しかし、この無店舗型風俗の出来と歩調をあわせるように、過去の亡霊のような本番可のホテトルが復活。さらに援助交際"型"管理売春と言える援デリなどの違法風俗が現れることによって、王道本番店であるソープランドから特に若い客が激変したのだった。
この客離れは格安店ほど多い傾向にあり、実は高級店、超高級店にはそこまでは波及していない。これは、飲食店のなかでも高級店は繁盛している、ということと通じるところもあるかもしれない。金のある客はより、高級なサービスを求め、庶民はひたすら我慢をする。つまり、格差社会が風俗業界にも波及してきたのだ。
貧しきものはより貧しく。それがいやならアンダーグランドに身を沈めろ......。これまで風俗業界は差別が少なく、努力はある意味報われるところではあった。それが変わりつつある、というのが格安ソープ嬢の窮状から見えてくるのだ。
以下ソース
http://tablo.jp/case/news002849.html
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