「夫婦別姓訴訟」3月に再び提訴へ…最高裁判決から2年「再度、判断求めたい」 3月に新たな夫婦別姓訴訟に踏み切る弁護団。代表は榊原富士子弁護士(左から2人目)
選択的夫婦別姓を求める裁判が、新たに始まる。2015年12月に「夫婦同姓は合憲」とする最高裁判断が出されてから約2年。東京都や広島県在住の事実婚夫婦4組が3月、国や自治体を相手取り、別姓の婚姻届が受理されず法律婚ができないのは違憲だとして、賠償を求める訴訟を各地裁で起こす。
弁護団代表は、前回の夫婦別姓訴訟で最高裁まで戦った榊原富士子弁護士。原告の1人と弁護団は2月27日、東京・霞が関の司法記者クラブで会見。前回の夫婦別姓訴訟では、夫婦同姓制度を定めた民法750条が憲法が保障する「婚姻の自由」を侵害していると訴えたが、今回はどのような主張を展開するのか。
今回の訴訟で原告となるのは、いずれも事実婚をしている東京都内の夫婦3組と広島県内の夫婦1組。今回の会見に際し、もう事実婚をして30年になるという都内の夫婦からは、切実なコメントが寄せられた。
「私たち夫婦は事実婚をして30年になる大学教員です。30年前も、日本でも夫婦別姓について多くの議論がなされていました。2人ともにすでに論文を出していたので、姓を変えることは考えられませんでした。
どんなに遅くとも21世紀に入るまでは制度が変わると思っていましたが、実現せず今に至ってしまいました。これまで、別姓を認めていなかった国々でも改革が進み、日本のみになってしまいました。進展しないことは失われた30年そのもの。私たちは裁判に訴えることにしました」
また、会見に出席した、同じく都内在住の看護師の40代女性は、2001年に結婚式を挙げたが、夫婦がお互いの姓の変更を望まなかったという。夫婦の名前はそれぞれ、姓とのバランスも考えて、親がつけてくれた大事なものだとし、仕事でも「看護師など各種資格は戸籍名になるため、旧姓を使用することができません」と不便を訴えた。
女性は子どもを出産した際、事実婚では「婚外子」となってしまうため、一時的に婚姻届を出し、出産後に離婚届を出した。「事実婚の夫婦では、法的な権利が及ばないことが多々あります。これからの社会に必要な選択肢を考えて」と語った。
では、今回の訴訟はどのように戦うのだろうか。ポイントは「夫婦別姓」を希望する人たちに対する差別があると指摘している点だ。
具体的には、憲法14条1項違反、憲法24条違反、国際人権条約違反があると主張する。まずは弁護団が「新主張」と説明する憲法14条1項違反だ。
【憲法14条第1項違反】
憲法14条1項は、「すべての国民は、法の下に平等であって、人種、信条、社会的身分又は門地により、政治的、経済的又は社会的関係において、差別されない」と定めている。しかし、夫婦別姓の婚姻届が受理されないということは、「夫婦別姓を希望するという、夫婦としてのあり方及び生き方に関する自己決定に委ねられるべき事項」、つまり「信条」が差別されているという主張だ。
また、法律婚のみに与えられている法益権利や法的利益(例えば共同親権、相続権、税法上の優遇措置、不妊治療)が与えられない、夫婦であることの社会的承認も得られないなどの点でも、差別があるとする。
【判断のポイント】
「夫婦を同姓とすることに合理性があるか」ではなく、夫婦別姓を希望する人が現在の婚姻制度から排除されてしまうという観点を、弁護団は判断のポイントとして挙げている。
続く
以下ソース
https://www.bengo4.com/internet/n_7504/
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