“フェチの大御所”と言っても過言ではない睦月影郎氏が毎回、本当のフェティシズムを熱く語る本コラム。今回は同氏のフェチの原点が垣間見えます。
フェチというと、女性の下着を好んだり捨てられたティッシュを拾って嗅ぐとかいう変態に思われているが、その通りである。しかし、これは前回も言った通り、恋ありきのロマンチックな衝動によるものなのである。
万葉集に、こんな歌がある。「信濃なる千曲の川のさざれ石も君し踏みてば玉と拾はむ」河原の石ころでも、好きな貴方が踏んだので、宝石と思って持ち帰ります、という意味で、実にロマンチックである。
フェチとは、本来こういうものであり、たまたま下着だの排泄物だのばかり注目するから忌み嫌われるが、本来は顔を見たい、お話をしたい、というごく普通の恋愛感情なのである。そもそもセックスとは五感の全てを使う行為なので、生身の本人が手に入らなければ、物や匂いを求めるのは当然のことなのだ。
もちろん恋愛をすれば、みな好きな人の匂いが好きなので、実際にセックスする時も、シャワーを浴びさせるような馬鹿なことをしてはいけない。フェチの分かっている人は、セックスの前にシャワーを浴びさせるような、ウナ重のウナギを洗って食うような真似は絶対にしないだろう。
もちろん男は事前に清潔に洗い流すのは最低限のエチケットだ。洗う前に致すと、女性も自分の匂いを気にして羞恥が加わり、快感も増すというものである。まあ、フェチの大部分は、こうした生身の恋人がいないから密かに蠢くことになるのだが。
私などは小学生の頃から、好きな子のハナをかんだチリ紙をそっとゲットしたものだった。彼女が捨てて、二度と開かれることのないものを開く悦びというものに目覚めたのが、まだオナニーや射精以前の、十歳の頃であったから一種の本能なのだろう。
そして本来汚いものとされるものを舐めるときめきは、昨日のことのようである。まあ、そんなガキがめでたく官能作家になったのである。
以下ソース
http://www.dansen-web.com/article/detail/3787487/
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