虫歯が減少したことは良いことですが、視力低下は目の機能低下にほかならず、大きな問題といえます。裸眼視力が1.0未満の割合の増加が深刻で、幼稚園で27.9%、小学校で31.5%、中学校で54.6%、高校で69.9%と、いずれも過去最高となったのは由々しき事態です。眼科専門医で慶応大学教授(眼科学)の坪田一男氏はこう警告しています。
「大人になっても近視が止まらない人もおり、より強度の近視に進むと眼鏡などでの矯正も難しくなり、さらに失明につながる恐れもある。放置してよいものではない」
こうした視力低下の主因として、スマートフォン(スマホ)やタブレットの使用が挙げられています。しかし、子どもの視力低下は今に始まったことではなく、問題視され始めたのは1980年代からで、その当時はスマホもタブレットはありません。
当時、主因として指摘されていたのは、テレビやファミリーコンピューター(ファミコン)などで、やはり目を酷使することが視力低下を招くとされました。
しかし、視力のピークになる年齢などを精査した結果、テレビやファミコンは主因ではなく、実は柔らかい食べものによる咬合力の低下が視力低下の実態と符合するとの指摘があります。
早くから軟食と視力低下の関係を指摘した宮崎教育大学の島田章夫教授(当時)は、1988年7月25日付教育医事新聞記事『視力低下の原因 −食物の軟化で咬合力弱く−』で、幼稚園児の咬合力と視力の調査の結果、咬合力の低下傾向が著しいことから、「これでは将来視力の低下を招くことは否定できません」と現状を予測しており、残念ながらその通りとなってしまっています。
ヒトは、生まれた時は目がほとんど見えませんが、成長に伴い徐々に見えるようになります。視力はカメラのレンズに相当する水晶体を、毛様体筋という筋肉が働いて調整することでピントが合い、くっきり見えます。この毛様体筋を単独で鍛えることは難しく、目に隣接するさまざまな筋肉を使うことで連動して鍛えられると考えられています。特に、食べ物を噛む時に働く咀嚼筋(咬筋、側頭筋など)は、隣接する筋肉のなかでは一番大きな筋肉なので、その影響は大きいと考えられます。
また、目の網膜には、魚に多く含まれるオメガ3脂肪酸のDHAが多く存在し、その機能を支えていますが、子どもたちやその親世代の魚離れによるDHA不足も視力低下に影響を与えています。
こうしたことを裏付けるように、子どもの好きな食べ物と挙がるのは、カレー、ハンバーガー、フライドポテト、ヨーグルト、プリンなどで、魚類が少なく、いずれもよく噛まなくても飲み込める柔らかいものばかりです。
最近では、ごはんを「硬い食べ物」、豆腐を「普通の硬さ」と答える子どもがいるなど、咬合力低下は深刻さを増しています。さらに、こうした硬さの感覚低下も視力低下とリンクしています。また、乳幼児の早すぎる時期の離乳も、食べものを噛まずに飲み込むことを覚えてしまうので、その後の咬合力低下につながり、ひいては視力低下に結びつきます。
続く
以下ソース
http://biz-journal.jp/2018/05/post_23202.html
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