そんな弱点を補助する検査として「血液で鬱病を測る」臨床研究が進められている。「ＰＥＡ検査」と呼ばれ、５ｃｃほど採血をするだけ。開発した「川村総合診療院」（東京都港区）の川村則行院長が説明する。
「この検査は、血液の血漿（けっしょう）中に含まれる『リン酸エタノールアミン（ＰＥＡ）』という非常に小さい化合物の濃度を測定します。その数値によって本当に鬱病なのか、鬱病であれば治療でどの程度よくなったかの改善度も分かります」
ＰＥＡは全身の臓器に存在する物質だが、脳内に圧倒的に多くある。鬱病になると脳からＰＥＡの流出が少なくなると考えられ、血中濃度が１・４未満になると鬱病と判断される。川村院長が２０１１年から測定した患者数は約２０００人。最新のデータで鬱病をひろい上げる「感度」、鬱病でない場合に鬱病と診断されない「特異度」は共に８８％以上の精度という。
「特に、鬱病と症状が非常によく似ていて間違われやすいのは全般性不安障害です。ところが両疾患は、高い効果が見込める薬の種類が違います。現在、日本の通常診療で鬱病と診断されている３分の２は不安障害やストレス障害とみています」
しかし、ＰＥＡ検査にも弱点がある。通常、鬱病では食欲が減退するが、中には過食を伴う鬱病もある。その場合、食品にもＰＥＡは含まれることも関係して、食欲が増えるような鬱病ではＰＥＡ濃度の低下が現れにくくなる。統合失調症と鬱病では明らかに症状に違いがあるが、検査値は鬱病と同様に低めに出る統合失調症もあるという。
また、飲酒習慣があるとＰＥＡ濃度を下げる。普段や検査当日の睡眠時間や喫煙習慣、検査前の食事の時間、持病の薬の有無などは検査値に影響を与えない。
「当院の鬱病の患者さんは生活改善も含めた治療で、ほとんどが１年半あれば治っています。だから他院で２年経過しても治らなければ薬が適切でなかったり、診断が間違っていたりする可能性があります」
ＰＥＡ検査は他の精神疾患でもデータを集めているので、鬱病の患者でなくても希望があれば受け付けているという。（新井貴）
現在、川村総合診療院以外で臨床研究を行っている施設はなく、検査費用は無料。希望者は電話で予約。結果が出るのは２週間後で、結果内容は医師から書面と口頭で説明がされる。
以下ソース
http://www.zakzak.co.jp/lif/news/180521/lif1805210009-n1.html
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