安倍晋三首相は7月17日夕、首相官邸で欧州連合(EU)のドナルド・トゥスク欧州理事会常任議長(大統領・ポーランド出身)、ジャン=クロード・ユンカー欧州委員会委員長(ルクセンブルク出身)と会談後、日本とEUの経済連携協定(EPA)に署名した。 
同協定承認案が今秋の臨時国会で批准されれば、2019年初頭までに発効する。人口約6.4億人、世界の国内総生産(GDP)の約28%をカバーする巨大な経済圏が誕生することになる。

トゥスク大統領は署名式後の共同記者会見で「我々は保護主義に対し、ともに立ち向かう」と述べたが、トランプ米政権が相次いで打ち出す「アメリカ・ファースト」の通商・貿易政策を念頭に、EUが日本と協力して自由貿易推進の旗を掲げていくとの強い意志を表明したのである。
安倍首相も同会見で「保護主義への懸念が高まる中、(日欧の)EPAが利益をもたらすことを(世界に)示していきたい」と語り、EUと歩調を合わせて保護主義に対抗する意向をアピールした。

とはいえ、さきにドナルド・トランプ大統領が、米国が輸入する自動車に一律25%の関税を課すことを示唆したことで、日本と欧州、特にドイツの基幹産業でもある自動車に対する関税引き上げは深刻なダメージとなることから、トランプ氏の”本気度”を推し量ることに汲々としている。
自動車は日本の対米輸出額約15兆1110億円の30.2%を占め、ドイツの対米輸出額は1120億ユーロ(約14兆5600億円)の30%強が自動車関連とされる。日本とドイツ両国にとって、自動車は対米輸出主力製品なのである。

ここで想起されるのは、11日にベルギーの首都ブリュッセルで行われたトランプ大統領と北大西洋条約機構(NATO)のストルテンベルグ事務総長(スウェーデン出身)との朝食会談である。
その席でトランプ氏は次のように語った。

Germany is totally controlled by Russia because they will be getting from 60 to 70 % of their energy from Russia. Germany is a captive of Russia.
(ドイツは消費するエネルギーの60〜70%をロシアから輸入している。ドイツはロシアの捕虜である)

トランプ大統領の左隣に座るマイク・ポンペオ国務長官、右隣2人目のジョン・ケリー大統領首席補佐官はこの発言を聞いて、それぞれ下と横を向いてしまった。
プロトコール(外交儀礼)上、非礼極まりない大統領発言に耐えられなかったに違いない。だが、これが「トランプの流儀」なのだ。

米国は、旧ソ連の軍事的脅威に対抗すべく設立されたNATOに対して東西冷戦時代以降これまでに軍事的・財政的支援を行ってきた。
だが、NATO加盟国であり、EU主要国でもあるドイツがロシアにエネルギーで首根っこを押さえられた挙句、大量のドイツ車を米国に輸出している、とトランプ氏は怒っているのだ(ちなみに、ブリュッセルにはNATOとEUの本部がある)。

自動車関税25%が発動されれば、日独自動車メーカーは壊滅的な打撃を受ける。マツダやホンダのダメージは計り知れないものとなる。ベンツやBMWも同様だ。
そこで今、安倍政権はこの自動車関税問題でEU=ドイツと連携するのではなく、米側に対し独自に25%課税対象から外すよう水面下で働きかけているというのである。いわゆる「抜け駆け」である。

安倍官邸は先々週末から先週にかけて、密かに「特使」をワシントンに派遣した。経団連訪米団を率いてワシントン入りした甘利明元経済再生相が、非公式にロバート・ライトハイザー米通代表部(USTR)代表と会談、日本車を関税対象から除外するための「条件」について協議したとされる。事実上の政府特使である。
日欧EPA発効による輸出入の活発化などで日本のGDPを約1%(約5兆円)押し上げ、約25万人の雇用を創出するという試算がある。EUから日本にワインを輸入する際の関税は現行15%が即時ゼロになり、チーズも現行29.8%を低関税枠に変更した上で16年目にはゼロにする。欧州産のワインやチーズの値下げが期待されるのだ。

続く

以下ソース
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/56636

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