かの悪名高い「ジャック・ザ・リッパー(切り裂きジャック)」は、英国ロンドンのイーストエンドとホワイトチャペルで、1888年の夏の終わりから11月初旬の約2カ月の間に、売春婦を次々に惨殺した連続殺人犯である。

ジャックの手にかかったと判明している被害者は、メアリー・アン・ニコルス(42歳)、アニー・チャップマン(47歳)、エリザベス・ストライド(44歳)、キャサリン・エドウッズ(43歳)、メアリー・ケリー(25歳)で、5人全員が売春婦だった。そして5人とも犯人によって「解剖」され、臓器を持ち去られていた。そしてジャック・ザ・リッパーは5人を殺した後、忽然と姿を消した。

19世紀のロンドンに出没したこの殺人鬼に魅了され、正体を突き止めようとする好事家は多い。「リッパロロジスト(切り裂きジャック研究家)」と呼ばれる人々だ。

著名なリッパロロジストの一人であるジョン・モリス氏は、著書『Jack The Ripper:The Hand Of A Woman』の中で、「これは女の犯行であった事は間違いなく、疑いの余地はない」と断言する。

そして彼は、1888年にロンドンのイーストエンドで5人の殺人を実行する動機と凶器、そして専門知識を持っている容疑者はリジー・ウィリアムズだけだと実名を挙げる。

リジー・ウィリアムズは1850年に裕福な実業家の娘として生まれ、女王のかかりつけ医師であるジョン・ウィリアムズ卿の妻となった。この連続殺人が起きた時、リジーは38歳で子どもを授かれないことをひどく悩んでおり、精神不安定だったという。そして夫のウィリアムズ卿は、ジャック・ザ・リッパーの最後の犠牲者であるメアリー・ケリーと不倫関係にあった。

モリス氏はこう推察する。彼女は不妊によって夫に捨てられること、愛人のメアリー・ケリーに子どもができることを恐れていた。そこで彼女はメアリー・ケリーを殺すために、この連続殺人を開始したという大胆な推理を展開する。そしてリジーは、売春婦は簡単に妊娠するが「子どもを持つ資格はない」と決めつけるほど彼女たちを嫌っていた。

ウィリアムズ卿はビクトリア女王のかかりつけ医師の職務だけでなく、殺人事件が起きたホワイトチャペルで中絶病院も運営していた。彼女は夫から解剖学的知識を学んでおり、外科用ナイフを使い凶行に及んだとモリス氏は考える。

また5人の被害者中、3人が子宮を切除されていたが、最後の被害者であるメアリー・ケリーの子宮切除が最も巧妙だった。モリス氏は、その理由を殺人者はほかの女性で子宮摘出の技術を「練習」していたのだという。この時代、一般の人々は子宮に対する知識は皆無で、子宮の位置を心得ているのは医学的知識を持つ者だけであった。

また手始めの4人の被害者は、道に立ち客を探す年取った売春婦で、殺害現場も路上であった。しかし、メアリー・ケリーだけが被害者の中で25歳と若く、女王のかかりつけ医師と不倫関係を持つような高級娼婦だった。そして彼女だけが、室内で殺されている。

また、ジャック・ザ・リッパーが女であった別の証拠として、第4の犠牲者であるキャサリン・エドウッズの死体近くの血だまりで、女性のブーツに使われる小さなボタンが3個見つかったことも挙げる。そして、メアリー・ケリーの部屋の暖炉の灰からは、女性の衣服の残骸が見つかったが、それは被害者の物ではなかった。

リッパーの犠牲者のいずれもが性的暴力を受けておらず、新聞報道によれば2番目の被害者のアニー・チャップマンの足元に残された故人の所有物は、「女性的なやり方」で整頓されていたという。

これらの陰惨な連続殺人事件の直後、リジーは錯乱状態に陥った。その後、彼女は1912年にがんで死んだ。

続く

以下ソース
https://tocana.jp/2018/09/post_18150_entry.html

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