セブンイレブンやローソンでも、スタッフ確保のための制度が導入されているようだが、共通するのは「賃金以外の待遇改善」ということ。ネットからは「どうしてそこまで賃金をあげたくないのか」「賃金を増やせよ」とツッコミを食らっている。
弁護士ドットコムニュースが「賃金は上げないんですか」と質問したところ、ファミマは「賃金はオーナーが決めること」と回答。「その代わりに本部はサポート的な取り組みをしている」という。(編集部・園田昌也)
「スタッフの賃金を上げろ」というネットの言葉は、どこに向けられているのかーー。もしも本部だとしたら、それは誤解だ。
コンビニはほとんどがフランチャイズ(FC)店舗。ファミマが言うように、時給をいくらにするかは「独立した事業者」であるオーナーの裁量だ。
もしも本部に言うとしたら「加盟店のチャージ率(ロイヤリティー)を下げろ」や「チャージの計算に人件費も含めろ」だろう。
コンビニ業界のチャージ率は平均60%ほど。各店舗は、売上から売れた商品の仕入れ値を引いた額(純粋粗利)のうち、60%を本部に差し出し、残る40%から人件費などの経費を払う。最後に残るのがオーナーの収入だが、最低賃金の引き上げなどで人件費が高騰している。
24時間営業だと、平均的な店舗でも時給が5円あがると人件費は年間10万円ほど増える。一方、最低賃金の全国平均は、この5年で、764円(2013年度)から874円(2018年度)へと、110円もアップしている。
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多くの店舗は夫婦で営業しており、単純計算すると、年間の世帯収入600万円だったのが、400万円にダウンするくらいのインパクトだ。それではやっていけないので、多くの店舗でオーナー夫妻が休みなく働き、人件費を節約している。
【参考記事】「最低賃金」アップで24時間「コンビニオーナー」から悲鳴、本部の支援乏しく(https://www.bengo4.com/c_5/n_8617/)
時給を上げたくても上げられない。そして時給が見劣りするため人が寄りつかず、さらに自身の労働時間が増えるという悪循環に陥っているオーナーが少なくない。
本部も、現場の労働を軽減するための施策はとっている。ファミマでも利益率が高い商品の開発や、廃棄商品の本部負担を増やすなどしているという。
しかし、本部収入の大部分を占めるチャージ料に手がつけられる気配はない。むしろ、ファミマとローソンは新規の契約からチャージ率を上げている。
2017年にセブンは1%下げたが、これについても、同業他社と比べて元々セブンの店舗は売上が高く、チャージ率も高いという事情があった。ちなみに、あるセブンのオーナーによると、チャージ率が1%下がったことで、店舗の取り分が月6?7万円(年70?80万円)ほど増えたという。
兵庫県内のファミマ店舗オーナー・酒井孝典さんは、家電を割引するというファミマの施策について、「福利厚生としてはよいと思います。スタッフの間でも『安い』と話題です」と評価する。一方で、抜本的な待遇改善にはつながらないと見る。
酒井さんは、オーナーらでつくる「コンビニ加盟店ユニオン」の執行委員長でもある。
「地域や店舗によって売上が違うので、一律のチャージ引き下げを疑問視する意見もあります。そうであれば、オーナーが過労死ラインを超える働き方をしなくても、なんとか暮らせる程度の水準まで、『最低保障』を引き上げるという考え方もあります」
最低保障とは、店舗の年間総売上が一定額に達しなかったとき、本部が補填してくれる仕組みのことだ。
続く
以下ソース
https://www.bengo4.com/c_5/n_8685/
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