これは、2017年4月に放送された、人気のバラエティー番組『天才!志村どうぶつ園』(日本テレビ系)の名物企画「捨て犬ゼロ部」。保護犬たちが里親を探す譲渡会の様子だ。ふたりが訪れたのは、広島県の神石高原町にあるNPO法人「ピースウィンズ・ジャパン」が運営する “殺処分ゼロ”プロジェクト「ピースワンコ・ジャパン」の本拠地。清潔な施設の中で、保護された犬たちは元気いっぱいに走り回っている…はずだった。
「テレビに映ったのは施設のほんの一部だけ。ピースワンコ・ジャパンは大きく広島県内で4つのシェルターに分かれており、前出の施設は誰もが見学できるうえ、里親が見つかりそうなフレンドリーな犬ばかりを集めた、いわば“表の顔”。公開されていない施設では、狂犬病の予防注射すら打たれず、狭い檻の中で悲鳴を上げる保護犬たちがいたんです」
怒りに震えながら話すのは、昨年6月から今年1月まで、獣医師としてビースワンコ・ジャパン(以下、ピースワンコ)のサポート活動をしていた竹中玲子先生だ。
竹中先生が指摘する通り、11月20日、広島県警は「ピースウィンズ・ジャパン」と代表らを書類送検した。保護犬25頭に狂犬病の予防注射を受けさせておらず、狂犬病予防法や県の条例違反の疑いがあるという容疑で、代表らはこれを認めている。
竹中先生は「同団体が抱えている問題はこれだけではない」と続ける。
「私がいた保護施設は劣悪な環境で、多くの命が次々に失われていきました。カメラが回っていないところでは、動物虐待が起きていたのです」
内部からの声を受け、複数の動物愛護団体が動物愛護管理法違反でピースワンコを告発。その内容は、狂犬病の予防注射の未接種だけでなく、劣悪な飼育環境かつ、職員の絶対数や器具が足りず充分な処置ができていないことなど、あまりにも悲惨なものだった。
なぜ犬たちにとって保護されるべき場所が生き地獄と化したのか。実態を知る竹中先生と、動物愛護活動に長年携わり、今回の告発に名を連ねる杉本彩(50才)が語った。
竹中:「犬の殺処分ゼロ」を看板に掲げるピースワンコは、毎週のように広島県の保護施設から犬を引き取るから増えていく。6月時点で団体が管理する犬は2300頭。
杉本:国内では類を見ない収容規模ですね。それだけの頭数に対し、面倒を見るスタッフは何名いるのでしょうか?
竹中:4つのうちの1つのシェルターでは当時1400頭いて、スタッフは7〜8名だったので、1人のスタッフが約200頭を世話する計算でした。また、常勤の獣医はたった1人。収容数も限界で、約10畳の広さに20頭以上の中型犬が収容されている部屋もありました。
──事実関係をピースワンコに問い合わせると、《事実と異なります。常勤の雇用スタッフ以外に応援スタッフや外注の清掃業者スタッフら複数名が毎日の各犬舎の業務に携わっています。獣医療についても、常勤の雇用獣医師は1名ですが、他に継続的に業務委託している獣医師がいるほか、近隣の複数の動物病院にもご協力いただいています》という。
対して竹中先生はこう反論する。
「確かに非常勤の獣医師はいましたが、数人であり、充分とはいえない状況でした。また、“近隣の動物病院”といっても歩いて行ける距離にはなく、スタッフが車で動物を連れて行く必要がありました。緊急事態に対応しきれていなかったと思います」
続く
以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20181207_819019.html
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