アメリカのトランプ政権誕生後、すっかりおなじみになった感のある「フェイクニュース」という言葉。事実とは異なる「嘘」(フェイク)を拡散し、社会を不安定化させる「ネット世論操作」が今、第5の戦場といわれる「サイバー空間」を舞台にした戦略的な軍事兵器と化している──。

そうした現実をサイバーセキュリティに詳しい作家の一田和樹氏が、新著『フェイクニュース 新しい戦略的戦争兵器』(角川新書)で明らかにする。

* * *

──一田さんは「フェイクニュース」を一種の「軍事兵器」だと指摘していますね。

一田 日本ではフェイクニュースというと、「メディア論」とか「ジャーナリズム」の視点で語られることが多い気がします。

しかし、これを私の専門であるサイバーセキュリティの視点で見ると、より規模や影響の大きい「戦略的な兵器」としての側面が表れてくる。そこで「ハイブリッド戦」の兵器としてのフェイクニュースについて考察してみようと思ったのが、この本を書いたきっかけです。

──ハイブリッド戦とは?

一田 今、世界の戦争は戦車やミサイルといった既存の軍事兵器を駆使したものから、情報、メディア、経済、宗教など、社会を構成するあらゆる要素を総合的に「兵器」として活用する「ハイブリッド戦」の時代に移行しています。

そして、ハイブリッド戦の中でも重要な位置を占めつつあるのが、陸海空と宇宙に続く、第5の戦場「サイバー空間」で、特にSNSなどを舞台にしたネット世論操作です。

その目的は情報を使って戦略的に相手(敵)を混乱させること。フェイクニュースはその有効なツールであり、今や安全保障上の最重要課題のひとつに数えられるようになっています。

──「情報戦」という言葉は以前からありますが、フェイクニュースが軍事兵器として活用されるようになったのは、いつ頃からなのでしょう?

一田 ハイブリッド戦の元になる考え方は、喬良(きょうりょう)、王湘穂(おうしょうすい)という中国の軍人が1999年に発表した論文『超限戦』で示されました。

また、2013年にはロシア軍のワレリー・ゲラシモフ参謀総長が「21世紀の戦争では、旧来の軍事兵器よりも非軍事兵器による攻撃のほうが有効だ」という、通称「ゲラシモフ・ドクトリン」と呼ばれる記事を発表し、それが翌年発表されたロシアの新しい軍事ドクトリンにも反映されています。

16年に行なわれたアメリカ大統領選にロシアが組織的に介入したとされる「ロシアゲート」は、フェイクニュースを戦略的な兵器として利用した最も典型的な例であり、最も成功した例だといえるでしょう。

──フェイクニュースを「戦略的な武器」として使うのは、「国」だけとは限らない?

一田 情報を使った超限戦の特徴は、それが旧来のような「国家対国家」ではない形、例えばIS(イスラム国)のようなテロリスト集団対国家や、企業対国家、国家対特定の自治体など、あらゆるレベルでの「戦争」を可能にしてしまうという点だといえます。

しかも、サイバー空間を使った戦争では「宣戦布告」の必要もありません。そのため、それが「戦争なのか」という判断自体も難しいし、匿名性が高いので攻撃の主体がなんなのか特定することも難しい。

また、かつての情報戦では特定の思想、例えば「共産主義を広げるプロパガンダ」が主流でしたが、現代の情報戦では右でも左でもいいので、ともかく「過激なことを言っている人たち」を支援することで、相手の社会を不安定化させるのです。

ロシアが関与した大統領選後のアメリカを見れば、その効果は誰の目にも明らかです。

続く

以下ソース
https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/01/08/107956/

★関連板★
■えっちな話題なら”ピンクニュース”
http://mercury.bbspink.com/hnews/
■新作AV情報なら”AV情報+”
http://mercury.bbspink.com/avplus/