神奈川県の東名高速道路で一昨年に起きた夫婦死亡事故など、あおり運転が社会問題化するなか、検察側が異例の殺人罪で起訴し、注目を集めた裁判。殺意の有無が最大の争点となる中、決め手となったのはドライブレコーダーの映像だ。
検察側は公判で、中村被告の車と目撃者の車に搭載されていたドライブレコーダーを証拠として提示。ハイビームを照射し、クラクションを連発。さらに車線変更しながら時速１０３〜１１０キロのスピードで高田さんのバイクを猛追し、そのまま大きく減速することなく追突する様子を動かぬ証拠として突きつけた。
また、レコーダーには、衝突後に「はい、終わり〜」という被告のいかにも軽い調子でのつぶやきも記録されていた。
一方で、被告は「故意に被害者に衝突させたことはない」として、“事故”だと主張。つぶやきの意味については当時、飲酒運転だったことを明かし、「自分の人生が終わったという意味」と説明した。弁護側も自動車運転処罰法には当たり得るが、殺人罪は成立しないと訴えた。
裁判長は「内容から衝突は想定内の出来事だったと推認される」とし、つぶやきについては「軽い口調から悲しみの吐露とは考えられない」と指摘。「ぶつかれば死亡すると認識していた」と被告人らの主張を一蹴した。
今回の判決について、法曹関係者は「ケガをさせても構わないというのと、死んでも構わないというところには大きな壁がある。９６〜９７キロで衝突しているのは、殺意を認定するにあたって重要なポイントだったと思う。求刑の８掛けというのが、一般的なところではありますが、今回は１６年ということで裁判所も考えていることがうかがえる。いずれにせよ、過去に例のない画期的な判決だったといえるのではないか」と話す。
被告人のつぶやきが判決に及ばした影響については「それなりに大きいところだ。積極的にあおり、そのスピードでぶつけていながら、『どうしよう…』などの文言ではなく、冷静に『はい、終わり〜』と言っている。裁判所もぶつけるのが目的だったと認定したのだろう」と指摘。今後、控訴審が開かれても「同様に殺意を認定する可能性は高いのではないか」と予測した。
今回の判決では、ドライブレコーダーが大きな役割を果たす形となった。あおり運転に対する殺人罪での起訴が今後、増えるかについては「ドライブレコーダーの証拠化は進んでいくだろう。殺人は内面の立証なのでなかなか難しいが、今回の判決が一例となった。今回のようにドライブレコーダーの映像と実際のスピード、『はい、終わり』といった文言など、状況が揃えば検察が殺人罪での起訴に踏み切る可能性は高まるだろう」とみている。
以下ソース
https://www.tokyo-sports.co.jp/nonsec/social/1259272/
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