時代の変わり目だからこそ気づくこともある。われわれは「否定」し過ぎているのではないか。大人力を研究するコラムニストの石原壮一郎氏が提唱する。

 さんざん大騒ぎして早くもお腹いっぱい感が漂っていますが、5月1日から新元号の「令和」がスタートしています。せっかくの新しい時代ですから、新しい気持ちで、なるべく幸せな毎日を過ごしたいところ。そのために活用したいのが「ホメ言葉」です。

 平成後半の日本は、ネットやSNSの広まりとも深い関係がありそうですけど、多くの人が他人を罵倒したり批判したりすることに一生懸命でした。それで物事がいいほうに変わったという話は、寡聞にして聞いたことがありません。罵倒や批判は発すれば発するほど本人も不愉快になるし、まわりにマイナスのオーラを巻き散らかします。

 イライラよりニコニコ、否定より肯定、罵倒より称賛。ホメ言葉は世界も自分も救います。令和に立ち向かう私たちは、他人や物事のいいところを見つけて、あの手この手でホメてしまいましょう。そんな生き方を可能にするには、どんなにホメづらいものでもホメるという強固な意志と細かいテクニックが必要です。

 艱難汝を玉にす。何でもホメることができる自分になるために、もっともホメづらそうな対象に立ち向かってみましょう。ホメづらいと言えば、というか否定の言葉なら即座に山ほど浮かんでくる存在と言えば、いろんな種類の「ダメなおじさん」たち。ここでは代表的な2種類の「ダメなおじさん」をホメるという難問に挑んでみます。

◇難問その1「過去の栄光の自慢話か的外れな説教しかしないおじさん」

 何かと言うと「俺たちが若いころは」「近ごろの若いものは」と言いたがる過去の栄光おじさん。そういう人たちは、じつはたいしたことはない「過去の栄光」を最大限に活用しています。すなわち「ものを大事にする」という美徳を備えていると言えるでしょう。

 ピントのずれた説教をしてウットリできるのも、ある種の才能。自分が口にしている凡庸な意見に高い自己評価を与えられるのは、並々ならぬ「ポジティブ思考」の為せる業と言えます。相手がウンザリしていることに気がつかない鈍感さも、自分のやりたいことを貫く強い意志の表われに他なりません。

 この手のおじさんに遭遇したら、「ものを大事になさっている姿勢が素晴らしいですね」「ポジティブさと意志の強さ、私も見習いたいです」とホメて差し上げましょう。まんまと喜んでくれたら、たっぷり感じさせられた鬱陶しさも少しは和らぎます。

◇難問その2「自覚がないけど差別が生きる支えになっているおじさん」

 少し前にこの欄で「差別おじさん」について書いたところ、たくさんの反響をいただきました。ありがたい限りです。賛同の声も多かったいっぽうで、ネットニュースのコメント欄やSNSでは、反論や罵倒の声もたくさん寄せられました。反論や罵倒のコメントがまさに絵に描いたような「差別おじさん」っぷりを体現していて、苦笑させられつつ、問題の根の深さを感じさせてもらった次第です。

 ひときわ難問ですが、がんばってほめてみましょう。自分の差別意識や差別的な言動を正当化するために、「差別はどこにでもある」「相手の側に問題がある」という子どもの言い訳みたいな理屈(「みんなやってる」「あっちが悪いんだ」的な)で自分を納得させられる人は、「いつまでも子どもの素直さを持ち続けている」と言えなくもありません。

 己のみっともなさを省みることなく、多様な視点を持とうという発想もさらさらなく、自分の国や性別や属性に「特権意識」を抱けるというのも、言ってみれば「シンプルな純粋さ」を持っている証です。機会があったら、試しにそう言ってホメてみてください。ま、ちょっとでもカンがいいと、本当はバカにされていることに気づきそうですけど。

続く

以下ソース
https://www.news-postseven.com/archives/20190504_1365342.html

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