まもなく初めての子どもが生まれるM氏は、ツイッターに流れてくる母親たちの夫への不満を眺めては「世の中には、こんなダメな父親がいるんだなぁ」と思っていた。M氏は「俺は、絶対にこんな父親にならないぞ。子どもは2人の子どもなんだから、妻だけに大変な思いをさせたりしないで2人で育てるんだ」と意気込んだ。

しかし、実際に子どもが生まれてみると、M氏は自営業という立場柄、取引先との付き合いを断つこともできない。それでも家に帰れば直ちに妻から育児をバトン・タッチし、子どもを寝かしつけ、朝まで頑張っていた。でも産後数カ月が過ぎたころ、さすがに疲れてきて、最近はついグッタリしてしまうこともある。

M氏は、そんな時、こんな妄想もしてしまうという――自分が見ていないところで、妻がスマホをつかみ取り、ツイッターへ自分のダメぶりを書き込んでいるという妄想だ。子どもはかわいい。だが、頑張っても、頑張っても、妻に満足してもらえないのではないかという不安に、M氏はさいなまれていた。

育児に時間を使う父親は増えてきたが、その影でM氏のような男性の育児ストレスも専門家の間でしばしば話題になる。これは一体なぜだろう。

父親の育児休暇取得率という数値は、強制的に取得させる制度ができれば増やせるだろう。でも肝心なのは、夫婦がどのように支え合って過ごせるかだ。

「育休をとってくれても、実際に育休をとった夫が家事・育児をした時間は1日わずか2時間以下が3割強」――こんな調査結果も話題を呼んだ(『パパ・ママの育児への向き合い方と負担感や孤立感についての調査』日本財団×「変えよう、ママリと」調べ?2019年10月実施)。

育児も男女平等が理想なのに、なぜか思うようにならないから女はいら立ち、男は肩身が狭い――令和の子育てにはそんなジレンマがあり、無視できない育児ストレスとなっている。

「ヒトも哺乳類である限り、育児の男女平等を実現することは生物学的に不可能なんです。そこに固執すると、思うようにいかないイライラがつのり、育児はもっとつらいものになってしまいます」

そう言うのは、動物行動学者・神経行動学の研究者でとくに動物の「コミュニケーション」「養育行動」に造詣の深い菊水健史氏(麻布大学獣医学部教授)である。この分野は人間もヒトという霊長類の一種として扱い、行動特性や脳内物質・神経システムの解明などを通じて、私たちが私たち自身を知るヒントを提供している。

自身も1児の父である菊水氏は、「僕も妻に『それは研究の世界の話でしょう』と言われますが」と苦笑しながら「どんな生物にも、子育てには明らかな『性差』があります。男性は、女性より苦手です」と言う。

「平等という言葉を、どうとらえるかが問題です。学業やビジネスでは、基本的に男女の差はないと思っていいでしょう。勉強や仕事は、大脳皮質を使うヒトに特有の作業だからです」

しかし、子育てで使われる脳は、そこではない、と菊水氏は指摘する。

「子孫を産み育てる行動は、ヒト以外の動物にもある非常に古い脳がつかさどる仕事です。そこにある視床下部という器官からオキシトシンというホルモンが分泌されて養育行動が起こりますが、実は、男性ホルモン(テストステロン)は、育児行動を起こすホルモン『オキシトシン』の分泌を阻害するのです」

オキシトシンは、子どもが巣から落ちたら拾いに行ったり、子どもを温めたり、なめたり、食事を与えたりする養育行動を起こさせる。菊水氏がすすめるのは、男女は脳内物質に違いがある生き物だということを踏まえたうえで、お互いの特性を生かした協力体制をつくることだ。

「近年、分子遺伝学的手法や、微量分子測定の技術革新によって、心や行動を左右するホルモンや神経伝達物質などがどんどんわかってきています。夫婦、親子の関わりもさまざまな分子が関与していることがわかってきたので、子育てを楽にするには、こうした知見も参照していくべきではないでしょうか」

続く

以下ソース
https://toyokeizai.net/articles/-/340739

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