新型コロナウイルス感染症の封じ込めに目処が立たない中、マスコミを含む多くの国民の関心事は、収束までの時間と経済の動向ではないだろうか。4月7日に発表された安倍晋三首相による緊急事態宣言の内容も、感染症の防止と経済活動の維持が2本柱となっている。

 だが、危機管理を担う自衛隊と日本赤十字社の関係者は、コロナ禍の先を見越して、ある“事態”を警戒する。それは「複合脅威」だ。端的に説明すれば、コロナ禍で混乱する日本に、新たな脅威が追い討ちをかけるように降りかかることを意味する。自衛隊関係者はこう見解を話した。

「現在、防衛省・自衛隊として警戒しているのは、北東アジアで軍事的緊張が生じることです。具体的には、尖閣諸島を含む東シナ海、南シナ海への中国の進出と北朝鮮国内の混乱です。インド太平洋地域に展開する米海軍の空母『ロナルド・レーガン』と『セオドア・ルーズベルト』でコロナ感染者が発生したことにより、同海域に展開する空母2隻が行動不能となり、力の空白が生じました。

 この間隙を縫って、中国がパワープロジェクション(戦力投射)し、4月11日には中国海軍の空母『遼寧』を含む6隻の艦隊が沖縄本島と宮古島の間を通過して、南シナ海で訓練を行ったのです。

 さらには、コロナ禍が起こった今年に入って、中国機に対するスクランブル(緊急発進)は152回(3月末現在)と高水準となり、中国公船の尖閣諸島周辺海域への侵犯も昨年3月から倍増している状況です」(自衛隊関係者)

 こうした中国の“盗人猛々しい”行いを日米防衛当局が傍観するわけはなく、4月10〜11日にかけて海上自衛隊と米海軍は東シナ海で、護衛艦と強襲揚陸艦、ステルス戦闘機F35を参加させたの共同訓練を行っている。

「北朝鮮は『国内のコロナ感染者はゼロ』という立場を取り続けていますが、中国と国境を接し、医療水準が極めて低い北朝鮮で感染者ゼロということはないでしょう。PCR検査キットも支援されているようですが、感染者を確認していないというのが現実だと思います。これを裏付けるように、金正恩は3月下旬、首都・平壌に北朝鮮で最大規模の総合病院を急遽建設するように指示しました。

 そのような中、4月21日に韓国の北朝鮮専門メディア『デイリーNK』とCNNが、金正恩重体説を報じました。事実関係は確認できていませんが、故金日成の命日である太陽節(4月15日)に金正恩が姿を現さないなど、北朝鮮に特異な動きが認められます」(同)

 自衛隊関係者はあえて口にしなかったが、東シナ海と南シナ海が中国の海になるということは、それら海域を経由して原油のほぼ100%を輸入する日本にとって、喉元に匕首を突きつけられたも同然だ。

 また、金正恩の身に万が一のことがあれば、権力闘争で混乱する北朝鮮から日本や韓国に大量の難民が流れ込んだり、緩衝地帯を守るために中国軍が北朝鮮に侵攻したりと、日米韓の防衛当局が想定した非常事態が現実と化す。

「自衛隊は現在、成田空港での感染者の生活支援や水際対策に当たる警察やホテル従業員への教育支援を行っていますが、上述のような軍事的脅威が発生する可能性があるため、2直制で待機しています。

 部隊員を半分に分けて、別の直と絶対に接触しないようにして感染を防止し、即応体制を維持しているのです。個人的にはとても残念なのですが……単身赴任者を含めてゴールデンウィーク休暇もありません」(同)

 自衛隊関係者は中国と北朝鮮による軍事的緊張が現実となる可能性を指摘したが、これら脅威は国際社会の協調や説得で可能性を局限することができる。しかし、自衛隊関係者が「人間の力だけではどうにもならない脅威も考えておかなければならない」と指摘するのが、“地震”だ。

続く

以下ソース
https://www.cyzo.com/2020/04/post_238706_entry.html

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