0001逢いみての… ★
2024/02/23(金) 23:51:34.78ID:CAP_USER近年はADHDと診断される人の数が世界的に増加しており、そのネガティブな側面ばかりが話題にされています。
しかし米ペンシルバニア大学(University of Pennsylvania)の研究で、意外にもADHDには私たちの祖先にとって進化上の利点があったことが示唆されました。
ADHDに特有の注意散漫や衝動性が初期人類の食料採集において役に立った可能性があるというのです。
一体どういうことでしょうか?
研究の詳細は2024年2月21日付で科学雑誌『Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences』に掲載されています。
ADHD症状を持つ人は一般に、目の前の活動に集中し続けることが難しく、落ち着きがなくなって、注意散漫になりやすい傾向にあります。
自分の好きな物や事に対しては過剰な集中力を発揮するものの、嫌いな物や自分の望む成果が出ない事に対しては飽きっぽく、すぐに別の行動に移ってしまいます。
一見すると、円滑な社会生活を営む上では障壁になる特徴ばかりです。
その一方で、研究主任のデヴィッド・バラク(David Barack)氏は、ADHDが人類の中で根強く受け継がれている点に注目します。
ADHDの発症原因には遺伝的要因が大きく関与しているとされていますが、同氏は「もしADHDの形質が本当にネガティブなものでしかないのであれば、進化の過程で自然に淘汰されているはずだ」と指摘します。
これほど人類に広くADHDが受け継がれているということは、私たちの祖先において何らかのメリットがあったのではないか?
バラク氏ら研究チームはそう仮説を唱えて、ちょっと変わったゲーム実験を行いました。
チームはオンライン上で、アメリカ在住の成人457名(平均年齢45.6歳、男性232名、女性217名、その他8名)を被験者として募りました。
人種は白人からアフリカ系アメリカ人、アジア系、ラテン系と多岐にわたります。
被験者には、私たちの祖先がしていたであろう採餌行動を想定して、茂みの中からできるだけ多くのベリーを収穫するゲームに取り組んでもらいました。
ゲーム内では、道の左右に並んだ茂みの各ポイントにカーソルを合わせると収穫でき、採集を続けるごとにその茂みから得られるベリーの数は減っていきます。
被験者は同じ茂みで限界まで採集を続けることもできますし、新しいポイントに自由に移動することもできます。
新しいポイントではまた勢いよくベリーが取れ始めます。
制限時間は8分です。
https://nazology.net/wp-content/uploads/2024/02/rspb20222584f01.jpeg
ゲームのイメージ。カーソルを茂みに合わせるとベリーが採集できる / Credit: David L. Barack et al., Proceedings of the Royal Society B: Biological Sciences (2024)
これと並行して、被験者にはADHD症状をどれだけ持っているかを評価するアンケート調査に回答してもらいました。
その結果、症状に程度の差はあるものの、参加者のうちのやく半数に当たる206名が何らかのADHD症状を持つことが確認されました。
そしてチームは各被験者のADHDスコアとゲームでの収穫量や行動傾向を比較したところ、興味深い発見をしたのです。
ADHDスコアの低い被験者は、同じ茂みポイントに長く留まる傾向があり、他のポイントに移動する回数が少なくなっていました。
これに反して、ADHDスコアの高い被験者は、同じ茂みポイントに留まる時間が短く、収穫量が減ってきたと感じたらすぐに別のポイントに移動する傾向が見られたのです。
その結果、ADHDスコアの高い被験者はそうでない被験者に比べて、最終的なベリーの収穫量が多くなっていました。
これは非常に興味深い結果です。
ADHD症状を持つ人はおそらく、同じ茂みから採れるベリーの数が減ってきたことで集中力を切らし、注意散漫さから他の茂みが気になり始め、そして「思い立ったらすぐに行動する」という衝動性から採集ポイントを変えていたと考えられます。
しかしそれによって、最終的なベリーの収穫量が増えるという有益な結果につながっていたのです。
このことはADHDの特性が初期人類の狩猟採取グループにおいて生存に有利に働いた可能性を示唆しています。
続く
以下ソース
https://nazology.net/archives/145883