神奈川県小田原市の市議たちが、私費ながら行政視察中の大阪市内で「熟女キャバクラ」で遊んだと告発されている。その行動の是非はともかく、実際に各地の「熟キャバ」が盛況だ。

その名称が全国的に認知され出したのは2016年頃。東海地方の大手グループチェーンが始め、大阪、九州へと西進した。若い女性が在籍するキャバクラが衰退傾向な昨今、代わって突出してきた観がある。

先日、大阪梅田の熟キャバに知り合いと足を運んでみるとなんと満席。指名客が優先されるため、フリーだった私たちは店内で1時間ほど待った末に断念したが、それほどの人気ぶりだった。

この熟キャバ人気を理解すべく取材を進めてみると、やはり若い女性のキャバクラ離れは大きく関係しているようだ。

キャバクラには古いしきたりが残る。出勤直後の数時間は時給が保証されるが、以降の客に付いていない時間は無給となる「保証時給制」や他店勤務との「掛け持ち禁止」などだ。このため若いZ世代の女性たちはキャバクラを敬遠し、来客予定があるときのみ自由出勤ができるコンセプトカフェ(コンカフェ)やガールズバーで働く傾向が強い。若い世代のキャバ嬢が減れば、必然的に熟キャバは増えていく。

フリーではなく指名客が多いことも熟キャバの特徴だ。これは独特の給与システムによる。熟キャバでは一般的なキャバクラに比べて時給が低く、前述した「保証時間」も短く設定されている。そのためにキャストは一生懸命、客を呼ぶ。

熟キャバの料金はおおむね1セット(60分前後)3000〜5000円で、キャバクラより安く飲める。セット料金がハウスボトルの飲み放題という点ではガールズバーやコンカフェ、スナックとも大差はないが、熟キャバを選ぶ常連男性客の理由が興味深かった。

「ガールズバーやコンカフェはバースタイルで、あのスツールに長時間座っていると疲れる。スナックは若い女性や外国人観光客が増えて入りづらくなった。熟キャバでは何より、ドリンクを出さなくても女の子がチェンジしないのがいい」

確かにガールズバーやコンカフェでは、女の子に「1杯いただいていいですか?」と聞かれ、断ると他の席に着いてしまうことも。スナックも訪日客や「スナック女子」「スナッカー」と呼ばれる若い女性客が増えて、中年の男性客たちは「落ち着かない」と言う。

コロナ禍をへて夜の街は激変している。急な変化に戸惑うオジさんたちには、安くて落ち着いて飲める熟キャバこそが安らぎの場なのだ。

■カワノアユミ 20代を歌舞伎町と海外夜遊びで過ごした元底辺キャバ嬢。現在は国内外の夜の街でニッチなネタから盛り場の変遷までを幅広く取材。著書に、アジア5カ国の日本人キャバクラで9カ月間潜入就職した『底辺キャバ嬢、アジアでナンバー1になる』(イーストプレス)。

以下ソース
https://www.zakzak.co.jp/article/20240229-VLKDZ7TMAFPFPBZSOO3PNB5I7I/