襟元を掴んで彼を床に投げ出した。
目の裏に赤い炎がちらつく。欲望と怒りの加減がわからない。
「殺さない、という約束にはなっていますがね、今のオレには守る必要があるとも思えないんでね。気を付けて下さい」
リヴァイは床に横座りになって見上げる。
両手の先だけを軽く床につけ、すぐに動ける、油断ない体勢だ。
ほら、あんたはまだ戦うつもりでいる。
なぜ、オレの言うことに従わない。
(どちらでもいい。しょせんこの人は強い「奴隷」だ。なら力で支配すればいいだけのこと)
エレンを見るのは、表情のないいつもの目。
(偉そうに!)
先程ミカサたちの前で言った言葉も思い出される。
飲み込まれるな。この男は舐めてかかっていい相手ではない。
エレンは意識して冷たく言った。
「シーツくらいはきれいなものを使いましょうか。自分で出してください」