「実弥兄・・・・・」
「それに最近は、俺が爆発する前に炭治郎の奴が全部先に言っちまってるし」
くくっと小さく肩を揺らした実弥は、徐に腕を伸ばして杏寿郎の頬にぺたりと手を添えた。
「?」
「お前が自分の心のままに生きてってくれたら、俺はそれでいんだよ、ほんとはな」
大きな双眸が真っ直ぐに杏寿郎を射抜く。
「お前の幸せが俺の幸せだァ」
この上なく恐ろしい顔にこの上なく美しい笑みを乗せて言い放たれた言葉は、杏寿郎の心の深い深い場所に根付き、それはきっと杏寿郎という人間を支える糧になる。
「実弥兄・・・・・」
「なんつってなァ。あー、自分で言っててクサ過ぎる」
「実弥兄っ!!」
寝転がったままの実弥に覆い被さる様に抱きつけば、杏寿郎の身体の下から「ぐぇっ」と蛙が拉げたような声が聞こえてきた。
「あっ、実弥兄さんばっかりずるい!俺も!」
そして杏寿郎の背中には遠慮なしに炭治郎の身体が乗り上げてきて。
「なんか楽しそうだから俺も」
その場の雰囲気で更に行冥まで重なってくる。
「ギブギブ・・・ッッ!!マジで死ぬァァァ・・・!!」
こんもりとした塊の一番下から聞こえてくる呻き声に、杏寿郎は楽しげに笑みを返し更に体重をかけた。
―――ハロー、ハロー、あかれ婆のみなさん。
今日も産屋敷家は平和です。
end