そこで、昨晩の惨事を思い出す。
はっとした杏寿郎は、傍にいた昨夜の反撃者に、食いつかんばかりの勢いで尋ねた。
「ほかの人たちは!?」
「全員連れ去らた。人魚に」
そう言う男の口調は、今日の天気を答えたかのように泰然としている。杏寿郎は、本当に自分の理解が正しいのか疑わしくなり、思わず訊き返した。
「死んだ……んですか?」
「死んだな」
脳裏に友人の顔が浮かんだ。
隊長の顔も浮かんだ。
それほど親しい友人ではなかったし、隊長や狩猟の同行人も数日前に会ったばかりの人たちだったが、それでも知り合いの死というのは、ある程度の重い衝撃をもたらす。
うなだれる杏寿郎から視線を外して、男が口を開いた。