「でも、その友人とはかなり親しかったのか? 親友だったとか?」
「いや、ただの同期で……」
「じゃあ、そんなに悲しくもないな。ちょっと身を休めて落ち着いたら、すぐに顔も思い出せなくる」
だって、そうだろ? 大学の同期っていう程度だったら……葬式で泣いたりしたって、一週間もすれば思い出しもしなくなるじゃないか。
男の言葉は、僅かな温度も感じられない、冷たい物言いだったが、それなりに正鵠を射ている。杏寿郎も、そのとおりだと頷いた。
自分の名前は猗窩座だと男が名乗る。
ついでに年齢も教えてくれたが、自分より二つも年下で、杏寿郎は、かなり驚いてしまった。
そう言われてみると、確かに自分よりも若い顔立ちをしているのだが、妙に大人びた雰囲気を纏っている。
昨夜、人魚を殺戮していたときの姿は、なおさらそうだった。
「猗窩座さんも人魚狩りをしているんですか?」
「人魚狩り……まあ、人魚を狩っているわけだから、だいたい合ってるかな」
「涙のために?」
「涙も売る。結構高く売れるからな。でも金儲けのために、あいつらの胸くそ悪い顔を我慢して見てるわけじゃない。俺は人魚が大嫌いなんだ」
「じゃあ、どうして……」
「俺はただ、人魚を殺す人間だ」