昨日のお前たちみたいに、人魚を捕りに来る連中がときどきいるんだ。
自分の精神力が人魚に勝つと思ってる連中。
本当に勝てる奴なんて、ほんの数人しか見たことない。
とにかく、そういうときに人魚が現れたりすれば、出向いて殺したりとか。他所に遠征することもあるが、ここにいちばん人魚が集まってくるから、基本的にはここだな。

 不思議だ。
杏寿郎の脳裏に浮かぶ感想は、その一言に尽きた。
 杏寿郎は、猗窩座が不思議で堪らない。
どうしてこんな若い男が、ただひとりっきり海で暮らしながら人魚を殺し続けているんだろう。

「人魚が人を襲うからですか?」
「ああ」
「どうして人魚は人を襲うんですか?」

 杏寿郎の質問は、無邪気だった。猗窩座は、丁寧に説明してくれる。

 人魚は全部が雌なんだ。
雌雄同体でもないし、本当にただの雌ばかりで、あいつらだけでは繁殖ができない。
でも絶滅していないよな。
なんでだと思う? 
人間の男を浚って繁殖するんだ。
人間の男の胤で、あいつらが孕んでしまえるというのが悲劇の始まりだな。まあ、胸くその悪い話だが。
 だから船を見かけたりしたら、蟻みたいに集りまくって歌を歌う。
男たちが恍惚としたところで、水の中に引きずり込む。
まあ、浚った男たちを相手に、なにをどうやって子を孕むのかまでは知らん。
気色悪い