人魚の現れない夜は、耐えられないほど退屈だった。
明るい昼間は、何度も銛を研ぎ澄まして時間を過ごす。
日が沈むと同時に胸が高鳴った。
どくどくと高鳴る心音を聞きながら、夜の海に船を走らせる。
人魚の生臭い匂いを嗅ぎつけたときには、快感すら感じた。
殺せる対象だからである。
今や、人魚を間合いに引き入れて、直接刺し殺すことに、こだわりもしなくなった。
できるだけ多くの人魚を素早く大量に殺すことだけが猗窩座の目標だった。
水中銃を改造して、さらに多くの銛を装填できるようにした。
水中銃を構えてデッキに立ち、四方を見渡す猗窩座は、目に付くがままに人魚を撃ち殺す。
ときどき船に這い上がってくる人魚は、鉄踵で腹を破裂させて、もっともおぞましく悲惨な姿にしてやった。
船の周りで無数の死体がぷかぷかと浮かぶ様に、猗窩座は満足を感じた。
そして、ときには、電動ノコギリで細切れにした死体を海に撒き散らした。ばらばらになった人魚の死体は、人魚には最悪の恐怖に、魚にはありがたい食料になるだろう。