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【鬼滅の刃】猗窩座×煉獄杏寿郎 16【猗窩煉】
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0001やまなしおちなしいみななし2021/06/28(月) 22:45:27.64ID:???
「鬼滅の刃」猗窩座×煉獄杏寿郎を語るスレです

・sage進行
・他カプ話、リバ、ノマ、キャラ叩き禁止
・実況、ヲチ、晒し、二次創作の話題、スレ内容の転載禁止
・特殊嗜好は一行目に記載して改行推奨
・荒しはスルー
・次スレは>>980を踏んだ人が宣言をしてから

※前スレ
【鬼滅の刃】猗窩座×煉獄杏寿郎 15【猗窩煉】
http://phoebe.bbspink.com/test/read.cgi/801saloon/1624281257/
0752やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 14:08:48.61ID:???
>>749
「杏寿郎綺麗だ可愛い、お前は美しい」とは言ってくれても
前みたいに「好きだ愛してる二度と離さない」とは言ってくれない猗窩座
0755やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 14:11:48.62ID:???
>>751
それで「ん?お前は誰に抱かれようとしていたんだ?顔が俺なら誰でも良いのかこの浮気者」とかでお仕置き駅弁スタート
0760やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 14:20:47.83ID:???
記憶復活後のおせっせ激甘だろうな、
杏寿郎は嬉し泣きするし無人島だから声も出し放題だし
0764やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 14:52:23.56ID:???
>>751
パームツリーから実が落ちてワロタwwww

ここまでの流れぜんぶリアルにアニメーションで脳内再生されていま笑いながら泣いてる
0766やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 15:01:12.26ID:???
駅弁でガンガン杏寿郎をイカせまくった後のピロートーク
座「杏寿郎、これからもあんな風に積極的になっていいんだぞ?」ニヤニヤ
杏「っ…!俺は君が嫌いだ…!」
0769やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 15:08:27.99ID:???
>>765
パームツリーゆさゆさ諦め立ちバックセッススエロい
杏の髪をかきあげて首筋優しくチューもなんか前の猗窩座とは違うのよね
(ほんとに猗窩座は少し引っ張ったり噛んだり激しい)
杏寿郎が泣いてるから空気読んで落ちてきた実に大感謝!
0770やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 15:10:20.45ID:???
アニプレフェスで流れてたゲームで杏寿郎が戦ってるの見てたら、これ座が出たら廃人なるまで戦わせたくなりそうだ ぶっとばしあったり、うめく杏寿郎いい
0771やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 15:10:44.87ID:???
>>766
杏寿郎良かったね(涙

杏寿郎が積極的だった行動全部覚えてるのいいね!
事あるごとに一緒にドラム缶風呂入るんだろう?とか一緒に寝たいんだろう?とか
ニヤニヤ言って杏寿郎にプンスカされて欲しい
0772やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 15:14:19.61ID:???
>>770
ストーリーモードで手鬼と戦えるから、無限列車編で猗窩座とも戦えるんじゃないかと思っているけどどうだろうか
0773やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 15:17:32.82ID:???
>>769
優しいセッススなんて猗窩座じゃないと思いながらも拒めないし感じてしまう杏寿郎…切ない
のに実が落ちてきて猗窩座に直撃してひっくり返るの想像して笑うw
0775やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 16:34:17.70ID:???
>>771
ドラム缶、「入らない」って食い気味拒否する杏寿郎かわゆ
結局杏寿郎が一番風呂ドラム缶に入ってるところに乱入してくるんですけどね
せつなエロからラブコメエロに戻るのすこ
0792やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 17:42:38.07ID:???
>>775
「なんだ勝手に入ってくるな…」って拒もうとする杏寿郎をキスで黙らせて
散々口の中貪って杏寿郎を蕩けさせた後「一緒に入ってもいいか?」って聞く展開を希望します
0794やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 17:46:54.58ID:???
猗窩座の記憶が戻った最初のおせっせは燃え上がりそうだね
ずっと「杏寿郎杏寿郎、俺の杏寿郎」って言いながら体中舐め回して丁寧に愛撫してそれだけでまず杏寿郎イっちゃいそう

でもまた雪山で遭難するんですがw
0795やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 17:50:38.47ID:???
雪の山小屋いい!
いきなり脱ぎ出す座
「な、なにをしてるんだ!」
「こういう時は人肌で温め合うんだ。早くお前も脱げ。死んでしまうぞ杏寿郎」
0797やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 17:56:58.88ID:???
>>794
> 俺の杏寿郎」って言いながら体中舐め回して
>丁寧に愛撫してそれだけでまず杏寿郎イっちゃいそう
こちらの精神もイった…
0798やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 17:57:58.48ID:???
>>795
ありったけの毛布かき集めて裸で抱き合う猗窩煉
杏寿郎が上目遣い気味に「……当たってるんだが」って言うと
「仕方ないだろう自然現象だ。お前が静めてくれるか?」とニヤつく猗窩座まで見えた
0800やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 18:03:47.18ID:???
>>794
もうきょうじゅろうって響きが可愛いんだってばよ
きょうじゅろう呼びを猗窩座に授けてくれて感謝
0804やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 18:27:32.85ID:???
タンコブ涙目なのに全然平気だから!って心配する杏寿郎に強がる猗窩座もみたいです
0805このゴミこっちで引き取ってくれや2021/07/04(日) 18:27:44.08ID:???
104 名前:やまなしおちなしいみななし[sage] 投稿日:2021/07/04(日) 08:28:41.16 ID:???
ベッドの上に仰臥して、全身で荒い息を繰り返していると、猗窩座はそんな俺の頬をするりと撫でてから、耳に緩く噛みついてきた。
「生きてるか?」
「・・・・・・ああ」
「撮影、終わったぞ」
「・・・・・・あ、ああ」
「・・・お前・・・結構良かったぞ。良い絵が撮れたと思う」
ゆっくりと頭を巡らせると、スタッフ達は俺達に意識を向けることなく忙しなく動き回っていた。
本当に終わったんだ、と実感する。
身体が鉛のようだ。頭もまだ正常な働きができない。
「エロい身体だな。お前、この仕事が向いてるぞ」
褒められている、のだろうか。

「杏寿郎君、凄く良かったよ。やっぱり僕の目に狂いはなかったね、絶対化けると思ったんだ」
助監督も嬉々として近づいてきて、猗窩座に支えられて半身を起した俺の手を掴んでくる。感謝の握手らしい。

「で、次の仕事なんだけど。来週、乱交モノがあるんだけど、参加しない?もちろん穴男優で」

身体を起こした途端、体内で何かが動いた気がして下肢に目を遣ると、細いコードが目に入った。もちろんコードの先は体内に続いている。
恐る恐る引っ張ると、精液の滑りでゆっくりと出てきたのはカプセル型のローターで、俺は本気で泣きたくなった。

「相手は4人だけだから。それにレイプものではないから楽だよ」
乱交モノ。どんどん堕ちていってしまいそうだ。
「どうする、杏寿郎君」
それでもお金は必要だ。乱交でも何でもやってやる。
「・・・お願いし・・・」
「助監、来月の俺のシリーズ、相手にまた杏寿郎はどうだ?」
いきなり言葉を遮られ、俺はぼんやりと猗窩座を見た。まだも思考は朧げだ。


「え、珍しいね、猗窩座君。基本、同じ男優と絡みたがらないのに」
「シリーズものだからそろそろ固定の相手がいても面白いかと思ってな。杏寿郎は、なかなかいい顔をするから、人気出るんじゃないか」
「うんうん。僕もそう思うよ。乱交とか企画モノとかにどんどん出したいなぁ」
「いや。当分は今日の猗窩座君の専属で頼む。まだまだ素人くさい杏寿郎を調教するコンセプトでいきたいから、あまり擦れてもらっちゃ困る」
「うーん。そうだなぁ。ちょっともったいないけど・・・じゃあ今日の猗窩座君、調教バージョンでも撮っちゃう?」
「それで頼む」


当事者が口を挟む間もない会話を、俺はただ茫然と聞くしかなかった。


「さぁ、次の撮影のためにベッドを空けなきゃならんからな、そろそろ立て、杏寿郎。立てるか?それと、後処理、したことあるか?」
「・・・・・・後処理?」
「しないと大変だぞ。間違いなく明日は1日中トイレから出られなくなる」
む。それは困る。
明日は道路工事のバイトが入っているのだ。
「じゃあ隣の部屋に行くか。顔についた精液も取らなきゃならんし、一緒に俺が中に残った精液を掻きだしてやる」
「・・・・・・うむ。頼む」
「ちなみに隣の部屋は明日の朝まで借りたからな、ゆっくりと綺麗にしてやるな」
「・・・ん?」
「綺麗に洗いながら、今日の事を忘れないようにおさらいしとこうな」
「・・・ん、ん?」



ふらつく足を支えて立たせてくれる猗窩座に寄りかかる俺が、猗窩座の甘言にまんまと乗せられたと気づくのは、それからほんの10分後のことだった。



一話完
0806アカザのゴミ長文はこっちに投下しろや2021/07/04(日) 18:29:33.28ID:???
96 名前:やまなしおちなしいみななし[sage] 投稿日:2021/07/04(日) 07:32:19.11 ID:???
「カット!!」
慌ててかかる助監督の声と、俺に縋りついた形で猗窩座の二つ折りに曲がった身体が床に沈むのは殆ど同時だった。




主演男優が周囲のスタッフに看病されながら痛みに唸っている横で、俺はこってりと助監督に叱られた。
そりゃそうだろう。看板男優を殴る共演者なんて聞いたこともないはずだ。

しゅんと項垂れて猗窩座に顔を向けると、彼もどうにか浮上できたようで、スタッフに汗を拭かれメイクを直されていた。
浮かんでいるのは脂汗か。よほど痛かったのだろう。



「・・・申し訳なかった」
深々と頭を下げる俺に下されるのは、ツンドラ並みに凍えた視線。当然のこととはいえ、身が凍りそうだ。
「本当に申し訳ない」
「素人が興味本位で参加するほど、迷惑な事はないんだが」
「・・・次は頑張るので」
「は? 頑張る必要ないが。監督、こいつとあっちの可愛い子とチェンジしてくれ」


冷たい物言いに唇を引き結んで猗窩座を見ると、猗窩座は冗談ではなく本気で相手役の交替を希望しているようだった。
指された小柄な男の子が嬉々として立ち上がり、急いで走り寄ってくる。

「ぼ、僕ですか!? 嬉しいです!! 僕、以前からずっと猗窩座さんの大ファンで。猗窩座さんに抱かれたくて、今回も申し込んだんです!今回絡みがないって聞かされて落ち込んでたんです」
「ああ、それはどーも」
「猗窩座さんのねっちっこい前戯も大好きなんですが、あのイマラチオする時のドSの表情とか、喉の奥に出す時のあの肉食系の眼差しとか、顔に掛ける時の・・・」
「・・・もういいから黙ってくれ」

猗窩座に縋りつくように言う、女の子めいた顔立ちの、それでも顔を裏切る筋肉質の男を、俺は唖然と見つめていた。内容がディープ過ぎて頭が単語を拒否している。
男相手のイマラチオ。イマラチオって・・・あれだよな。あの激しいの。
・・・勘弁して欲しい。


「ということだから。杏寿郎さん、もう頑張らなくて結構だ。それでいいよな、助監督」
「え、勿体ないなぁ、せっかくの逸材なのに」
「じゃあ、お前、続けての撮影で悪いが、準備してもらえるか? 前の男の精液は出してこいよ、俺、他人のものが垂れてる尻の穴舐めたくないから」
「はい!すぐに!」

そそくさとその場を離れる穴男優を、俺は茫然と見ていた。
与り知らぬところで進められる話。どうしてよいのか分からなくて、ぼんやりと猗窩座の貌を見つめていると、視線に気づいた猗窩座はあからさまに眉間を寄せ、迷惑そうに顎をしゃくった。
0807やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 18:31:41.53ID:???
無人島でも雪山でも、記憶を無くしてる時もサバイブ能力高い猗窩座すこ
頭ぶつけるポンコツだけどw
0809とりあえずこっちに返しとくで2021/07/04(日) 18:38:50.93ID:???
101 名前:やまなしおちなしいみななし[sage] 投稿日:2021/07/04(日) 08:01:56.71 ID:???
「・・・金のことしかないのか?・・・正直、萎える」
ふいに猗窩座に呟かれて、俺は目を見開いた。心の中ではなく、口に出して呟いていたらしい。
「そんなに金が欲しいなら・・・デートクラブでも紹介してやろうか? 売れっ子になれば結構稼げるぞ」
「そんな・・・の、・・・身体を売るなんて」
「・・・今さらだろ。今から掘られるんだから。することは一緒だぞ。・・・中を開発してやろうか? ハマると抜け出せないくらい、イイらしいぞ」


なぜ機嫌を損ねたのか分からないが、猗窩座はひどく意地悪だ。
女性ではないのだから優しくして欲しいとは思わないが、明らかな嫌味の連発に腹が立ってくる。
ゲイじゃないのだから、尻の穴が良くなる日は永遠にくるはずはない。

「早く・・・したらどうだ。喋ってばかりではなくて」
「・・・・・・いい度胸だな・・・。泣かせたくなるタイプだ、ホント」

更にグリっと指を捩じり含まされて、あ、と俺の口から引き攣った声が漏れた。それに気を良くしたのか、薄く猗窩座が笑う。
「このドS!」
「ああ、それが今日の猗窩座君の売りだからな」


指がいきなり引き抜かれ、上がる悲鳴を慌てて唇を噛んで耐える。唇が切れたのかちりっと痛んだ。
「まだ初々しい尻だな」
「・・・なんだ、それ」
「使い込んだ尻の穴は・・・見るとすぐに分かる」
「え。・・・そうなのか?」
「ここの皮膚が薄くなって、皺がなくなるんだ。つるりとして、それはそれで愛らしいが」
「・・・・・・・・・」
「締まりも悪くなるから、ウリをするなら気をつけた方がいいぞ」
殴りたい、と思う。
綺麗な顔で暴言を吐くこの男を思いっきり殴りつけたら、さぞかし気分がいいだろう。


「あ、ま、まて」
「もう講義は終了だ。あとは実技だな」
躊躇もなく熱く堅い何かが押し当てられて、俺は目を見開いた。
滾りは本人が豪語するようにかなりの立派なもので、そんなものが入るとは到底思えない。
0810やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 18:39:10.46ID:???
膝枕でタンコブを冷やしてもらって(悪くない…)ってちょっと甘えモードになってる猗窩座に微笑む杏寿郎もみたいです
すぐにタンコブは引っ込んでいつも猗窩座に戻るけど
0812とりあえずこっちに返しとくで2021/07/04(日) 18:40:15.09ID:???
95 名前:やまなしおちなしいみななし[sage] 投稿日:2021/07/04(日) 06:17:29.06 ID:???
人間、死ぬ気になればやれないことはない。
それは、俺、煉獄杏寿郎の持論だ。
持論だ。持論だが・・・。
そう思っていても、生理的に受け付けない物事が存在するのも事実だし、身体が無意識に逃げを打ってしまうのも、それはどうしようもないことだった。


「ま、ま、まて。ま、ま、まってまって」
「・・・うるさい・・・」
「いや、ちょっと・・・わ、本当に。あ、無理、ああ、ちょ、ちょっと」
「・・・いい加減にしてくれないか・・・本気で往生際が悪いんだが」


乱れたスーツの前を掛け合わすようにしながら、懸命に目の前の男を押しのけようと足掻いてると、男の端整な眉間に深い皺。
眼力、半端ない。
それにブルリと震えて腕の力を抜こうと試みるが、無意識に突っぱねる手を外すことはできない。
頭では理解しているのだ。金のために俺はここにいて、選択肢は残されていないのだと。
だが身体はあくまでも正直で、腰は引けるし、相手に触れられるのも鳥肌さえ立ちそうだ。
目の前の、こんな場所にいるのが不似合いなモデル張りの貌を持つ男、猗窩座はそんな杏寿郎の片手に自分の指を絡めぎゅっと握ってきた。

「大丈夫、俺、上手いから。気持良くさせてやるから」

耳元に唇を寄せられ、そっと囁かれる。もちろんべろりと耳の孔を舐められるオプション付きで。
声にならない悲鳴を上げる杏寿郎の肌蹴た胸元に滑り込む、悪戯な指。目的は何よりもはっきりしている。
この業界に長いのか、この貌で、この手際の良さ。あれよあれよといううちに服のボタンは外され、ズボンのファスナーまで下ろされている始末だ。
その目まぐるしさに、ついていけない。俺の鼻息さえ荒くなる。

「む、む、ムリ、無理だ!」
男の指に乳首をきゅっと掴まれた途端、頭の中がスパークした。反射的に腕が動く。
あ、と青ざめた時にはもう遅かった。
俺の繰り出した拳は、綺麗に猗窩座の鳩尾に食い込んでいた。
0814とりあえずこっちに返しとくで2021/07/04(日) 18:41:58.19ID:???
94 名前:やまなしおちなしいみななし[sage] 投稿日:2021/07/04(日) 06:07:13.15 ID:???
「杏寿郎君」
助監督に簡単な説明を受ける。
簡単なコンテのような脚本があるだけで、俺は猗窩座の会社の同僚で酔わされてホテルに連れ込まれた設定だとだけ教えられた。
設定さえ守れば後の台詞等はアドリブでいいらしい。

「あ、これだけ、言ってね。うんとエロく」
渡された台詞は眩暈がするほどに破廉恥なもので、俺は頭を抱えた。
「ノンケ設定だから地でいいよ。ちょっとぐらい抵抗したっていいし」
「・・・むぅ」
「でも挿入の時は、カメラに向けて自分の両手で尻の穴は開いてね」
「・・・・・・・・・」
「心配しなくていいから。尻は性器扱いにならないから汁を垂らすところもノーカットでいけるから」
本気で眩暈がしてきた。
逃げ出せるならば、今すぐに逃げ出したい。



「泣そうだぞ、お前」

ふいに掛けられる声。
先程の男だと思って振り返ると、そこにはモデル張りにスーツを着こなした先程の男の姿。
一瞬見惚れてしまい、俺は気恥ずかしくなり慌てて視線を逸らした。
「かっこいいな。スーツ、似合ってるぞ」
その相手にそう褒められて、耳が熱くなってくる。
「男相手にフェラしたことあるか?」
だがその唇をつく言葉は、モデルとは程遠い内容だった。

「あ、あるわけないだろう!」
「じゃあ、歯をあてないように気をつけてくれ。使い物にならなくなったら困るからな」
「え?」
「後ろはちゃんと解してあるよな? 掛けられる時間が少ないから、解してないと初めてなら辛いぞ。可哀想だが、ちょっと解す程度で入れるからな」
「え、え?」
「お前・・・口大丈夫か・・・。俺の、結構でかいぞ。入るか・・・?」
「え、え、え、ええええっ!!」
『猗窩座さん、杏寿郎さん、スタンバイお願いします』




二人に向けて掛けられる声に、俺は顰蹙を買うほどの大きな悲鳴を上げていた。
0819やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 18:55:33.97ID:???
そもそも何で2人は雪山に来たのかしら、ハードな登山??
(それ言ったらなんで無人島に2人きりで不時着?ってなるかw)
0820やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 18:55:53.23ID:???
>>818
でも杏寿郎は気を失った猗窩座を本気で心配してそうだから
笑っちゃってちょっと申し訳ない気にもなるw
0821やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 18:58:56.17ID:???
>>819
ベタなところでスキーやスノボでコースアウト?
でも猗窩煉って海は似合うけどあんまウィンタースポーツのイメージはないかも
0823やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:01:32.51ID:???
>>821
確かに海の方が似合うかもね
でも想像したらスキーウェアの2人にも萌えた
あんな2人組のインストラクターいたらやばい
0825やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:04:18.88ID:???
>>822
半裸wたしかにw
杏寿郎も熱い人だしね
>>823
スキーウェアって何割か増しでかっこよく見えるって言うのに
猗窩煉のイケメン度が増し増しになったらやばい
0828やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:07:51.89ID:???
そんなスキーウェアどイケメン2人が遭難して
山小屋であっためあうのね…
あかれん遭難シリーズ最高〜!
0829やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:10:08.02ID:???
104 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 08:28:41.16 ID:???
ベッドの上に仰臥して、全身で荒い息を繰り返していると、猗窩座はそんな俺の頬をするりと撫でてから、耳に緩く噛みついてきた。
「生きてるか?」
「・・・・・・ああ」
「撮影、終わったぞ」
「・・・・・・あ、ああ」
「・・・お前・・・結構良かったぞ。良い絵が撮れたと思う」
ゆっくりと頭を巡らせると、スタッフ達は俺達に意識を向けることなく忙しなく動き回っていた。
本当に終わったんだ、と実感する。
身体が鉛のようだ。頭もまだ正常な働きができない。
「エロい身体だな。お前、この仕事が向いてるぞ」
褒められている、のだろうか。

「杏寿郎君、凄く良かったよ。やっぱり僕の目に狂いはなかったね、絶対化けると思ったんだ」
助監督も嬉々として近づいてきて、猗窩座に支えられて半身を起した俺の手を掴んでくる。感謝の握手らしい。

「で、次の仕事なんだけど。来週、乱交モノがあるんだけど、参加しない?もちろん穴男優で」

身体を起こした途端、体内で何かが動いた気がして下肢に目を遣ると、細いコードが目に入った。もちろんコードの先は体内に続いている。
恐る恐る引っ張ると、精液の滑りでゆっくりと出てきたのはカプセル型のローターで、俺は本気で泣きたくなった。

「相手は4人だけだから。それにレイプものではないから楽だよ」
乱交モノ。どんどん堕ちていってしまいそうだ。
「どうする、杏寿郎君」
それでもお金は必要だ。乱交でも何でもやってやる。
「・・・お願いし・・・」
「助監、来月の俺のシリーズ、相手にまた杏寿郎はどうだ?」
いきなり言葉を遮られ、俺はぼんやりと猗窩座を見た。まだも思考は朧げだ。


「え、珍しいね、猗窩座君。基本、同じ男優と絡みたがらないのに」
「シリーズものだからそろそろ固定の相手がいても面白いかと思ってな。杏寿郎は、なかなかいい顔をするから、人気出るんじゃないか」
「うんうん。僕もそう思うよ。乱交とか企画モノとかにどんどん出したいなぁ」
「いや。当分は今日の猗窩座君の専属で頼む。まだまだ素人くさい杏寿郎を調教するコンセプトでいきたいから、あまり擦れてもらっちゃ困る」
「うーん。そうだなぁ。ちょっともったいないけど・・・じゃあ今日の猗窩座君、調教バージョンでも撮っちゃう?」
「それで頼む」


当事者が口を挟む間もない会話を、俺はただ茫然と聞くしかなかった。


「さぁ、次の撮影のためにベッドを空けなきゃならんからな、そろそろ立て、杏寿郎。立てるか?それと、後処理、したことあるか?」
「・・・・・・後処理?」
「しないと大変だぞ。間違いなく明日は1日中トイレから出られなくなる」
む。それは困る。
明日は道路工事のバイトが入っているのだ。
「じゃあ隣の部屋に行くか。顔についた精液も取らなきゃならんし、一緒に俺が中に残った精液を掻きだしてやる」
「・・・・・・うむ。頼む」
「ちなみに隣の部屋は明日の朝まで借りたからな、ゆっくりと綺麗にしてやるな」
「・・・ん?」
「綺麗に洗いながら、今日の事を忘れないようにおさらいしとこうな」
「・・・ん、ん?」



ふらつく足を支えて立たせてくれる猗窩座に寄りかかる俺が、猗窩座の甘言にまんまと乗せられたと気づくのは、それからほんの10分後のことだった。



一話完
0830やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:10:52.70ID:???
97 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 07:35:17.48 ID:???
「まだいたのか? もういいぞ」
「え?」
「だから・・・相手役を替えたんだ。もう帰ったらどうだ?」
「でも・・・俺・・・金・・・」

金。金がいるのだ、どうしても。
そうだ、どうしてもだ。
心に決めてきたはずだ、煉獄杏寿郎。
どんなことでもする覚悟で、今この場に来たのだ。


「つ、次はちゃんとやる! もう一度チャンスをくれないか」
直立不動で深々と猗窩座と助監督に頭を下げる。ここで帰されても1円も貰えないのは分かっていた。ここですごすご帰ると、二つある腎臓が一つになるかもしれない。親からもらった大切な身体に傷をつける訳にはいかない。


「うーん、僕としては杏寿郎君にぜひ頑張ってもらいたいんだけどねぇ、猗窩座君が」
頭を掻く助監督の言葉を受けて、俺は猗窩座に向き直って再び頭を下げた。どうしてもこの仕事を失う訳にいかない。
だが猗窩座の眼差しは、やはり冷たかった。
なまじ顔が良いから、そんな表情をすると凄味が出る。


「AVだからって馬鹿にしすぎ。覚悟が足りないんだよ。ここにいる皆の真剣さなんてお前には伝わってないんだろうな。皆、これで食ってるんだ。ホント・・・ふざけるな。仕事ならちゃんと割り切れ。遊ぶ金欲しさの甘えた感覚で来てるなら、とっとと帰ってくれ」
「・・・申し訳ない」

確かに猗窩座の言う通りだ。
仕事に貴賎はない。
それに杏寿郎は一旦覚悟を決めたのだ。男に二言はない。ここまで来て逃げ腰など、男、煉獄杏寿郎の沽券にかかわる。
俺は気合を入れるために、手のひらで自分の頬を力いっぱい叩いた。
呆れたような猗窩座の眼差しは、この際無視をする。


「もう絶対、逃げない。お願いします」
「・・・嫌だね。また土壇場になったら殴られそうだから」
「う。絶対殴らない。・・・なんなら手が出ないように、腕を縛ってくれてもいい」
「え。・・・縛ってもいいのか?」
「覚悟は決めた。なにされても文句は言わない」
「・・・何されても・・・」
手を顎に当て、伏せ目がちになにかを考えている猗窩座。見目はやっぱり麗しい。
「歯を立てないでくれるか?」
「はい」
「俺、喉の奥まで突っ込むのが大好きだけど、いいか?」
「う。はい」
「道具・・・使うが、いいか?」
「う、ううう・・・いい! 男に二言はない!」


やけくそで叫ぶように言うと、猗窩座は初めてにんまりと笑った。
「じゃあいいぞ。たっぷり愉しめそうだな」
その尋常ならざる笑顔を見た瞬間、俺は男の一言をすぐさまひっこめたい衝動に襲われたのだった。
0831やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:11:31.01ID:???
94 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 06:07:13.15 ID:???
「杏寿郎君」
助監督に簡単な説明を受ける。
簡単なコンテのような脚本があるだけで、俺は猗窩座の会社の同僚で酔わされてホテルに連れ込まれた設定だとだけ教えられた。
設定さえ守れば後の台詞等はアドリブでいいらしい。

「あ、これだけ、言ってね。うんとエロく」
渡された台詞は眩暈がするほどに破廉恥なもので、俺は頭を抱えた。
「ノンケ設定だから地でいいよ。ちょっとぐらい抵抗したっていいし」
「・・・むぅ」
「でも挿入の時は、カメラに向けて自分の両手で尻の穴は開いてね」
「・・・・・・・・・」
「心配しなくていいから。尻は性器扱いにならないから汁を垂らすところもノーカットでいけるから」
本気で眩暈がしてきた。
逃げ出せるならば、今すぐに逃げ出したい。



「泣そうだぞ、お前」

ふいに掛けられる声。
先程の男だと思って振り返ると、そこにはモデル張りにスーツを着こなした先程の男の姿。
一瞬見惚れてしまい、俺は気恥ずかしくなり慌てて視線を逸らした。
「かっこいいな。スーツ、似合ってるぞ」
その相手にそう褒められて、耳が熱くなってくる。
「男相手にフェラしたことあるか?」
だがその唇をつく言葉は、モデルとは程遠い内容だった。

「あ、あるわけないだろう!」
「じゃあ、歯をあてないように気をつけてくれ。使い物にならなくなったら困るからな」
「え?」
「後ろはちゃんと解してあるよな? 掛けられる時間が少ないから、解してないと初めてなら辛いぞ。可哀想だが、ちょっと解す程度で入れるからな」
「え、え?」
「お前・・・口大丈夫か・・・。俺の、結構でかいぞ。入るか・・・?」
「え、え、え、ええええっ!!」
『猗窩座さん、杏寿郎さん、スタンバイお願いします』




二人に向けて掛けられる声に、俺は顰蹙を買うほどの大きな悲鳴を上げていた。
0832やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:12:24.39ID:???
90 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 05:43:34.55 ID:???
「ところで・・・杏寿郎君。きみ、ゲイ?」
「む?」
「いや・・・今日の仕事内容を聞いていると思うけど、ゲイフィルムだけど平気?」
「・・・聞いていないのだが」
「え、困ったな。男相手に勃つかな?」
「俺・・・汁男優って聞いてきたのだが。男を・・・抱くのだろうか?」
「あー、困ったな。今回のコンセプト、聞いてないの?」
「1回射精で1万5千円と聞いてきたのだが」
「うん。ゲイフィルムだから相場がイイの。でも今回の『今日の猗窩座くん』は珍しい汁男優がメインのシリーズもので、欲しかったのは穴男優なんだけど」


さすがに衝撃の事実に、俺は唾を飲み込んだ。
男に突っ込むのもできるか分からないのに、いきなりの逆の立場は明らかに抵抗がある。
俺の逡巡に助監督は頭を掻きながら、顔を覗き込んできた。

「杏寿郎君はかっこいいし、できればお願いしたいんだけど。それにゲイじゃないなら勃つかどうかも分からないし、穴男の方が楽だよ」
「いくらだろうか・・・穴男優っていくらもらえますか?」
「今日のは人気シリーズものだから20万。頑張ってくれたらもう少し出せると思うよ。その代わり本番ありだけど」

その金額はかなり魅力的な申し出だった。
今は喉から手が出るほどに欲しい金額だ。
0836やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:16:46.03ID:???
103 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 08:21:07.18 ID:???
「あ、ここか」
「・・・う・・・ひぅ」
「ん。ここだ」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」

毛穴が、すべての毛穴が開くかと思った。
一瞬、何をされているのか分からなくなるほどの衝撃に、俺は震えて空気を吸うために溺れた魚のようにパクパク口を開けた。

「だ、だめだ、だめだ、だめ」
「あ?いいんだろ?」
「あ、あ、あ、あ、あ、あ」
声が抑えられない。

なんだ。これ。なんなんだ。なんだ、この感覚。
突かれる度に押し出される声は悲鳴に近かった。それも切羽詰まったような悲鳴。そして含まれる甘さ。人はそれを嬌声と呼ぶ。

「あー、いい。すごく締まる」
「あ、あ、あ、あふ、あ」
「はは、凄い声だぞ」


身体の下に敷いた腕が痛いとかそんなことは考えられない。
意識は湧き上がる熱の、愉悦の前に崩れさる。信じられない波が来る。俺を飲み込もうとする、波が。
同じ場所ばかりを擦り上げられて、半開きの唇を閉ざすことができなかった。
溢れる声と、溢れる唾液。
信じられないくらいに、擦られて登り詰めていく。


「俺、1回、出した方がイイか?」
腰を振りながら、猗窩座が監督に視線を向けると、監督はまだまだとジェスチャーで否定を示した。
『先に杏寿郎君をイかせてやって』
メガホンから気の抜けるような助監督の声。勝手に盛り上がっている俺の耳には、ほとんど届かない。
「わかった」
『猗窩座君、もう少し身体を引いてくれるかな。入れてるとこの画がもっと欲しいから』
「ああ」
ぐっと広げた俺の脚を更に広げ、自分は僅かに上半身を逸らす猗窩座。
そうすることで更に感じる箇所を強く擦られる結果になり、俺は堪らずに切羽詰まった声を上げた。声に誘われた風に、猗窩座の指が俺の昂ぶりをも煽りだす。


「う・・・う、あ、あ、あ」
我慢できなかった。
さっきイったばかりだというのに、もう漏れてしまう。我慢が出来ない。
「イくっ、イく!」
激しく胴震いしながら、俺は再び白濁を迸らせていた。



その後のことは殆ど覚えていない。
その後も感じる箇所を執拗に指と昂ぶりで刺激された気がするし、身体を揺すられながら幾度か精を吐きだした気もする。
だがあまりの、これまで体験したことのない快感に、脳内に白い閃光が走り、何も考えられなくなっていた。

猗窩座に引き起こされるままに身体を起こし、上に乗せられて下から突き上げられたような気もするし、俺の体内から抜いたばかりの奴の性器を喉の奥まで突っ込まれて、嘔吐しそうになるまで強引な抜き差しを繰り返された気もする。
猗窩座の出した白濁を顔に掛けられたのは現実だろうか。髪に汁を垂らす棒を擦り付けられたのは・・・?
どれもがまるで夢を見ているように感じたのは、逃げを打つ脳が出す脳内麻薬に寄る気分の高揚のせいなのかもしれなかった。
0837やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:17:40.97ID:???
96 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 07:32:19.11 ID:???
「カット!!」
慌ててかかる助監督の声と、俺に縋りついた形で猗窩座の二つ折りに曲がった身体が床に沈むのは殆ど同時だった。




主演男優が周囲のスタッフに看病されながら痛みに唸っている横で、俺はこってりと助監督に叱られた。
そりゃそうだろう。看板男優を殴る共演者なんて聞いたこともないはずだ。

しゅんと項垂れて猗窩座に顔を向けると、彼もどうにか浮上できたようで、スタッフに汗を拭かれメイクを直されていた。
浮かんでいるのは脂汗か。よほど痛かったのだろう。



「・・・申し訳なかった」
深々と頭を下げる俺に下されるのは、ツンドラ並みに凍えた視線。当然のこととはいえ、身が凍りそうだ。
「本当に申し訳ない」
「素人が興味本位で参加するほど、迷惑な事はないんだが」
「・・・次は頑張るので」
「は? 頑張る必要ないが。監督、こいつとあっちの可愛い子とチェンジしてくれ」


冷たい物言いに唇を引き結んで猗窩座を見ると、猗窩座は冗談ではなく本気で相手役の交替を希望しているようだった。
指された小柄な男の子が嬉々として立ち上がり、急いで走り寄ってくる。

「ぼ、僕ですか!? 嬉しいです!! 僕、以前からずっと猗窩座さんの大ファンで。猗窩座さんに抱かれたくて、今回も申し込んだんです!今回絡みがないって聞かされて落ち込んでたんです」
「ああ、それはどーも」
「猗窩座さんのねっちっこい前戯も大好きなんですが、あのイマラチオする時のドSの表情とか、喉の奥に出す時のあの肉食系の眼差しとか、顔に掛ける時の・・・」
「・・・もういいから黙ってくれ」

猗窩座に縋りつくように言う、女の子めいた顔立ちの、それでも顔を裏切る筋肉質の男を、俺は唖然と見つめていた。内容がディープ過ぎて頭が単語を拒否している。
男相手のイマラチオ。イマラチオって・・・あれだよな。あの激しいの。
・・・勘弁して欲しい。


「ということだから。杏寿郎さん、もう頑張らなくて結構だ。それでいいよな、助監督」
「え、勿体ないなぁ、せっかくの逸材なのに」
「じゃあ、お前、続けての撮影で悪いが、準備してもらえるか? 前の男の精液は出してこいよ、俺、他人のものが垂れてる尻の穴舐めたくないから」
「はい!すぐに!」

そそくさとその場を離れる穴男優を、俺は茫然と見ていた。
与り知らぬところで進められる話。どうしてよいのか分からなくて、ぼんやりと猗窩座の貌を見つめていると、視線に気づいた猗窩座はあからさまに眉間を寄せ、迷惑そうに顎をしゃくった。
0838やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:18:14.89ID:???
98 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 07:40:15.74 ID:???
意を決して臨んだ撮影。合図の音が響き渡るなり、猗窩座は壁に乱暴に俺を押し付けて唇を貪ってきた。
俺の目が白黒する。
心の準備をしていても同性同士のそれに、全身の産毛が逆立つのを止められない。

息を継がせぬほどに激しい口接け。口腔に唾液を送りこまれるが、飲み込めなくて、だらしなく口の端から溢れさせてしまう。
猗窩座は乱したシャツの隙間から手を差し込み、俺の肌をゆっくりと舐めるようになぞる。唇は首筋から耳元に移動する。


「変な声出しても大丈夫だぞ。あとで編集修正かけるからな」
「・・・あ、ああ」
「もうちょっと・・・力抜けないか、力みすぎ」
「む、無理」

確かに身体は音がしそうにぎこちない動きになっているだろう。
カットの声がかかって、俺は忙しなく肩で息をした。口の周りが唾液でべたべたして気持ち悪い。力み過ぎたせいで関節の付け根が痛い。


「杏寿郎君、もうちょっと力抜けないかなぁ。絵面的にもうちょっと色っぽい顔が欲しいんだよね」

口元を拭う俺に助監督が近付いてきた。
怒ってはいないようだが、進行がスムーズに行ってないのか、若干焦りが顔に浮かんでいる。


「・・・すみません」
「ちょっと薬使ってみる? 大丈夫、合法のもので依存性の低いヤツあるから」
「え」
「このカプセルを尻の穴に入れてくれないかな」

近づく助監督に薬を渡されそうになって、俺は激しく頭を振った。
「い、いや、本気で、俺、薬とか」
「そう言わないでさぁ。入れてくれないと無理矢理入れちゃうよ?」
のんびりとした口調だが、有無を言わさぬ響きがある。

薬は絶対いやだ。
それが合法だろうがなんだろうが、堕ちて行く気がしてそれは譲れない。
反射的に縋るように目の前の猗窩座の腕をぎゅっと掴む。
思わず涙目になっている自覚がある。猗窩座は軽く肩を竦めて、助監督の手から薬を取り上げた。


「・・・こんなモノ必要ない。俺を誰だと思っている、天下の猗窩座だぞ。催淫剤を使うなんて俺をバカにしてるとしか思えないが」
「いや、猗窩座君、そんな訳じゃなくて」
「大丈夫、すぐに俺が蕩けさせてやるから」
0839やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:18:57.11ID:???
92 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 06:01:03.07 ID:???
現場のスプリングのきいたベッドの上では、まだも前の撮影が行われていた。
嘘臭いほどの喘ぎ声。
明らかな男の、野太い声に鳥肌が立ってしまう。
スタッフが用意してくれた折りたたみの椅子に座りながら、拳を握りしめてベッドの上を睨みつける。
そこには全裸の男優がふたり。四つん這いの男を、背後から一人の男が責めていた。
忙しない腰の動き。間違いなく本当に挿入している。血の気が引きそうになる。

震える拳を口元に当て、呻きが漏れるのを抑える。
鳥肌はまだも治まらない。
忙しなく動くスタッフにとっては、あくまでも仕事らしく、照明もカメラもいたって真剣で、そこだけ見れば普通の撮影現場と遜色はないだろう。


「初めてか?」


ふいに掛けられた声に、俺は夢から覚めた人のように数度瞬きをしてから、ぎこちなく顔を横に向けた。
緊張しすぎていて気付かなかったが、俺の横に同じ折りたたみの椅子にバスローブ姿で腰掛けている男がいた。

ここにいるからには彼もAV男優なのだろうが、こんな場所に不似合いなほどに整った顔をしていて、俺は驚いて彼の顔から眼をそらせなかった。
それをどう受け取ったのか、肩を竦めて彼が笑う。

「何だ?何か俺の顔についているか?」
「あ。いいや・・・男優さんだろうか?」
「当然だろ。ここにいるんだから」
微かに鼻で笑われる。
その歪めた微笑はちょっと人が悪く映る。綺麗な顔をしているのだから、もっと優しく笑えばいいのに、と俺は思った。



こんな場所にいるよりモデルか何かをした方がいいのではないかと思った。それほどまでに顔立ちに華がある。それとも彼も俺のように逼迫した理由があるのだろうか。


その時、ベッドの上からひときわ高い声が上がって、俺はぎくりと身を強張らせた。
俺に、あんな声が出せるとは思えない。
「見かけない顔だな。どこの事務所だ?」
「き、鬼滅企画」
「は。あのふざけた名前の事務所。よくそんなところと契約したな。」
「・・・だって他に知らなかったのだ・・・どうしても金が欲しくて」
「まぁ金さえ貰えればどうだっていいよな。ちょっといないタイプだから珍しいと思ったが・・・まぁ、どうでもいいが」
0840やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:19:20.69ID:???
>>835
それはやばいわ。。
二人とも系統の違うキレイな目をしているもんね。
猗窩座の半裸が見れないのは惜しいけどスキーウェアたまらん
0842やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:20:32.21ID:???
89 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 01:16:11.53 ID:???
「うん。合格。今日はこれから撮影だけど、参加できるよね?」
「よろしくお願いします」

全裸で深々と頭を下げる。
どうしても今週中にまとまった金額が必要なのだ。
背に腹は代えられない。これが俺の出した答えだった。



起業する友人の保証人になったのは2年前だった。
そしてその友人が多額の借金を残したまま姿をくらませたのはちょうど1年後。それから地獄のような取り立てが始まった。
天涯孤独だった友人と違い、俺には護るべき家族も親戚もいる。もしも俺が逃げ出せば家族に迷惑がかかると闇金のやくざに脅かされ、気づいた時には雁字搦めの生活に陥っていた。

奴らの遣り方は、生かさず殺さずだ。
会社に通いながら夜は夜間工事のバイトやバーのウェイターをして日銭を稼ぎ、それを常に吐き出している。月額かなりの金額を返済に充てているが、元本が減る様子は殆どない。杏寿郎が返しているのは日々膨れていく利子の部分だけだった。
さすがにそろそろ僅かながらの蓄えも底をつく頃だった。
それを見越したように、臓器を売るって手もあるんだよ、と先日、猫なで声で言われた時はさすがに背中が寒くなった。


こうなれば最早仕事を選んでいられない。
手っ取り早く金銭を稼げて違法ではない仕事がないかとバーの仲間に相談したところ、紹介されたのがAV俳優専門のプロダクションだった。
履歴書を持って行くだけで簡単に登録をした俺は、3日前の夜にいきなり仕事の電話を受け、撮影現場と言われ指定されたラブホテルに一人でやってきたのだった。
0843やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:21:34.09ID:???
101 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 08:01:56.71 ID:???
「・・・金のことしかないのか?・・・正直、萎える」
ふいに猗窩座に呟かれて、俺は目を見開いた。心の中ではなく、口に出して呟いていたらしい。
「そんなに金が欲しいなら・・・デートクラブでも紹介してやろうか? 売れっ子になれば結構稼げるぞ」
「そんな・・・の、・・・身体を売るなんて」
「・・・今さらだろ。今から掘られるんだから。することは一緒だぞ。・・・中を開発してやろうか? ハマると抜け出せないくらい、イイらしいぞ」


なぜ機嫌を損ねたのか分からないが、猗窩座はひどく意地悪だ。
女性ではないのだから優しくして欲しいとは思わないが、明らかな嫌味の連発に腹が立ってくる。
ゲイじゃないのだから、尻の穴が良くなる日は永遠にくるはずはない。

「早く・・・したらどうだ。喋ってばかりではなくて」
「・・・・・・いい度胸だな・・・。泣かせたくなるタイプだ、ホント」

更にグリっと指を捩じり含まされて、あ、と俺の口から引き攣った声が漏れた。それに気を良くしたのか、薄く猗窩座が笑う。
「このドS!」
「ああ、それが今日の猗窩座君の売りだからな」


指がいきなり引き抜かれ、上がる悲鳴を慌てて唇を噛んで耐える。唇が切れたのかちりっと痛んだ。
「まだ初々しい尻だな」
「・・・なんだ、それ」
「使い込んだ尻の穴は・・・見るとすぐに分かる」
「え。・・・そうなのか?」
「ここの皮膚が薄くなって、皺がなくなるんだ。つるりとして、それはそれで愛らしいが」
「・・・・・・・・・」
「締まりも悪くなるから、ウリをするなら気をつけた方がいいぞ」
殴りたい、と思う。
綺麗な顔で暴言を吐くこの男を思いっきり殴りつけたら、さぞかし気分がいいだろう。


「あ、ま、まて」
「もう講義は終了だ。あとは実技だな」
躊躇もなく熱く堅い何かが押し当てられて、俺は目を見開いた。
滾りは本人が豪語するようにかなりの立派なもので、そんなものが入るとは到底思えない。
0846やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:23:53.55ID:???
92 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 06:01:03.07 ID:???
現場のスプリングのきいたベッドの上では、まだも前の撮影が行われていた。
嘘臭いほどの喘ぎ声。
明らかな男の、野太い声に鳥肌が立ってしまう。
スタッフが用意してくれた折りたたみの椅子に座りながら、拳を握りしめてベッドの上を睨みつける。
そこには全裸の男優がふたり。四つん這いの男を、背後から一人の男が責めていた。
忙しない腰の動き。間違いなく本当に挿入している。血の気が引きそうになる。

震える拳を口元に当て、呻きが漏れるのを抑える。
鳥肌はまだも治まらない。
忙しなく動くスタッフにとっては、あくまでも仕事らしく、照明もカメラもいたって真剣で、そこだけ見れば普通の撮影現場と遜色はないだろう。


「初めてか?」


ふいに掛けられた声に、俺は夢から覚めた人のように数度瞬きをしてから、ぎこちなく顔を横に向けた。
緊張しすぎていて気付かなかったが、俺の横に同じ折りたたみの椅子にバスローブ姿で腰掛けている男がいた。

ここにいるからには彼もAV男優なのだろうが、こんな場所に不似合いなほどに整った顔をしていて、俺は驚いて彼の顔から眼をそらせなかった。
それをどう受け取ったのか、肩を竦めて彼が笑う。

「何だ?何か俺の顔についているか?」
「あ。いいや・・・男優さんだろうか?」
「当然だろ。ここにいるんだから」
微かに鼻で笑われる。
その歪めた微笑はちょっと人が悪く映る。綺麗な顔をしているのだから、もっと優しく笑えばいいのに、と俺は思った。



こんな場所にいるよりモデルか何かをした方がいいのではないかと思った。それほどまでに顔立ちに華がある。それとも彼も俺のように逼迫した理由があるのだろうか。


その時、ベッドの上からひときわ高い声が上がって、俺はぎくりと身を強張らせた。
俺に、あんな声が出せるとは思えない。
「見かけない顔だな。どこの事務所だ?」
「き、鬼滅企画」
「は。あのふざけた名前の事務所。よくそんなところと契約したな。」
「・・・だって他に知らなかったのだ・・・どうしても金が欲しくて」
「まぁ金さえ貰えればどうだっていいよな。ちょっといないタイプだから珍しいと思ったが・・・まぁ、どうでもいいが」
0847やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:24:45.77ID:???
102 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 08:08:09.75 ID:???
「あ、猗窩座の舐めなくていいのか!?」
「噛みつかれそうだから後にする」
「ど、道具は!?」
「・・・・・・なかなか大胆だな。道具も後でたっぷりと使ってやるよ」
「あ、後なのか!? ど、どっちも後ってどういうことだ!? な、何の後だ!! 」
「あーうるさい」


ぐっと腰を使う猗窩座に、俺の息がひっと上がった。
侵入してくる。
潤滑ゼリーの助けを借りて入ってくる。大きなものが。

「・・・ぅああうっ・・・」

熱い。硬い。肉をこじ開ける感触。

「・・・ぁあ・・・うぅ・・・はぁあぁ・・・」
「・・・は・・・狭いな」


腰を揺すられて捻じ込まれ、俺は声にならない悲鳴を上げた。全身が激しく戦慄く。
圧迫に息が止まりそうな錯覚。入り口が裂けそうな気がして、身動くことができない。
いつの間にかカメラがすぐそこにあった。
俺の顔を映している。顔を隠したいが、今は身動くことさえできない。
背後から俺に乗りかかる形の猗窩座が背に手をつくから、自然背筋が反らされる体勢になる。ぐっと背を圧迫しながら、収まりきった猗窩座がゆっくりと腰を使い出す。
俺は悲鳴を押し殺すために、更に唇をきつく噛みしめた。

「痛いか?」
こくこくと頷くと、手が伸びて俺の頬を暖かな手がするりと撫でる。
「待ってろ。今、いいところを探してやる」
ゆうるりと腰が動き始める。

途端に吐きを催すほどの圧迫感。痛みに俺の下腹部は惨めなほどに縮んでいるだろう。
俺の身体にいいところなんてある訳がない。
男が排泄器官で感じるはずがない。
ゆうるりと探る様に擦る動き。肉が引き攣れて苦痛に呻く。

前に回された猗窩座の指が、柔らかな下腹部に触れてきた。ぴくりと身動くが、それを無視して指は緩急をつけて俺を昂めようとする。
直接的な刺激が加わると、そこは簡単に熱を帯び始める。巧みな指の動き。自分でするよりも的確に俺を煽る。

「・・・あ・・・あぁ・・・は」

後ろで灼熱の棒を咥えていることさえ忘れそうだ。
いきなり身体を反転されて、俺は短い悲鳴を上げた。ぐるりと回された内部に熱を感じる。そして浅く突かれて初めて、俺の身体はブルリと震えた。
0848やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:26:00.14ID:???
杏寿郎がインストラクターしてたら
イケメンだわ優しいわ教えるの上手だわで生徒の目が(男も女も)ハートになっちゃう
無愛想な別のイケメンが邪魔しにくるわね
0850やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:27:07.43ID:???
97 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 07:35:17.48 ID:???
「まだいたのか? もういいぞ」
「え?」
「だから・・・相手役を替えたんだ。もう帰ったらどうだ?」
「でも・・・俺・・・金・・・」

金。金がいるのだ、どうしても。
そうだ、どうしてもだ。
心に決めてきたはずだ、煉獄杏寿郎。
どんなことでもする覚悟で、今この場に来たのだ。


「つ、次はちゃんとやる! もう一度チャンスをくれないか」
直立不動で深々と猗窩座と助監督に頭を下げる。ここで帰されても1円も貰えないのは分かっていた。ここですごすご帰ると、二つある腎臓が一つになるかもしれない。親からもらった大切な身体に傷をつける訳にはいかない。


「うーん、僕としては杏寿郎君にぜひ頑張ってもらいたいんだけどねぇ、猗窩座君が」
頭を掻く助監督の言葉を受けて、俺は猗窩座に向き直って再び頭を下げた。どうしてもこの仕事を失う訳にいかない。
だが猗窩座の眼差しは、やはり冷たかった。
なまじ顔が良いから、そんな表情をすると凄味が出る。


「AVだからって馬鹿にしすぎ。覚悟が足りないんだよ。ここにいる皆の真剣さなんてお前には伝わってないんだろうな。皆、これで食ってるんだ。ホント・・・ふざけるな。仕事ならちゃんと割り切れ。遊ぶ金欲しさの甘えた感覚で来てるなら、とっとと帰ってくれ」
「・・・申し訳ない」

確かに猗窩座の言う通りだ。
仕事に貴賎はない。
それに杏寿郎は一旦覚悟を決めたのだ。男に二言はない。ここまで来て逃げ腰など、男、煉獄杏寿郎の沽券にかかわる。
俺は気合を入れるために、手のひらで自分の頬を力いっぱい叩いた。
呆れたような猗窩座の眼差しは、この際無視をする。


「もう絶対、逃げない。お願いします」
「・・・嫌だね。また土壇場になったら殴られそうだから」
「う。絶対殴らない。・・・なんなら手が出ないように、腕を縛ってくれてもいい」
「え。・・・縛ってもいいのか?」
「覚悟は決めた。なにされても文句は言わない」
「・・・何されても・・・」
手を顎に当て、伏せ目がちになにかを考えている猗窩座。見目はやっぱり麗しい。
「歯を立てないでくれるか?」
「はい」
「俺、喉の奥まで突っ込むのが大好きだけど、いいか?」
「う。はい」
「道具・・・使うが、いいか?」
「う、ううう・・・いい! 男に二言はない!」


やけくそで叫ぶように言うと、猗窩座は初めてにんまりと笑った。
「じゃあいいぞ。たっぷり愉しめそうだな」
その尋常ならざる笑顔を見た瞬間、俺は男の一言をすぐさまひっこめたい衝動に襲われたのだった。
0851やまなしおちなしいみななし2021/07/04(日) 19:28:04.79ID:???
88 名前:やまなしおちなしいみななし [sage] :2021/07/04(日) 01:12:06.42 ID:???
人間、死ぬ気になればできないことはないと思っている。


死んだ方がましだ、という言葉を巷で使う人はいるが、俺は本気じゃないにしろその台詞が好きではなかった。
死んだらそこで総てがおしまいなのだ。
一度しかない人生を、決して自らの手で終わりにしたくなどない。
その時どれほど辛いことがあったとしても、それは永劫に続くはずもなく、未来ではそんなことがあったと感慨に浸りながら、思い出すこともできるかもしれない。

そう思って、何事も取り組むようにしている。
決して後ろ向きにならないように。
それが、俺、煉獄杏寿郎のポリシーだった。



「じゃあ、そこで脱いでみて。杏寿郎君」
衆人環視の中、助監督にそう言われて俺はきゅっと唇を噛みしめて、自分の衣服のボタンに手を掛けた。
無意識に指が震えそうになるが、内心で自分を叱咤して気持ちを奮い起こす。
衆人環視と言っても杏寿郎に意識を向けているのは数人で、後は部屋の中で忙しなく動き回っている。
撮影現場という場所が初めてだったので、周囲のスタッフの人数が適当なものかも分からないし、この喧騒の中での面接も妥当なものかは分からなかった。


だが脱げというからには脱ぐしかない。
俺はここにお金を稼ぎに来ているのだから。

「いい身体だね。綺麗な筋肉だ。何かスポーツでもしてるの?」
「工事現場で働いています」
「ああ、ガテン系ね。うん、いいね。需要がありそうだ。下も脱いで。下着もね」

言われて、スウェットパンツを下着ごと一気に下げ、全裸になる。靴下だけ履いている姿が妙に間抜けだが、今更靴下を脱ぐのも変な気がして、衣類を手から落としながら助監督の前で身体を晒す。
まだ歳若い助監督は不躾に俺の身体を舐めるように眺め、それから満足そうに腕を組んだ。
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