地獄の中の湯けむり姫

期待してたの。
久々の銭湯、
あたしを見つけてくれる王子様がいるって。

でもいたのは、大量の
ブス・ブス・ブス
ジジイ・デブ・ガリ・ハゲ

ゴリゴリと
あたしの尊厳が削られていく音がした。

あたしは、この不感湯という名の地獄に咲いた、たった一輪のプリンセス。

でも王子様はどこにもいなかった。
いなかったの、どんなに探しても。

あたしに手を伸ばすのは、穢らわしい妖怪たちだけ。
あたし、王子様に、会えなかった。

不感湯に沈めた願いも、
サウナで蒸した希望も、
水風呂で冷え切ったまま、
そのまま、帰ったわよ。

王子様はいなかった。

ねぇ、王子様。
次に行くときには会えるよね?
神様、バランスを取ろうとしないで。
あたしに甘美な悦びを与えると、
その後どうして地獄を与えるの?

超イケメン王子様にディープに愛されたり。
複数の王子様にあたしの奪い合いをされたり。
でも今日は、
ブス・ジジイ・デブ・ガリ・ハゲだらけのこの世の終わりのような地獄だったのよ。