℃-uteでエロ小説!!
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みんなでどんどん書こう!! プロローグ
新しい朝が来た。今日は目覚まし時計をセットしていない。春休み期間中だから、学校に行く必要はない。まだまだ、好きなだけ寝ていられる。
しかし、いつもと同じ時間になるとつい目が覚めてしまうのは、彼女の癖だ。あまり愉快なものではないが、仕方がない。
「ん…あぁ、まだ七時かぁ…」
彼女は布団の中から顔だけ出して、目覚まし時計の時刻を確認した。せっかくの休みなのだからもっと寝ていたいのに、つい目が覚めてしまった。
「もうちょっと寝よう…」
再び顔を引っ込め、布団の中に潜る。しかし、一度目が覚めてしまったからか、どうにも眠れず、結局十分も経たないうちに、彼女はまた布団から
這い出てしまった。
「暑い」
一言、そう呟いた彼女の風貌は生まれたままの姿、つまりは全裸であった。
季節は春である。全裸で寝ているのは体に悪いような気もするが、彼女は取り立てて意に介してはいないようだ。 >>387
「え、汗かいてるし」
自分の下半身を見た彼女は驚いた。まだ春だというのに、彼女の腿は汗で光っている。
「まあ、いいか」
彼女は汗をタオルで拭うと、暑いと言ったはずなのに、またしても布団を被るのであった。
この全裸の少女の名はハギワラマイという。マイはいつも裸で布団にくるまって寝るのが好きだった。
家に帰って自分の部屋に入り、服を脱いで生まれたままの姿になると、なぜかいつも自分の心が休まり、気分が楽になる気がする。
普段は表に出せない、抑圧されていた自分の感情を解き放てる気になる。そして裸になって解き放った時、マイはたまらない快感を覚えるのだ。
昔は『もしこの姿を誰かに見られたら』などと不安になったりもしたが、今はそれより解放感と安心感の方が先に来るようになった。
だから、マイはこの行為をやめられない。 >>388
そして、マイは裸に布団を被ったままの姿で窓の外を見る。何をするでもなく、ただぼんやりと外の景色を眺める。
マイはこの時間がお気に入りだった。この時間だけは絶対に誰にも邪魔をされたくないから、彼女は自分の部屋に鍵をかけることにしていた。
マイは布団にくるまったまま、壁のカレンダーを見た。新学期の始業式が明後日に迫っている。もっと休みを楽しんでいたいのに、日程は
それを許してくれそうにない。
「学校行きたくないなぁ…」
新学期になると、マイは進級して高校二年生になる。クラス変えによってまた、新しいクラスに入ることになる。マイはそれが苦痛だった。
彼女は友達を作るのが下手だった。だから、友達が多い方ではない。新しいクラスに入ったら、少ない友達とも散り散りになって、また周囲が
知らない人だらけになる。そうなると、再び一から人間関係を構築しなくてはいけなくなる…
マイはそれが嫌だった。 >>389
中学生のころ、マイは随分と学校でいじめられていた。
あまりにもいじめられ過ぎて、マイは明日が来なければいいと思うこともあった。
せっかくの数少ない友人に冷たい態度を取って、友人を傷つけてしまったこともあった。その友人に対しては今も申し訳ない気持ちを持っているが、
マイはそれを言えないままであったから、自然と、その友人とは疎遠になってしまった。
いじめられるのが嫌で、マイは登校拒否をするようになった。
親があの手この手で『学校に行かなくてもいいような方法で』マイに勉強をさせて、何とか高校にはギリギリのところで進学できた。もっとも、マイの
成績はその年の合格者の中で一番下だった。
それ故周囲の人々に『こんな成績でよくこの高校に入れた』などと言われたものだから、マイの心はまた傷ついてしまった。 >>390
そんな過去があるから、マイは学校という場所が好きではなかった。内心では別に行かなくてもいいと思っているのだが、ここまでマイを育てた親や、
周囲の人々に対して悪いと思っているから、渋々行っているだけだ。
彼女にとって学校とは、ただ『嫌々行っているところ』でしかなかった。だから、彼女は部活動や生徒会活動にもほとんど興味がない。授業が終われば
さっさと一人で家に帰る。
時々、一人でどこかに遊びに行くことがあるが、それ以外の時間を彼女は専らこの部屋で布団を被って過ごしている。高校生になる時に新調してもらった
ノートパソコンが彼女の最大の友達だ。寝る間際まで、彼女は布団を被ったままノートパソコンの前で時間を過ごす…
もちろん、裸で。 >>391
他人を避けるような生活をするようになって随分と経つ。でも、マイは今更それを変えるような勇気など持っていない。
今だって十分ストレスが溜まる生活をしているのだから、これ以上ストレスを溜めるようなマネはしたくない…というのが彼女の本音だった。
「いいよ、別に今のままで。今だって全然楽しくないけど、今より悪くなるんだったら、今の方がいい…」
マイはそんなことを考えながら、布団の中からぼんやりと窓の外を見ていた。外は綺麗な青空が広がっていて、朝の光がまぶしい。
時々、目の前の道路を人や車が通過していく。
大きな音を立てて、一台の車がマイの見ている風景にフレームインしてきた。ピンク色のクーペだった。よほど急いでいるのか、その車は猛スピードで、
マイの目の前からフレームアウトしていった。
「スピード違反でしょ、あれ」
再び誰もいなくなった道路を眺めながら、マイはそんなことを呟いた。もちろん、ピンク色のクーペの運転手が誰であるかなど、気にも留めることはなかった。 >>392
第1話『新生活』
いつもの朝と同じように、目覚まし時計が大きな音で鳴り響く。ベッドの中から伸びた右手がそれを止める。どんなに大きな音を出す目覚まし時計でも、
鳴った瞬間に反射的に止められるようでは、さほど意味を持たないようだ。
しばらく経って、別の場所にある目覚まし時計が、先の目覚まし時計よりも大きな音を立てる。先の目覚まし時計が止められた際の『保険』だ。
「あぁ…もう少し寝てたいのに」
部屋の主は女であった。彼女の髪は寝起き故かボサボサになっており、『乱れている』という表現がふさわしい状況になっていた。その乱れた髪のまま
彼女はのそのそとベッドから這い出て、鳴り続ける目覚まし時計のところまで歩み寄った。
ボタンを押し、何気なく時計の針を見る。時計の針は午前七時二十分を指していた。
「…え!?」
部屋の主の表情が変わった。一気に眠気が覚めたようだ。どうやら、彼女は寝坊をしてしまったようである。
「ウソ!?ヤバっ!」
もっと早く起きなければいけない日だったのに、いきなり寝坊をしてしまった。彼女は青ざめた顔で、大慌てで出かける準備を始めた… >>393
二十分後。化粧もそこそこに、ゴミ袋片手に家の鍵を閉める彼女の姿があった。
「急がなきゃ…間に合うかなぁ?」
ドアの横にある家の表札が少し汚れていた。それが目に入った彼女は何気なく表札を指で拭った。手にべっとりと埃が付着した。
「げっ、洗ってる時間ないや…」
鍵を閉めてしまったので家の中に戻るのはめんどくさい。彼女は洗うことをあきらめて、エレベーターで一階まで降りた。
ゴミを捨てると、彼女は駐車場へ急いだ。彼女の愛車は中古で買った、ピンク色のクーペである。昨日、念入りに洗車を済ませたので、
外はピカピカになっていた。
「飛ばすしかないでしょ」
エンジンに火を入れると、彼女はダッシュボードの中からウエットティッシュを取り出し、汚れた手を素早く拭いた。そして、目的地へと
車を走らせた。 >>394
彼女の名前はミチシゲサユミという。サユミはこの春、大学を卒業したばかりであった。大学時代の不規則な生活スタイルが、卒業してもまだ残っていたようで、
今朝はそれで寝坊をしてしまった。
サユミがこれだけ急いでいるのには理由があった。彼女は苦労した末、ある高校の講師として採用されたのである。
今日は高校の入学式であると同時に、サユミにとっても初登校の日だった。
どれだけ遅い"ご出勤"でも、朝の八時には学校に到着していなければならない。ましてや初登校の講師が、初日から遅刻することなど許されない。そのことは
彼女も十分理解していた。理解しているはずだった。なのに…
「バカバカバカ…どうして今日に限って…」
サユミはアクセルを踏みながら、自分のミスを呪った。もっとも、嘆いてももう遅いのだが。 >>395
スピード違反スレスレのスピードで車を走らせたら、何とか八時前に学校に到着した。サユミは大慌てで駐車場に車を止めると、職員室に駆け込んだ。
「おはようございます!」
挨拶をしたサユミが顔を上げると、周囲の教師は冷ややかな目でサユミを見ていた。
「ああ、ミチシゲ先生…遅かったですねぇ…初日からどうしたんだろうって、みんな心配してたんですよ?」
中年の女教師には嫌味を言われた。
「初日から寝坊ですか?男と遊んでたんじゃないのぉ?」
禿げた頭の男教師にはセクハラまがいのことを言われた。
「すいません…以後気をつけます」
サユミは笑顔で受け流していたが、当然、お互いの印象が良いものであるはずはない。その後に設けられた自己紹介の時間で
サユミは―自分なりに―精一杯挨拶をしたが、教師たちの反応は鈍く、お世辞の拍手が聞こえただけであった。 >>396
「じゃあ、今から新入生の受付準備がありますから、ミチシゲ先生はそちらを手伝ってください」
先輩教師に言われるがまま、サユミは最初の仕事をすることになった。やって来る新入生の名前と名簿を確認し、入学式で胸に着けるリボンを渡す仕事だ。
「これから私の教師生活が始まるんだ…」
サユミはリボンの入った大きなダンボール箱を運びながら、少しの不安と、大きな期待を胸に抱いていた。講師の立場だから、担任になれるわけでもなければ、
来年も雇ってもらえるかの保証もない。それでも、ここで頑張れば、またどこか別の学校に拾ってもらえるかもしれない…
いずれにせよ、サユミはこの学校に長くとどまろうという気はなかった。いや、とどまれないことを知っていた、と言うのが正しいか。
「じゃあ、ここで新入生に名前を訊いて、名簿のチェックをして、リボンを渡してください」
サユミは椅子に座って新入生を待った。部屋の外には沢山の新入生たちが待っている。サユミの前に最初の新入生が現れた。
「入学おめでとう。お名前は?」
「アユミ…イシダ、アユミです」
(つづく) >>397
第2話『新入生』
「あ…靴下に、穴開いてる…」
イシダアユミは家を出る前からいきなりブルーな気分になった。せっかくの入学式なのに、手持ちの中から選んだ『一番高級そうな』靴下に穴が開いていたのである。
アユミは慌てて部屋に戻ると、靴下を物色した。しかし、出てくる靴下はどれもボロボロになったものばかりである。
物持ちがいいと言えば聞こえはいいが、言い換えれば貧乏臭いとも言える。
「えーと、確か…校則に…」
彼女は入学前にもらった校則を読み返した。『靴下の色は原則として白色とする』と確かに書かれている。
「どうしよう…靴下がない…」
初日からこんな事態に遭遇するとは思わなかった。仕方なく、アユミは穴の開いていない白靴下の中で、なるだけ『普通そうに見える』ものを選んで履くことにした。
『原則』なのだから、別に他の色でもいいのではないかと思うのだが、アユミはバカ正直…もとい、真面目に規則を解釈し、白い靴下を履き直した。
「じゃあ、行ってきます」
意気揚々と行くはずだった入学式なのに、いきなり出鼻を挫かれた格好になって、アユミの声のトーンは下がり気味になった。 >>406
この学校は中高一貫校である。『中等部』…つまりは中学校から入学した生徒は―普通に勉強すれば―エスカレーター式に高校に進学することができる。
ところが、中にはこの中学校から他の高校を受験する生徒もいる。空いた新入生の枠を補うために入試が行われ、あまり多い人数ではないが、一定数の
生徒が『高等部』…つまりは高校からこの学校に通い始める。
アユミもその一人だった。倍率が七倍を超えるような、難関の入試を"いちかばちか"受験した彼女はワンチャンスを生かして、見事合格を射止めたのであった。
合格の決まった日、アユミは家族総出でお祝いしてもらった。好物の手羽先とスイカが振る舞われ、彼女は幸せの絶頂にいた。
「高校に入ったら、あんなこともしたい、こんなこともしたい…」
アユミは真面目な少女であった。高校に入った自分がしてみたいことのリストを律義に作り、机の一番上、鍵のついた引き出しの中にこっそりと入れた。
それは彼女だけが抱いている、新しい生活での夢であった。 >>407
もっとも、狭い枠を勝ち抜いて合格したはいいが、一つの問題があった。同じ学校から合格した生徒は一人もいなかった。
つまりアユミは、友達のいない状態でこの学校に入学することになったのである。
「うまくやっていけるかなぁ…」
アユミは内心不安だった。友達を作るのは上手な方だ、と自分では思っている。しかし、今まで仲良くなった友達は大抵が小学校の頃からの付き合いだとか、
あるいはその前の幼稚園の頃からの知り合いだったとか、長い年月を経ていた人たちばかりだった。いきなり見ず知らずの世界に放り出されて
―いや、飛び込んだと言う方が正しいか―
自分は一人ぼっちにならないだろうか?アユミはそれを気にしていた。
そんなことを考えながら、アユミは高校に辿り着いた。中へ通されると、若い女教師が名前を訊ねてきた。 >>408
「入学おめでとう。お名前は?」
「アユミ…イシダ、アユミです」
「イシダアユミさんね…うん、名前がある」
そう言うと、女教師は箱の中からリボンを取り出し、アユミに渡した。
「じゃあ、あちらの体育館の中に椅子がありますから、前から順番に座って、待機してください」
アユミは体育館の中に入った。アユミの通っていた中学校のそれよりも大きな体育館は二階、三階まで席が設けられている立派なものだった。
「うわー、すごいなぁ…こんなところに通うんだ、私…」
物珍しさ故か、アユミの視線がキョロキョロと動く。それはハタから見れば『お上りさん』にしか見えない状況であったが、もちろん本人はそのことに気がついてはいない。
「ここに座ろう…」
アユミが律義に前の方の席に座ってから少しして、別の新入生がやって来た。 >>409
「ここ、空いてますか?」
「え?あっ、はい、多分」
その新入生はアユミの隣に座った。物珍しそうにしているアユミを見て、新入生が話しかけてきた。
「あなた、この学校、初めて?」
「は、はい…実は…」
「そうなんだ。私は中学校から通ってるから、体育館しょっちゅう来てるんだ」
「そうなんですか…」
同級生なのだから別に敬語で話す必要もないのだが、初対面なのと『中学から通っている』という言葉に威圧感を感じたか、
アユミは敬語で答えることになった。 >>410
「あなた、お名前は?」
「アユミです…イシダ、アユミといいます…ええと、あなたは?」
「ミズキ、フクムラミズキよ。よろしくね」
「は、はい、よろしく…フクムラ、さん…」
フクムラミズキは笑顔でアユミの手を握ってきた。初対面の人にいきなり手を握られるなんて初めてだったが、アユミはその行為で心が落ち着いた気がした。
高校の新入生たちが集まっていくのを、体育館の外で一人の少女が見ていた。
「今年もいっぱい来るんじゃね…うちはどうしようかなぁ…」 >>411
第3話『一目惚れ』
「今年もいっぱい来るんじゃね…うちはどうしようかなぁ…」
少女は体育館の光景を見ながら、呟いていた。そんな彼女の制服は高校の新入生たちとは―形は似通っているが―色が違う。
高校の制服は菫色のブレザーだが、彼女が着ているブレザーはそれよりも少し赤みのかった紫色のブレザーであった。
それは、この学校の『中等部』…つまりは中学校の制服である。そう、彼女はこの学校の中等部に通う中学生であった。
「うちも受けた方がいいんかなぁ…でもあんまり高い学費はよう払わんよ…きっと」
彼女のしゃべりには特徴があった。それは広島弁が強いということである。中等部に入学してからしばらく経っているが、彼女は未だに広島弁が抜けずにいた。
「リホちゃーん!」
後ろから声がした。リホ、と呼ばれた少女が振り返ると、そこに一人の少女が立っていた。 >>412
「こんなところにいたんだ。みんな探したんだよ?」
「ごめんごめん、ちょっと高等部の入学式の様子が見たかったんよ。ほら」
リホが指差した先には、沢山の新入生たちが体育館の前で並んでいる光景が広がっていた。
「すごいね…メィもいつか、あんなふうになるのかなぁ…」
自分のことを『メィ』と呼んだ少女は、そう言ってリホの方を見た。
「メィちゃんは、このまま高校に上がるつもりなん?」
「わかんない。メィは上がりたいけど…ほら、学費もきついらしいし」
「そうなんよねぇ…うちもあんまり贅沢なことは、よう言わんよ…」
リホはメィと顔を見合わせた。 >>413
「サヤシさーん!タムラさーん!」
遠くで一人の少女の声がした。二人が振り返ると、少女が二人の方へ駆け寄って来た。
「サクラちゃん、どうかした?」
「あっちで先生が呼んでるよ。そろそろ中等部の入学式の準備始めるから来なさいって」
「もうそんな時間か…」
リホは時計を見た。時計の針は朝の九時を過ぎている。中等部の入学式は午前十時からであった。
「そろそろ行こうか」
リホがそう言うと、メィも、そしてサクラも頷いた。その場を去る前に、リホはもう一度体育館の方を見た。 >>414
「こっちに並んでー!」
体育館の前では、名簿をチェックしリボンを渡す係から、新入生を整列させる係に回されたサユミが汗をかきながら列を整理しているところであった。
「いきなりこれかよぉ…化粧が落ちそうなんだけど」
サユミは心の中で泣き言を言っていた。しかし、それを表には出せない。初日から心が折れていたのでは、教師など務まるはずもないからである。
汗をかきながら必死に列を並べている最中であった。ふとさゆみが視線を上げた先に、一人の少女が立っていた。
その少女と目が合った…ような気がした。
そして、その少女は微笑みを浮かべた…ような気がした。
そのまま少女は踵を返して、後ろにいた二人の少女と向こうへ歩いて行った。
「何、あの子!…可愛い…」
サユミは心を掴まれたような衝撃を受けていた。凛とした立ち姿と優しい微笑みがサユミの印象に強く刻まれた。 >>415
「中等部の子かぁ…」
この学校に中等部が存在することはサユミも知っていた。当初サユミが望んだのは中等部の教師の職であった。
しかしそれは叶わず、ちょうど人手が足りなかった高等部の国語科に講師として雇われることになった。
もっとも、サユミにわがままを言うことなどできようはずもない。粘りに粘った末に手に入れた、念願の教師の座だったのだから。
「すいません、これはどっちに並べばいいんですか?」
新入生の一人にそう訊ねられ、サユミの意識は現実に引き戻された。 >>416
「じゃあ、サヤシさんはAグループ、タムラさんはBグループ、オダさんはCグループにそれぞれ行ってください」
講堂の前では、中等部の三人…サヤシリホ・タムラメイミ・オダサクラの三人がそれぞれ持ち場を指示されているところであった。
彼女たちは教師の手伝いとして、新入生の誘導や会場の設営をすることになっていた。
三人がそれぞれ散らばってしばらく経った頃だった。リホの前に、一人の新入生が現れた。
「あの、すいません、トイレどこですか?」
「トイレは正面の入口を出て、右にあります」
リホが場所を教えると、新入生はハスキーな声で
「どうも」
と一言だけ呟いてから、正面入口へと歩き出した。リホは新入生の胸の名札の文字を素早く読み取っていた。
「クドウハルカ…くん、か」
(つづく) で℃-uteは?
新たにやじすずのグロくないやつはじまらないかな >>417
第4話『新入生 Part2』
「うーっ、トイレ、トイレ…」
クドウハルカは焦っていた。家を出る前にちゃんとトイレに行ったはずなのに、またトイレに行きたくなってしまった。外見からはそうは見えないが、
ハルカには意外と緊張する癖があるようだった。
ハルカはトイレの前にやって来た。何のためらいもなく男子用トイレに入った。そう、彼は―名前も、見た目も女の子っぽいが―男の子である。
「ふーっ…」
小便器の前に立ち、彼は真新しい制服のズボンのジッパーを下ろした。ちらりと見える下着はしかし、この年頃の男子にありがちな白いブリーフではなく、
きれいな柄のついた、どこか女っぽいもののようにも見える。
用を足した後でハルカはあることに気がついた。このトイレ、便器の数がやけに少ない。というより、面積が明らかに女子トイレより狭い気がする。
「変だなぁ…」
ハルカはこの学校の生い立ちを知らない。だから、男子トイレの少なさを不審に思った。 >>421
この学校はかつて女子校であった。しかし、数年前からまず高等部の門戸が男子に開放され、その後、中等部も同じように開放されて、現在は男女共学の学校となった。
もっとも『女子校』のイメージがまだ根強く残っているのか、この学校に入学してくる男子の数はまだまだ少ない。
クラスによっては、三十人の女子に対して男子が二、三人しかいないということもある。ハルカはそんなことは知らないまま、この学校に入学してしまったのである。
もっとも、ハルカは別に女の子が嫌いなわけではない。むしろ、好きな方だった。
小学生の頃は男の子と遊ぶ時間よりも女の子と遊ぶ時間の方が長かった。それが普通の友達付き合いだと思っていたから、何の違和感も感じなかった。ハルカは
外見が美しい上にハスキーボイスに特徴があったので、女の子にも人気があった。 >>422
そして、ハルカは早熟な少年であった。というより、女の子たちと過ごす時間が長かったが故に、そうなってしまった面もある。
彼女たちはハルカの未成熟な『青い性』を求め、ハルカは戸惑いながらも、隠されたその一面を彼女たちに見せるようになった。
もっとも、求められているうちに、ハルカにもそれなりの"ヨロコビ"が与えられるようになり、ハルカはそれを甘受していた。
「かわいいよ、ハルちゃん。もっと見せて」
「何か恥ずかしいなぁ…ねぇちゃん、こんなの見て楽しいの?」
「楽しいよ…ハルちゃんが、だんだんオトナの体になってくのを、見るのが楽しいんだよ」 >>423
ハルカはふいに、そんなやりとりを思い出した。体を見られることは恥ずかしかった。いや、今でもまだ恥ずかしい。しかし、見られ続けるうちに体の中が熱くなってくる。
得体の知れない、熱い何かがこみ上げてきて、それがハルカの体を満たすのだ。
そのうちにハルカは目を閉じる。体が熱くなればなるほど、ハルカの中で新しい感覚が目覚めてゆく。それは…
「なんだ、これ…わぁ…きもちいい…ねぇちゃん…きもちいいよ…」
快感、という名の新しい感覚をハルカが知った瞬間だった。
「間もなく入学式が始まります。新入生のみなさんは自分の席についてください。保護者、来賓の方はご自分の席にお戻りください」
そんなアナウンスが聞こえてきた。ハルカの感覚は再び現実に引き戻された。 >>424
「ヤバッ!こんなところで何考えてたんだろ…」
ここは学校である。学校で快感に浸っていてはいけない。こんなところを見られたら、誰に何と言われるか…ハルカは顔が青ざめてしまった。
そそくさと男子トイレを出て自分の席に戻る。結局、ハルカがいた間中、男子トイレには誰も入ってこなかった。
中等部の入学式は滞りなく終了した。クラス分けの紙が貼り出され、ハルカはそれに従って教室に移動した。顔見知りの生徒はいなかったが、
ハルカは―今回は―さほど緊張することもなく、最初のホームルームを終えた。 >>425
何事もなく中学校生活の初日が終わろうとしていた。初日の行事がすべて終わり、下駄箱の周りには下校しようとする生徒たちで混雑している。
しかし、ハルカはその生徒たちとは逆の方向へ歩き出した。今まで行ったことがない、高等部の校舎を見に行ってみたくなったのである。
「こっち行けばいいのかなぁ」
人の多そうな通路とは逆へ逆へ、ハルカは歩き続けた。何だか学校の中を探検しているみたいで、無性に楽しくなってきた。
「へー、こんなところに井戸なんてあるのかぁ」
井戸の前を過ぎ、人のいない教室の横を過ぎ、図書館の横を過ぎると、体育館の裏に辿り着いた。
体育館の裏といえば何かとダーティーなイメージがあるが、この学校はそんなイメージとは無縁で、しっかりと清掃が行き届いている。
ハルカが体育館の裏から表に回った時だった。 >>426
「あれ?ハルちゃん!どうしたの?こんなところで」
ハルカは誰かに呼び止められた。振り返ると、そこにはフクムラミズキと、もう一人の女の子が立っていた。
「あれ?ミズキちゃん…何でここにいんの?」
「言わなかった?ミズキ、高等部に上がったのよ」
隣に立っている少女のことをハルカは知らなかった。相手もハルカのことを知らないようだった。ハルカの姿を認めた二人が歩いてきた。
「紹介するね。同じクラスになった、イシダアユミちゃん」
紹介されたイシダアユミはハルカに会釈をした。
「ど、どうも」
ハルカは初対面のアユミに小声で挨拶した…少々ぶっきらぼうではあったが。
「この子ね、クドウハルカちゃん。私の幼馴染なの」
「そうなんだ…」
「ハルちゃん、中等部に入ったんだね。お互い頑張ろうね」
ミズキはそう言ってハルカの頭を撫でた。ハルカは少し笑ってから、"探検"の続きをしたいと言って去っていった。
ミズキは去っていくハルカの後ろ姿を見ながら、ハルちゃんはいつまでも子供ね、と言って笑う。アユミはそれを隣で聞いて、苦笑いを浮かべていた。 >>427
第5話『ふたり』
時刻は昼過ぎになっていた。既に高等部も中等部も初日の行事はすべて終了し、生徒は全員下校している。
この街の駅前に一軒のクレープ屋がある。あまり大きな店ではない。十五人も入ればいっぱいになるぐらいのスケールだ。フクムラミズキは、この店がお気に入りであった。
私服で店にやってきたミズキは、いつものように店の一番右のテーブルに座る。ここはミズキの『指定席』だ。
別にそう宣言しているわけではないが、店に来た時に他の人が座っているのを見ると、ミズキはなぜか不機嫌になってしまう。
席につくとミズキはメニューも見ずに注文を決めた。モモとパインと生クリームが入ったクレープと、アイスティーを注文する。
この店のクレープで、ミズキが一番好きなものであった。 >>428
注文を済ませるとミズキは腕時計を見た。彼女はここで人を待っていたのだ。しかし、約束の時間から十二分ほど過ぎている。
「また遅刻かぁ…」
ミズキは溜め息をついた。メールを送って急かそうかと思ったが、急かしても急かさなくても遅刻しているのは同じだと思い直して、彼女はそのプランを取り消した。
店の扉が開いた。息を切らしながら一人の少年が入って来た。彼は店の一番右のテーブルを見やる。ミズキの姿を認めると、手を出して『ゴメン』のポーズを取った。
「遅い」
ミズキがそう言うと、少年は赤い野球帽を取って頭を下げた。
「ごめんごめん…バスが遅くなっちゃって」
少年はミズキの前に座ると、チョコとコーンフレークの入ったクレープと、アイスミルクを注文した。
「この間も遅刻したのに…あの時は映画見れなかったし」
「ごめんなさい」
少年は本当に申し訳なさそうな顔でミズキを見る。ミズキは内心怒っていたのだが、彼の表情を見ると怒る気が失せてしまった。
それぐらい申し訳なさそうな顔だったのである。 >>429
「もういいわ。しょうがないから、ミズキが許してあげる」
「ありがと、お嬢様。大好きだよ」
少年の言葉に、ミズキは頬を緩めた。冗談半分とはいえ、こんなことを言われて正直、悪い気はしない。
そこへ、ミズキの注文したクレープとアイスティーが運ばれてきた。アイスティーのグラスにシロップを少し入れながら、ミズキは少年に訊ねた。
「ねえ、これ食べたら、どこ行く?」
「ミズキは…どこ行きたいの?」
少年はあまり自分からは決めようとしない風だった。大抵はまずミズキに話を振って、ミズキの好きなところを選ばせる。ミズキは彼のそんなところが気に入っていた。
「今日は…二人きりになれるところに行きたい気分かも」
「二人きり?いいけど…どこだろ?」
少し視線を宙に浮かせて、少年はあれこれ思案しているようだった。ミズキは彼の次の言葉を待った。彼がミズキの方を見て口を開いた。 >>430
「…ホテル、とか?」
ミズキは飲んでいたアイスティーを噴き出しそうになった。考えた末の結論がそれか、と言いたくもなった。
「バカッ!…もう…」
言いたいことはあれこれあったのに、いざ顔を赤らめながら口を開くとそれだけしか言葉が出てこない。ミズキは恥ずかしさの方が先に立ってしまったのである。
「ごめん…つい…」
「ダメよ。そんなところに行ったってバレたら…怒られちゃうわ…」
「そうだよね…ごめんね。変なこと言って」
少年も下を向いてしまった。
「大丈夫…アカリちゃんの気持ちは…分かってるよ…今度、ね?ミズキの部屋か…アカリちゃんの部屋か…どっちでもいいから…」
ミズキがそう言うと、『アカリちゃん』と呼ばれた少年は、下を向いたまま小さく頷いた。
間の悪いことに、そのタイミングで彼の注文したクレープとアイスミルクが運ばれてきた。ミズキはこの会話が店員に聴かれていなかったか、少し不安になった。 >>431
「ね、これ早く食べて。もう出よ?その後は…アカリちゃんが行きたいところでいいから…ホテル以外、なら」
ミズキがそう言うと、アカリも頷いた。そして彼は、ハイペースでクレープを平らげ、アイスミルクを飲み干すのである。
店を出た二人はどちらからともなく手をつないで歩きだした。お代はミズキが全部払っていたが、アカリはそれに内心申し訳なさを感じていた。
「ちょっと手が汗かいてるね…どうかした?」
アカリの気持ちを掌の様子で察したか、ミズキがそんなことを言った。
「いや…何でもないよ」
アカリはそう言ったが、ミズキはそれがウソであることをすぐ見抜いてしまった。
「ふふっ…アカリちゃん、強がり言ってる…」
そう言われたアカリが恥ずかしそうに頭をかいた。ミズキは手を強く握り直した。そして、アカリの方に体を寄せた。
二人はそこで立ち止まって、しばらくの間、抱き合った。
ミズキはアカリの耳元で何事か囁いた。
アカリもミズキの耳元で何事か囁く。
二人だけの時間がそこにあった。 >>432
ミズキとアカリが手をつないで抱き合い、そして歩いていくのを、一人の少年が見ていた。
「あっ、ミズキちゃん!…あれ…彼氏と一緒だ…
サホちゃん、ミズキちゃんとデートしてるんだ…いいなぁ…」
(つづく) 作者さんは娘。の話書きたいの?群像劇にしても℃メンでなすぎ
できれば℃テコ入れ願います なっきぃの作者さんのが読みたい
なっきぃでもいいし他のメンバーでもいいし >>433
第6話『約束』
ミズキとアカリのデート現場を目撃した少年は、二人がいなくなった後もしばらくその場に立ちすくんでいたが、思い直したようにある場所へ向かった。
そこは駅の改札口であった。彼は手慣れた手つきで改札機にICカードをタッチすると、電車に乗り込んだ。
その電車は快速電車であった。次とその次の駅を通過すると、二駅先の駅で電車は止まった。少年は電車から降りると、南口の改札を出た。
彼は一体どこに向かおうとしているのか…
その答えは、南口からしばらく歩いた場所にあった。少年の目の前に、大きな建物が建っている。そこはこの街で一番大きな総合病院であった。
既に何度も来ているのだろう、多数の病棟が複雑に建ち並んでいるにもかからわず、彼は表示板を見ることもなく、目的の病棟にまっすぐ辿り着いた。
受付で彼は『タケウチアカリ』と名前を書いた。そのまま彼はエレベーターに乗る。エレベーターは六階で止まり、彼は奥の病室へと歩き出す。 >>447
「あら、アカリくん」
少年は声をかけた女性に挨拶をした。
「こんにちは、カメイさん」
どうやら、女性の名前は『カメイさん』というらしい。
「今日もお見舞いですか?」
「はい」
「そう…あの子、ちょっと調子が悪いみたいだから、気をつけてね」
「わかりました。どうも」
カメイさんにお礼を言うと、アカリは病室へと向かった。
六階の一番奥に一人部屋があった。アカリの目的地はこの病室のようだ。入口には『コスガフユカ殿』と書かれている。
アカリはドアをノックした。奥から細い声で返事があった。ドアを開けると、そこにはベッドに横たわる一人の少女がいた。 >>448
「よっ!」
アカリは努めて明るく振る舞った。カメイさんから『調子が悪いようだ』と聞かされていたからである。
「あ…アカリちゃん、よっ」
アカリの姿を認めたフユカは軽く手を挙げた。しかし、その手の動きは弱々しく、彼女の体自体もまた、非常に華奢に見える。
アカリはドアを閉めると、フユカのベッドの横にある椅子に座った。そして、自然にフユカの手を握る。これは彼が見舞いにやって来る時に、必ず行うことであった。
「調子悪いんだって?大丈夫?」
「うん…ちょっとね。でも大丈夫だよ」
そう話すフユカの顔は青ざめていて、血色が悪い。声にも力がないようだ。
「明日…検査なんだ」
「そっか…よかったら、いいね」
「うん」
二人の会話が途切れた。自分の体調のせいで会話が続かない、空気が重いと察したフユカは、アカリに話を振った。 >>449
「ねえ、そういえば、私たち、中学三年生になったんだよね」
「ああ、そうだな」
新学期の始業式はまだ先だった。だから、アカリはまだ進級した実感がない。最上級生になったと言われても、内心ピンと来なかった。
「私も早く退院して…また…アカリちゃんと一緒に…学校に通いたいな…」
フユカがそう言って遠くを見た。それがまだ先の話になりそうだということは、彼女自身が一番よく分かっている。
「そうだな…おれも待ってる…フユカのこと、待ってるから」
フユカの気持ちに気がついたアカリはそう言うと、手を伸ばして、フユカの頭を撫でた。頭を撫でられたフユカは目を閉じて、アカリの方に頭をもたれる。
「ん…」
アカリはフユカの頬にキスをした。そして… >>450
「ん…」
アカリはフユカの頬にキスをした。そして…
「ベッドの中、入ってもいい?」
「うん…ちょっとだけなら大丈夫だよ」
ベッドは少し大きめに作られているので、中学生の男女二人が並んで入るぐらいの余裕はあった。二人で並んで座ると、アカリはフユカの肩を優しく抱いた。
「元気になったら…アカリちゃんとデートに行きたいな…」
「どこに行こっか?」
「どこでもいいよ…アカリちゃんの好きなところでいい…二人で一緒にどこかに行きたいの」
それは、病弱な少女の切なる願いであった。 >>451
「検査の結果、いつ出るの?」
「来週」
「じゃあ、来週になったら、また来るから」
別れ際に、アカリはもう一度、フユカに明るく手を振った。フユカも手を振り返した。その顔色は、最初よりは少し良くなったように…アカリには思えた。
病院を出たアカリは再び駅に戻った。プラットホームまで来たアカリは、そこで思いもよらない人と会うことになる。
「あ…兄貴!」 >>452
第7話『さんにんぐらし』
「あれ、タケ坊じゃん。どしたのこんなところで」
「兄貴こそ、どうしたんだよ」
アカリはそう言うと、声の主の隣に立った。声の主の名をヤジママイミという。女のような名前を持ち、女のような顔つきと肌の白さではあるが、筋肉質の体つきをした、
れっきとした男である。アカリには『兄貴』と呼ばれているが、実の兄ではない。彼はアカリの従兄弟であった。
「いやぁ、買物に行っててさ。ほら」
そう話すマイミの両手にはエコバッグが握られていて、中には沢山の野菜や果物が入っているようだった。
「ふぅん…」
アカリはそう言うと、エコバッグの中からペットボトルのお茶を勝手に取り出して飲み始めた。
「勝手に飲むなよな」
「いいじゃん別に」 >>453
二人は従兄弟であるが、子どものころからいつも一緒に遊んでいた。だから、ごく自然に兄弟のような関係になった。
アカリが軽口を叩いても、マイミは別に怒らないし、笑って許している。
結局二人は同じ電車に乗り、そして同じ駅で降りることになるのであった。
駅でアカリと別れたマイミは、駅の南口から少し歩いたところにあるマンションに向かって歩を進めた。いつものようにエレベーターで五階まで上がり、部屋の鍵を開ける。
「ただいまー」
返事はない。それも当然だろう。彼と一緒にこの部屋に住んでいる人間は、仕事に出かけていて留守なのだから。 >>454
マイミはこの春から大学三年生になった。彼にはスドウマアサという彼女がいる。マイミよりも一学年下のマアサは大学には進学せず、就職する道を選んだ。
彼女はこの街の駅前にある本屋で働いている。だから、帰ってくるのはいつも夜になってからであった。
話がややこしいのはここからだ。実は、この家に住んでいるのはマイミとマアサの二人だけではないのである…
「あれ?」
部屋に戻ったマイミが着替えていると、マイミの部屋の扉が開いた。マイミは鏡越しで後ろを見る。するとそこには…
「リホちゃん…」
そこに立っていたのは中等部の少女…サヤシリホであった。 >>455
「…おかえりなさい」
リホが小声でそう呟く。間の悪いことに、マイミは黒いボクサーブリーフ一枚の姿になっているところだった。
「あ、ご、ごめん!すぐ着替えるから」
中学生の女の子を前にして、男が下着一枚の姿でいるのはマズい。そう思ったマイミは慌てて服を着ようとした。しかし、リホは…
「…平気よ」
そう言うと、彼女は後ろからゆっくりマイミに近づき、その背中にそっと抱きついた。
「リホちゃん…」
「おにいちゃんの背中…好きなんよ」
リホの小さな手が、マイミの裸の胸にそっと伸びてゆく。 >>456
リホは広島で生まれ、広島で育った。しかし、中等部入学を機にこの街に引っ越してくることになった。
とはいえ、リホの家族は仕事の関係もあって、広島から離れるわけにはいかなかった。リホの身柄は宙に浮いた形になる。
そこでリホの身柄を預かることになったのが、遠縁にあたるスドウマアサであった。事情を知ったマアサは二つ返事でこの話を引き受けることにしたのだが、
しかし彼女もまた、ちょうど社会人として働き出したばかりだった。
結果として、リホがいつも一人で家にいることになりそうだった。引っ越してきたばかりの少女を、見知らぬ街で一人ぼっちにさせるのはマズい。
リホがホームシックになることを危惧したマアサは、自分の恋人であるマイミに訳を話し、一緒に暮らせないかと相談することになった。
かくして、三人での共同生活が始まった。マイミとマアサがお金を出し合って、少し広いマンションを見つけることができた。
共同生活が始まってもう一年になる。リホは多少人見知りしやすいところがあったが、ことマイミとマアサにはとてもよく懐いているようだ。 >>457
「おにいちゃん…」
リホはマイミのことを『おにいちゃん』と呼ぶ。そしてマアサのことは…なぜか『おかあさん』と呼ぶのである。
「ねえ、リホちゃん、ほらぁ…服、着させてよ」
マイミはそう言うのだが、リホは言葉に出さずとも、目で『まだ着ないで』と訴える。それを見てマイミは苦笑いを浮かべてしまう。仕方なく、彼は
リホのしたいようにさせることにした。
向き直ったマイミの胸板に、リホの顔が近づく。彼女はマイミの胸に顔を埋めた。ほんのりと汗の臭いがする。
「おにいちゃんの…汗のにおいがする」
「あっ…ごめん…ほら、ボク、汗かきだからさ」
リホは舌を出すと、マイミの胸板を軽く舐めた。 >>458
「ちょ、ちょっと、リホちゃん…」
二人の目が合った。リホは舌を出して悪戯っぽく笑う。リホがこの家の中でだけ見せる、無邪気な笑顔。その笑顔を見たら、マイミは何だかとても幸せな気分になった。
「リホちゃん…」
「おにいちゃん…大好き…」
マイミの体のあちこちに、リホの手がゆっくりと触れていく。胸、腕、腹、脚、そして…下着一枚を隔てて、その上へも…
外は夕陽が眩しい時間になった。光が射し込む部屋の中で、リホの"愛撫"が続いていく。マイミは何も言わずに、目を閉じてじっとしていた。
それが、リホのためになると思っていたからである。
そしてその"思いやり"は、リホにもちゃんと伝わっていた。
(つづく) >>459
第8話『生徒会の憂鬱』
「ああもう!何なの全く!嫌になる!」
スズキアイリは自分の部屋で、一人怒鳴っていた。広い部屋なので他人に聞かれる心配はない。心配はないが、彼女の心中は穏やかではなかった。
話は昼に遡る。高等部の生徒会室では、ある話し合いが持たれていた。
「では、生徒会の会議を始めます」
何を隠そう、スズキアイリは高等部の生徒会長であった。生徒会長という立場は文字通り生徒の代表であり、学校に対してあれこれ言うことのできる
強い権限のある立場であるはずである。いや、あるはずなのだ。ところが…
「では、最初の議題は、来月行われる、創立記念式典についてです」
生徒会会議の司会は生徒会副会長が務める習わしになっている。副会長の名前はミヤザキユカという。
―少なくとも表面上は―会長と副会長は友好的な関係に見える…のだが、アイリは内心、ユカを嫌っていた。
逆にユカもまた、アイリを内心…快く思ってはいなかった。 >>461
発端は前の年の話だ。高等部の生徒会長を決める選挙が行われた際、立候補したのはスズキアイリとミヤザキユカの二人であった。
選挙が行われ、結局アイリが会長に選ばれた。
だが、せっかく立候補したのだから…ということで周囲の勧めにより、ユカが副会長に据えられた。
せっかく生徒会長になったというのに、争った相手が副会長に座っている。アイリはユカが疎ましいと思った。
自分こそ会長にふさわしいはずなのに、会長の立場に目の上のたんこぶがいる。ユカはアイリが疎ましいと思った。 >>462
会長と副会長による水面下での冷戦が始まり、生徒会の中はどうにもギクシャクした状態が続くことになった。それがまた、アイリのストレスを余計に増やすことになる。
「今年の創立記念式典も、慣例通りいつもと同じようにすればいいと思うんだけど」
アイリがそう切り出した。ところがユカは違う考えを持っているようだった。
「今年の創立記念式典は記念すべき節目の年なんだし、いつもと違うことをしたらいいんじゃないでしょうか」
「例えば?」
そう訊き返すアイリは、自分の心中が穏やかでないことを感じていた。会議になるといつもこうだ。
大人しく自分の言うことに従えばいいものを、ユカはあれこれ口応えしてくる… >>463
「例えば…記念演奏会を開催してはどうでしょうか」
ユカは淡々とそう答える。アイリの心中が穏やかではないことぐらい、彼女も分かっている。分かってはいるが、ここで引き下がりたくはない。
本来、自分こそが生徒会長にふさわしいと思っているのだから。『この学校を動かしているのは自分だ』と、ユカは思っていたいのである。
「今更そんなこと言うの?もう時間がないわ。記念式典は来月よ?人を呼ぶんだったらお金もかかるし…」
アイリの声が大きくなった。ユカは淡々と答弁を続ける。
「吹奏楽部に演奏してもらえばお金はかかりません。それに、来賓の集まる場で演奏できる機会があれば、吹奏楽部の部員も喜ぶはずです」
ユカの答弁が続く。
「記念に美術部に壁画を描いてもらうというのはどうでしょうか」
その言葉を聞いて、アイリは内心ほくそ笑んだ。美術部には自分の親友がいる。部の内情を知ることなど、彼女にはたやすいことだった。 >>464
「それは無理よ。美術部のスガヤさんも言ってたわ。『春のコンクールがあるから今は忙しい』って」
美術部のスガヤさん、というのはアイリの親友である美術部副部長のスガヤリサコのことである。リサコがこの手の"めんどくさいこと"を
嫌う性格であるということをアイリはよく知っていた。副部長が嫌がれば、当然部員たちも首を縦に振ることはあるまい。
これでユカにカウンターパンチを決められる…アイリはそう思っていた。ところが…
「そうでしょうか?美術部部長のワダさんが『もしチャンスがあるなら、是非やりたい』と言ってきているんですが…」
ユカはアイリのカウンターに対して、その上を行くカウンターアタックを仕掛けてきた。美術部の部長、ワダアヤカの名前を使ってきたのである。
アイリはこの展開までは予想できなかった。そもそも、アヤカとユカに交友関係があっただなんて、今になって初めて知ったことである。 >>465
アイリは心の中で、何度も舌打ちをすることになった。会長権限でこの議題をペンディングにして、無理やり議題を先に進めることにした。
次の議題は六月に行われる高等部の文化祭についてだ。
ここでもまた、アイリとユカの意見はことごとく対立することになった。
あまりにも話が噛み合わないので、生徒会書記のイイクボハルナが助け船を出した。
「あのー…今日はもう終わりにしませんか?ほら、もう時間も大分過ぎたし」
時計を見ると終了予定時刻を二十分も過ぎていた。
「議事録は私が適当にまとめておきますから…今日はもう終わりましょう」
ハルナがそう言ったので、アイリとユカの―不毛な―争いはひとまず休戦となった。 >>466
家に帰ってもアイリはイライラが収まらなかった。
気持ちを落ち着かせようと思ってシャワーを浴びたが、裸の肌にいくらお湯が当たっても、ちっとも心地よいとは思えなかった。
アイリはハルナのこともあまり好きではなかった。ユカとハルナは同じ放送部に在籍していて、部長がハルナ、副部長がユカだったからである。
つまり、ユカとハルナは盟友なのだ。自分の陰に隠れて何を相談しているか分かったものではない…アイリはそんな被害妄想に駆られていた。 >>467
イライラしているうちに、無性に友人の声が聞きたくなった。アイリはリサコのところに電話をかけてみることにした。
「…んあっ…もしもしぃ?」
リサコの声は、完全に寝起きのそれであった。そののんびりとした声を聞いていたら、アイリは何だか気分が随分と楽になった気がした。
「もしもし?リサコ、寝てた?」
「うん…昼寝して今起きたとこぉ」
二人はしばらくの間取り留めのない話に興じた。話し込んでいるうちに、アイリはイライラが収まらなかったさっきまでの自分が馬鹿馬鹿しく思えてきた。
そう、結局のところ、持つべきものは友達である…そんな至極当たり前のことを、アイリは一日かかって再認識するのであった。
(つづく) >>468
第9話 『新人たちの群像』
この街の駅前に、一軒の自動車販売店がある。人の出入りが激しい業種だが、今年はこの店に二人の新入社員が採用された。
「はぁ…覚えなきゃいけないことだらけでマジしんどいんだけど…」
ナカジマサキは新人研修の合間に、そう言って一人溜め息をついていた。覚悟はしていたが、新人研修で覚えさせられる事柄の多さは彼女の想像を超えていた。
頭をフル回転させても覚えられそうもないから、彼女は入社早々憂鬱な気分になった。
「ナカジマさん、大丈夫?」
後ろから声がした。サキが振り返るとそこにはもう一人の新入社員、キタハラサヤカが立っていた。
「覚えること多くて大変だね…サヤカはどう?」
「全然。言われてることの半分も分かってないかも」
二人はそう言って、お互いに苦笑するのであった。どうやら、サキが感じている気持ちと同じようなものを、サヤカも感じているようだった。 >>469
サキは地元の高校を卒業した後の進路を、進学ではなく就職する道を選ぶことにした。しかし、なかなか就職先が決まらない。次第に彼女は焦りを感じ始めた。
周囲が進学や就職を次々と決める中で、彼女だけが取り残されてしまったからである。
「どうしよう…どこにも行き先が決まらなかったらどうしよう…」
彼女は不安に駆られた。何社も採用試験に落ちて、これで決まらなかったら本当に後がない、という状況で受験したのが、この自動車販売店であった。
筆記試験をパスし、最終面接に臨んだ時だった。
ヤスダ、と名乗った試験官の男が、サキにこんなことを訊ねた。
「今回、君のほかに数人がこの最終面接に臨んでいる。…君はその人たちを蹴落としてでも、我が社に入社したいかね?」 >>470
サキは、何と意地悪なことを訊くのだろう、と内心思った。最後のチャンスである。入りたいのは山々だが、そうかと言ってここで
『他人を蹴落としてでも入りたい』と言えるだけの度胸は持ち合わせていない。サキは口ごもってしまった。
「どうだい?どう思っているか、答えてくれないか?」
黙っているわけにもいかない、と思ったサキは、おもむろに立ちあがると、口を開いた。そして、自分でも予想していない言葉を喋り出すのである。
「入りたい…入れてください!私を…ナカジマサキを、ここに、入れてください!!」 >>471
そう叫んだ後で、サキは思わず口を覆った。最終面接で自分は何を言っているのだろう。こんなことを言っている場合ではない。敬語も何もあったものではない。
言い直さなくては…
しかし、それより何より恥ずかしさが先に出て、サキはべそをかきそうになった。それを見たヤスダは、彼女に対してある気持ちを抱いていた。
「この女は面白い。これは"開発し甲斐"のある女だ…」
ヤスダの口元が思わず緩んだ。もっとも、様々な感情が入り混じって放心状態のサキは、そのことに気がつくはずもない。 >>472
かくして、ナカジマサキは最後の最後のチャンスを射止め、この会社に採用されることになった。もう一人採用されたのがキタハラサヤカである。
彼女はサキが採用されるよりも前に、採用されることが決まっていた。やはり、最終面接ではヤスダから同じ質問がぶつけられた。
「君は他人を蹴落としてでも、我が社に入社したいかね?」
サヤカは心の中で少し葛藤があったが、それでもヤスダの目をしっかりと見据えて答えた。
「はい。私は御社に入りたいです。そのためなら…少しぐらい…痛い思いをしてでも…」
ヤスダはサヤカの目を見た。まだまだあどけない高校生の顔立ちだが、その目は自分をしっかりと見据えている、凛とした、決然たる表情であった。
「この女は意志が固いようだな…仕事の何たるかをしっかり教え込めば…オレの手足になってくれそうだ」
年がら年中、様々な人の相手をする商売である。未熟な高校生の心の中や性格を読み取ることなど、ヤスダには造作もないことであった。
こうして、サヤカもまた、この会社に採用されたのである。 >>473
時計の針は、五時半を少し過ぎたところを指していた。ヤスダが二人の前に現れた。
「おう、お疲れさん。今日はもう二人とも帰っていいぞ。疲れたろう。早く帰ってゆっくり休め」
サキとサヤカの表情が少し緩んだ。
「お先に失礼します!」
二人が住む場所は、会社が独身寮代わりに借りてくれたアパートだった。サキとサヤカは隣同士の部屋で新生活を始めたばかりである。
慣れない仕事に初めての一人暮らし。まだ、二人にその生活を楽しむ余裕は持てないようだ。
サキとサヤカがいなくなり、ヤスダは再び自分の仕事に戻った。抱えている商談の進捗状況をまとめていると、隣に一人の女性社員が座った。 >>474
「部長、お疲れ様です。コーヒー入れときましたよ」
声の主はキッカワユウという女だった。彼女はこの会社に勤めて二年目になる社員だ。ヤスダの直属の部下という立場になる。
「おう、ありがとう。キッカも大分オレの好みが分かるようになったみたいだな」
ヤスダはコーヒーに砂糖とクリームを入れない主義の男であった。
キッカワユウ…キッカはそれを覚えられず何度も間違えては、その度にヤスダに呆れられたものだが、最近は何も言われなくてもブラックコーヒーをちゃんと出せるようになった。
「ねえ…あの二人、どうですか?やっていけそう?」
あの二人とは、サキとサヤカのことである。キッカはまだ二人と長い時間話す時間が持てていないので、二人がどんな人間かあまり知らないままであった。 >>475
「ああ…面白い奴になりそうだ…お前みたいにな。まあ、オレが教えれば、の話だが」
そう呟いて、ヤスダはブラックコーヒーを啜った。
この二人…ヤスダとキッカに、この後サキとサヤカは…それこそ、"人生が変わる"ぐらいに様々なことを教え込まれるのだが、
もちろんそのことはまだ、誰一人として知る由はない。
(つづく) >>476
第10話 『少年は性を求む』
もうすぐ日付が変わろうとする頃、イクタエリナはベッドの中で、一人悶々とした時間を過ごしていた。
「ぁあ…なんか…ムラムラするっちゃ…」
エリナ、という女のような名前を頂いてはいるが、彼は立派な男である。この春で、中等部の三年生になった。中学三年頃といえば、人生のうちで
最も性欲に満ち溢れている時期である。エリナはその中でもことさら性欲が強いのか、毎晩のように悶々とする日々を送っていた。
エリナはベッドの中でパジャマの下半分を脱いだ。白いパンツの先が少し湿っているのを感じる。
そのままベッドから這い出ると、彼はおもむろにパンツも脱ぎ、下半身裸になった。 >>477
「また…おっきくなっとーと…」
勃起した己の性器を見ていると、彼は無性に自慰行為…オナニーをしたくなった。部屋の鍵はかけてあるから、家族に気づかれる心配はない。
しかし、いくら勃起しているとはいえ、自慰行為を始めるにも"おかず"が必要であることも確かである。
何もないままイマジネーションだけで果てることも可能かもしれないが、エリナはまだそれができるほどには"上達"してはいないのだから。
彼はおもむろに学習机の椅子に座ると、目の前にあるパソコンのスイッチを入れた。手慣れた手つきでインスタントメッセンジャーを立ち上げると、
『M』と表示されたアイコンをクリックした。
『M』の横には『オンライン』の表記がある。『M』はこのサービスを利用しているのだ。エリナの興奮は一気に高まった。 >>478
「こんばんは」
いつもの夜のあいさつだった。エリナはこのメッセンジャーの中で『たな』と名乗っている。自分の名字と名前から一文字ずつ取って、それをハンドルネームにしたのである。
返信はすぐにやって来た。
「あれ?たな?どしたぁ?寝てるかと思った」
『M』が女性であること、エリナ…もとい、『たな』が男性であることはお互い知っている。知ってはいるが、二人はお互いの本名も知らないし、もちろん顔を合わせたこともない。
だから、お互いどんな人間であるかをほとんど知らない。もっとも、だからといって何か困ることがあるわけではないのだが…
はっきり言えば、『たな』が『M』にコンタクトを取る理由はただ一つ、自らの自慰行為の"おかず"を求めているからに過ぎない。
『M』とのエロティックな会話、そして…『たな』のリクエストで、時々送ってもらえる『M』の下着姿の写真―もちろん顔は明らかにされないが―によって、
自らの性的欲望を満たすこと。『たな』の目的はそれしかないのである。 >>479
インスタントメッセンジャーでの交流を始めた当初は、『M』の他にも何人かの男女と交流を持っていた『たな』であったが、今ではほぼ『M』としか交流を持たなくなった。
『たな』…もといエリナは、自分の目的からすれば、別にそれでもいいと思っているのだ。
「ねえ…今…マジでオナニーしたいんだけど」
「また?この間もそんなこと言ってたじゃん」
「だって…ヤリたくてヤリたくて仕方ないんだもん」
「マジ変態 そんなにヤリたかったら 彼女作ってさっさと童貞卒業しなよ」
『M』の発言は割と辛辣で遠慮がないものが多い。『たな』のことをやれ童貞だの、変態だのと罵ることもしょっちゅうである。
しかし、その文字列を見ているだけで、エリナは妙な興奮を覚えるのだ。
「目の前でMさんにこんなこと言われてみたかと…裸になって、チ…コ見せて、こんなこと言われてみたかとよ…」
心の中でエリナはそんなことを呟いていた。確かに彼は『M』の言う通り、かなり変態なようだ。 >>480
時々、『M』は『たな』…もとい、エリナの意を汲んでくれることがある。
「じゃあ、たなが気持ちいいようにしてあげるから、どうして欲しいか言ってみな」
その文字列が表示された時、エリナの興奮はピークに達した。
「イキたい…ねえ、いじっていい?」
「いいよ。いっぱいいっぱいいじって、たくさん気持ちよくなりな」
『M』は『たな』が何を言われれば興奮するか、そして喜ぶかを知っていた。
「ほら、おち…ぽいじって。Mのおっぱいに、いっぱい、いっぱい、ピュッピュッって出して」
『M』はこの時、危うく自分の本名を書いてしまいそうになり、慌てて修正する羽目になった。こんな淫ら極まりない文章の中で本名がバレてしまったら…と思うと、
『M』は内心ゾッとした。 ■ このスレッドは過去ログ倉庫に格納されています