プロローグ

新しい朝が来た。今日は目覚まし時計をセットしていない。春休み期間中だから、学校に行く必要はない。まだまだ、好きなだけ寝ていられる。
しかし、いつもと同じ時間になるとつい目が覚めてしまうのは、彼女の癖だ。あまり愉快なものではないが、仕方がない。
「ん…あぁ、まだ七時かぁ…」
彼女は布団の中から顔だけ出して、目覚まし時計の時刻を確認した。せっかくの休みなのだからもっと寝ていたいのに、つい目が覚めてしまった。
「もうちょっと寝よう…」
再び顔を引っ込め、布団の中に潜る。しかし、一度目が覚めてしまったからか、どうにも眠れず、結局十分も経たないうちに、彼女はまた布団から
這い出てしまった。
「暑い」
一言、そう呟いた彼女の風貌は生まれたままの姿、つまりは全裸であった。
季節は春である。全裸で寝ているのは体に悪いような気もするが、彼女は取り立てて意に介してはいないようだ。