他人を避けるような生活をするようになって随分と経つ。でも、マイは今更それを変えるような勇気など持っていない。
今だって十分ストレスが溜まる生活をしているのだから、これ以上ストレスを溜めるようなマネはしたくない…というのが彼女の本音だった。
「いいよ、別に今のままで。今だって全然楽しくないけど、今より悪くなるんだったら、今の方がいい…」
マイはそんなことを考えながら、布団の中からぼんやりと窓の外を見ていた。外は綺麗な青空が広がっていて、朝の光がまぶしい。
時々、目の前の道路を人や車が通過していく。
大きな音を立てて、一台の車がマイの見ている風景にフレームインしてきた。ピンク色のクーペだった。よほど急いでいるのか、その車は猛スピードで、
マイの目の前からフレームアウトしていった。
「スピード違反でしょ、あれ」
再び誰もいなくなった道路を眺めながら、マイはそんなことを呟いた。もちろん、ピンク色のクーペの運転手が誰であるかなど、気にも留めることはなかった。