スピード違反スレスレのスピードで車を走らせたら、何とか八時前に学校に到着した。サユミは大慌てで駐車場に車を止めると、職員室に駆け込んだ。
「おはようございます!」
挨拶をしたサユミが顔を上げると、周囲の教師は冷ややかな目でサユミを見ていた。
「ああ、ミチシゲ先生…遅かったですねぇ…初日からどうしたんだろうって、みんな心配してたんですよ?」
中年の女教師には嫌味を言われた。
「初日から寝坊ですか?男と遊んでたんじゃないのぉ?」
禿げた頭の男教師にはセクハラまがいのことを言われた。
「すいません…以後気をつけます」
サユミは笑顔で受け流していたが、当然、お互いの印象が良いものであるはずはない。その後に設けられた自己紹介の時間で
サユミは―自分なりに―精一杯挨拶をしたが、教師たちの反応は鈍く、お世辞の拍手が聞こえただけであった。