>>408
「入学おめでとう。お名前は?」
「アユミ…イシダ、アユミです」
「イシダアユミさんね…うん、名前がある」
そう言うと、女教師は箱の中からリボンを取り出し、アユミに渡した。
「じゃあ、あちらの体育館の中に椅子がありますから、前から順番に座って、待機してください」
アユミは体育館の中に入った。アユミの通っていた中学校のそれよりも大きな体育館は二階、三階まで席が設けられている立派なものだった。
「うわー、すごいなぁ…こんなところに通うんだ、私…」
物珍しさ故か、アユミの視線がキョロキョロと動く。それはハタから見れば『お上りさん』にしか見えない状況であったが、もちろん本人はそのことに気がついてはいない。
「ここに座ろう…」
アユミが律義に前の方の席に座ってから少しして、別の新入生がやって来た。