>>415
「中等部の子かぁ…」

この学校に中等部が存在することはサユミも知っていた。当初サユミが望んだのは中等部の教師の職であった。
しかしそれは叶わず、ちょうど人手が足りなかった高等部の国語科に講師として雇われることになった。
もっとも、サユミにわがままを言うことなどできようはずもない。粘りに粘った末に手に入れた、念願の教師の座だったのだから。

「すいません、これはどっちに並べばいいんですか?」
新入生の一人にそう訊ねられ、サユミの意識は現実に引き戻された。